軽井沢野鳥の森とその北側に沿って延びる小瀬林道があります。ある秋の日、野鳥の森から降りてきて思わず息を呑んだ風景が秋色に染まった小瀬林道です。午後遅く、周囲の森が暗くなりつつある一方、行手の道は西陽で明るく、かつ紅葉が輝いていました。樹々の紅葉は赤〜橙〜黄と複雑に混ざり合い、未だ緑を保っているカラ松並木から浮かび上がって、まるで前方に光のトンネルが続いている不思議な構図に感動しました。傍に停めてあった車をアクセントにしました。

平安時代から熊野信仰の霊場として修験者や数多くの参拝者が歩いたルートのうち、最も美しいと言われる勝浦から熊野那智大社・那智の滝に向かう大門坂です。昼間でもあまり陽の光が差し込まず、坂の両側にある大きな杉並木や江戸時代に作られた旧い石畳の風情は神秘的かつ厳かな雰囲気を醸し出しています。地面に落下した小枝や落葉を金の野毛や砂子で表現し、古道の先には胡粉を軽く被せ、神聖感や奥行き感を出しました。樹齢200〜300年の杉の木肌や樹間は写実的に描いたので、杉大木の迫力や空気を感じて頂ければ幸いです

竹林に真っ白な鷺の群れを描いてみました。両者のコントラストを際立たせるため、白い鷺は写実的に描く一方、竹林は鬱蒼感を出すため何度も地塗りし、葉は琳派風に意匠化、さらに地面の落葉は金の野毛と砂子を降りました。4羽の鷺は着地直前だったり、ダンスしたり、会話したりと、動きのある瞬間を捉えました。

雪景色の世界文化遺産「金閣寺」を主体に、手前の鏡湖池や背景の松や杉さらに北山の稜線の配置を考えながら、建物は金泥で彩色しつつ写実的に、雪を被る樹木は意匠化して描きました。灰色の雪空は艶を出すため朱色を少し被せ、極細の銀の砂子を降ることにより、金閣寺を一層際立たせてみました。