静寂の中に見つけたもの────
最初にその絵を見たとき、何を感じたのか。
正直、すぐには言葉にできなかった。
派手な色彩があるわけじゃない。
強く訴えかけるメッセージがあるわけでもない。
それなのに、足を止めてしまった。
静かだった。
自分の中の何かが
ふいに、鳴ったのかもしれない。
けれど、その静けさの中に、
確かに “何か” が息づいている気がした。
光が滲むような色彩
ふと吹き抜ける風の気配
触れられないのに、そこにある“余白”
視線を向けるたびに、違う表情を見せる作品。
近づけば近づくほど、遠い記憶の扉が、そっと開くような感覚。
強く訴えかける言葉も、そこにはない。
──無音の静けさ
けれど、その奥に 確かに “ゆらぎ” が息づいていた。
目を逸らしても、また見たくなる。
視線を向けるたび、違う音が聴こえる。
描かれた線
塗られた間
削ぎ落とされた空間────
すべてが、それぞれの “響き” を持っている。
現代は、言葉と意味であふれていて、
だからだろうか────。
ふいに、隣で立ち尽くす誰かの背中──
その沈黙が、言葉よりも強く明確な “感受” を伝えてくることがある。
あゝ私たちは今、同じものを
“聴いている” のかもしれない。
ENAMIのアートは、見せるものではなく、
──響かせるもの。
それを見た人の中で、どんな音が鳴るのか。
その余韻こそが、作品の完成なのだと思う。
かたちを持ったものの中に
無音の旋律が宿るとき
────静かな対話が、始まっている。
ENAMI(Inami)
― 流紋様を描くアーティスト ―
【制作理念】
流れに委ね、削ぎ落としながら本質へと近づいていく“引き算の美学”を礎に、侘び寂び(Wabi-sabi aesthetics)、調和、そして静けさの中から立ち現れるものを描くことを大切にしている。
言葉や説明を超えた「存在そのものの響き」が、静かに観る方の内側へと届いていくことを願っている。
【略歴】
1977年 東京都生まれ。幼少期より独自の波紋線や模様をモチーフにした絵を描き始める。その後、水彩・油絵を学ぶ。
1989年 精神的な問題により筆を置く。
2018年 偶然触れた画材の感触が幼少期の記憶を呼び覚まし、再び創作の衝動が生まれる。独学で、流れるような線と花紋、曼荼羅を掛け合わせた「流紋様(りゅうもんよう)」という独自の表現を確立。
2019年 京都・清水寺 圓通殿での初展覧を機に、国内外へと活動の場を広げ、世界へと歩みを進める。
2023年 活動名をENAMI(Inami)に改め、パステル画にアクリルを取り入れた抽象表現に取り組む。
色彩と質感の重なりによって、目に見えない時間や記憶、存在の深層を映す響きのレイヤー(Layers of resonance )を描き出す。
2024年以降、展覧会への出展やアート制作の依頼に加え、オンライン販売を行いながら、Instagramやホームページを通じて新作や制作過程を発信。現在はWeb上での展示企画を中心に、月ごとに作品を発表・更新し、国内外の鑑賞者との出会いを大切にしている。
▶ コラボレーションや展示に限らず、店舗・空間にアートを取り入れるご相談や、イラスト・ビジュアル制作、プロジェクトでの作品提供なども、ゆるやかにお受けしています。作品や制作のひとこまは、Instagramにてご覧いただけます。
▶ 静かに綴られた“ことばの余白”
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noteへの扉は、トップ右上の「ウェブサイト」からそっとお入りください。
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【出展歴】
国内外の美術館・ギャラリーで作品を発表。
主な出展歴:
•2019年
「藝展―GEI-TEN―」国内展
(京都・清水寺 圓通殿)
•2019年
「ChristmasArt Collection inYOKOHAMA」
(横浜赤レンガ倉庫)
•2021年 「藝展―GEI-TEN―」海外展
(チェコ共和国・プラハ・マネス・エキシビション・ホール)
•2021年「Salon Art Shopping Paris」
(フランス・パリ)
•2021年〜2022年
「Japan Artistic Collection Museum」
•2023年
Web個展「不完全の系譜」
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【掲載画集】
•『日本藝術の創跡』No.25・26掲載
(2020年 / 2021年)
※日本各都道府県立図書館、美術大学、世界各国の大使館・美術館・主要施設に収蔵。