松尾龍インタビュー - インタビュー
インタビュー 松尾龍インタビュー

INTERVIEW

松尾龍

実体験をそのまま表現するのではなく、
積み木遊びをするように表現しています。


簡単に自己紹介をお願い致します。


私は画家の松尾龍や絵描きの松尾龍というふうに自分のことを表現しています。
嫌いとかそういうことではなく、現代アートなどのコンセプチュアルな世界とは考え方を一線引いているのでそう名乗っています。

作品はどのような考え方で描いていますか?


ピカソではないですが、日記のような感じですね。実体験をそのまま表現するのではなく、積み木遊びをするように表現したいなと思っています。

一時期シュールリアリズムの方々が好きだったことがあって、描写にこだわってリアルな方向で描いていたことがあったんですよ。ダリに憧れて油絵を描き始めたので、最初の個展はそのような作品を展示していたのですが、見る人に「ダリっぽいから好き」とか、「マグリットっぽいから好き」と言われ
これはなんか自分が求めているものと違うなと思いました。確かに憧れていたのですが、同時に自分らしさを失っていることに気づいたんですよね。
ちょうどその時、紙の端っこにペンで落書きのようなものを描いていて、それが今の作風に通じる積み木で遊ぶみたいな感覚やシンプルな形を描く所に繋がってきています。幾何学形体というほど硬い形ではないですが、そぎ落とされた感じですね。

例えばこどもが積み木で遊んでる時、「恐竜だ!」と言っても大人の視点からするとただの木の積み重ねにしか見えないわけです。
でもそれを楽しんで遊んでいるこどもからすると全く別のものに見えているはずです。そういうこどものようなワクワク感で自分は作品を作っています。

全然違っていても良いので、お客さんと展示会場で「これは何だろうな?」ということを一緒に話をするのが好きです。逆に私が何を描いたのかがわかったらそれはそれですごいのですが(笑)、実際それはほぼありえないので、お客さんがどう感じて見えているのかを知るのがすごく楽しいです。

例えば1つ1つ明確な「何を描いている」というものがあるのですか?


勿論何かしらあるのですが、人間の曖昧な記憶というのが根本的なテーマにあります。
なので、明確な記憶を正確に描写するというよりも曖昧な記憶の中のそぎ落とされても残った部分を描きたいと思っています。

最近の記憶を描いているというよりも幼少期の記憶を簡略化して描いていることが今は多いです。つまりうまいこと薄れてきている記憶なので、自分でもそれを再現するという難しさにワクワクしています。

作品にはその時に感じた楽しいとか、悲しいとかそういった感情が残ると思っているので。

作品一つ一つにノスタルジーを感じますね。


そうですね。全体的なテーマが過去によっているというのが大きいのだと思います。未来のことや今のことは少し寝かせて、ちょうどボヤーっとしてきて「あの時どうだったかなー。でも楽しかったよなー」という気持ちを大切にしています。
パリ留学中のフランステロ事件
無力さを描いた1枚


例えば右の作品は実際に存在する場所ですか?


2015年に半年パリに勉強しに行っていたのですが、その時にテロがありました。当時テレビを持っていませんでしたが、住んでいた場所と現場が近く、「外がなんか騒がしいな」くらいだったのですが親からの知らせでテロがあったことを知り、その1週間後くらいに花を手向けに現場に行きました。

パリは当然観光地で活気があるのですが、駅を降りて現場にいくまでは何も音がないくらいでした。日本食屋さんが狙われたとうこともあって本当に怖かったですね。
その日本食屋さんはビニールに覆われてて、ガラスが飛び散って壁も崩壊していて、立ち入り禁止みたいなテープが貼られていて、その下に花束がたくさん置いてありました。
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フランスとは言っても数多くの人種の方がいて、様々な国籍の方がその場所に花を手向けに来ているというその光景がすごい自分の頭の中で残りました。この絵でいうと下の線が手向けられた花で、奥の方が音のしない街と亡くなった方々を照らし合わせて表現しました。

■掲載作品
作品名:あの日の形
制作年:2017年
サイズ:910mm×1167mm
号数:F 50号
技法:油絵

【作品詳細はこちら】

「あの日の形」は自分の中で強く残っている記憶で思い入れが強い作品ですね。
また生きてきた中で非常に大きな経験だったし、自分の中でケリをつけたいなという考えもありました。

綺麗事として「こんなことがあったんだよ!」ということではなく、ただただ無力さを感じた体験を自分なりに形に落とし込みたかったのです。

ただ、こういったことは先には言わないんですけどね。
言ってしまうとそういう見方しかされなくなってしまうので。
「楽しい」が原点。
画家として活動し続けるために
”ときめき”続けたい。


そもそも絵を描き始めたきっかけはなんですか?


こどもの頃から絵を描くのは好きでしたが、元々は漫画家になりたかったです。

幼稚園や小学生の時から弟と漫画を描いていて、弟はストーリーとかを考えて私が絵を描くみたいな役割分担でした。そこから大人になっていくと、弟は映画の脚本、監督の道に、私は絵画の道に進むようになりました。

画家になろうと決めたのはいつ頃ですか?


