国枝俊成
平安時代から熊野信仰の霊場として修験者や数多くの参拝者が歩いたルートのうち、最も美しいと言われる勝浦から熊野那智大社・那智の滝に向かう大門坂です。昼間でもあまり陽の光が差し込まず、坂の両側にある大きな杉並木や江戸時代に作られた旧い石畳の風情は神秘的かつ厳かな雰囲気を醸し出しています。地面に落下した小枝や落葉を金の野毛や砂子で表現し、古道の先には胡粉を軽く被せ、神聖感や奥行き感を出しました。樹齢200〜300年の杉の木肌や樹間は写実的に描いたので、杉大木の迫力や空気を感じて頂ければ幸いです