画家を目指すかデザインの方に行くかを悩んでいたことがありました。
正直デザインの方がこの時代仕事に直接つながると思っていたのですが、なんか違うなと思った時期があったんです。
予備校に入った時はまだデザインに行くかアートにするかを悩んでいたのですが、油絵をやった時単純に「楽しいな」と思えたのでそれで決めたんだと思います。
あとデザインの授業を受けたことがある方ならわかるかと思うのですが最初の授業で色彩構成をやるんです。

それがすっごい嫌いで(笑)

色彩に関しても絵画の方が幅が広く、自由度も高かったのもありますね。

トータル的に作品に込めている想いなどはありますか?


作品は自分の耳であり目であり自分よりもしゃべってくれる存在です。
私よりも私の考えなどを饒舌にしゃべってくれているように思います。

だから私はギャラリーにはいますけど、あまりしゃべらなくても良いのかなと思っています。
個展をする事はすごく大事だと思っていて、もちろんグループ展も大事なのですが個展で自分の世界観を魅せる時に作品同士の共鳴性を大事にする必要があると考えています。

なので是非作品達の声に耳を傾けて頂けたら幸いです。

画家として最もうれしかった時、最もつらかった時は?


自分が予想していなかった方から「良い物を見た」と言ってもらえることが素直に嬉しいですね。自分はどちらかというと同世代に受ける作品かなと思っていたけど、思いのほか年齢国境関係なしに楽しんでもらえる事がうれしいです。

辛かったのは最初の展示の時ですかね。当然経験がないのでプレッシャーがあったのもありますが、知名度もないし発信するすべもないし平日なんてゼロ人とか一人二人の来客もありました。
貸画廊で展示するとやっぱり安くはないじゃないですか。1週間一体何のためにお金を払ったのだろう・・・なんて辛くなったことはありましたね。

学生の頃なんて画廊にお金を払って展示したら、どんどん作品が売れて。。なんて夢物語のように思ってましたけど、現実そんな甘くはないじゃないですか(笑)

この現実を突きつけられた時は「これからどうやって生きていけば良いんだ・・・、これからファンは増えるのか、、次やっても同じことになったらどうしよう」なんて不安になりました。



今までの作品で最も「自分らしい!」と思う作品があれば教えてください。また、そう思う理由なども教えてください。


Afterglow(連作1)ですね。これは自分の中で決断した作品なのですが、そういう意味で大きな作品です。
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作品名:Afterglow(連作1)
制作年:2015年
サイズ:300mm×300mm
技法:油絵

【作品詳細はこちら】

フランス滞在中に制作したこの作品は最初展示する予定は無かった作品なんです。それまでのいわゆるダリのような作風を描いて展示するのか、それとも新しいこちらの作風でいくのか本当に悩みました。ちなみに今までこちらの作風で展示会を行ったことがなかったのです。

正直ちょっとコミカル過ぎてまだ自分でも作品に対して説明ができなかったんです。自信がなかったというのも本音なのですが、描いてて楽しかったんです。だからこそどうしよう。。。と悩んでいました。
その時同じタイミングで120号の過去の作風の作品も描いていたのですが、「この作品を描き上げたらずっとこの作風に縛られてしまうかもしれない」と思い、その大作を描くことをやめ新しい作風に挑戦しました。

かなり悩みながら描いてはいたのですが、そういう意味では非常に印象に残っている作品です。

画家としてこれからどんなことに挑戦していきたいですか?


挑戦とは違うかもしれないですがこれからもずっと続けていくために常にときめいていたいですね。

「これやりたい」と思うことは迷わずやって、それを死ぬまで続けられたら見る人も面白いのではないかなと思います(笑)

そしてこれからも国内、国外共にアグレッシブに
展示活動をしていけたらなと思っています。
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作品名:Afterglow(連作2)
制作年:2015年
サイズ:300mm×300mm
技法:油絵
【詳しくはこちら】

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作品名:ゆらりゆらり
制作年:2018年
サイズ:455mm×530mm
号数:F 10号
技法:油絵
【詳しくはこちら】

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作品名:Who?
制作年:2017年
サイズ:530mm×530mm
号数:S10号
技法:油絵
【詳しくはこちら】

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作品名:Cloudy With Occasional Pain
制作年:2017年
サイズ:530mm×530mm
号数:S10号
技法:油絵
【詳しくはこちら】

松尾龍

▼略歴

1991年 埼玉県生まれ

2015年 
創形美術学校 ファインアート科 絵画専攻 卒業

2015年 
Cite Internationale Des Arts 半年滞在


▼受賞歴

2014年 
スターバックス賞 受賞

2015年 
第10回パリ賞国際芸術会館研修員派遣

2017年 
ワンダーシード2017 入選

2018年 
ACT大賞展2018 優秀賞


▼主な展示

2014年12月 
「HORIZONTAL」 個展 スターバックス池袋明治通り店 東京都 豊島区

2015年5月 
「TALK」 個展 青樺画廊 東京都 中央区

2015年 11月
「AFTERGLOW」 個展 Paris Cite Internationale des Arts

2016年 5月
「ワスレラレナイ」 個展 ガレリア・プント 東京都 豊島区

2016年 10月
「ミアゲタソラヘ」 個展 5/R Hall & Gallery 名古屋市千種区

2017年 7月
「あのひのかたち」 個展 埼玉県立近代美術館 地階 一般展示室4

2017年 10月
「なんとなく」 個展 5/R Hall & Gallery 名古屋市 千種区

2018年 5月
「Page」 個展 SPACE K 代官山 東京都 渋谷区

2018年 7月
「TIME」 個展 GALERIE SOL 東京都 中央区

2018年 10月
「STORY」 個展 5/R Hall & Gallery 名古屋市 千種区

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