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Interview: 山中猛史

30年ぶりに銅版画を再開。カラフルなペン画も評判を呼ぶ

 
 

黒の奥深さに惹かれる

 
 


 
 
―銅版画との出会いを教えてください。
 
「教育大の美術科の頃、あまり油絵とかデッサンがしっくりこなくて、その時に新しく東京から版画の専門の先生が転任されて。やっていることを見ていると、白と黒だけの世界なんですけど、結構面白くて興味をもちました。」
 
―具体的に、銅版画のどういったところにのめり込みましたか?
 
「オリジナルの版を自分でちゃんと持っておけるというのと、みなさんにも同じ絵をお分けできるところがまず魅力だった。あと、色彩感覚に自信がなかったので、逆に白と黒だけで単純だったし、黒の奥深さに惹かれました。」
 
―プロフィールに、「就職のためにやめていた銅版画を30年ぶりに再開」と書かれていました。再開のきっかけを教えてください。
 
「退職後はよく旅行に出かけていたのですが、コロナ禍に入って行けなくなってしまって。それで部屋の大掃除をしていたら押し入れの中から版画の道具が一式出てきて、再開してみようと思ったんです。」
 
―運命的ですね。
 
「そうですね。コロナ禍で意外なものと再会できました。」
 

 
 

見る人に自“由”に楽しんでほしい

 
 

 
 
―先ほど、「色彩感覚に自信がなかった」と話されていましたが、カラフルなペン画も描かれています。その出会いはいつ頃ですか?

 
「版画を再開してからなので最近です。下絵を描いていた黒ペンのインクがなくなって文房具屋に行ったら、メタリックペンを見つけて。家に黒いスケッチブックがあって使い道がなかったので、試しに描いてみたのが最初です。」
 
―色以外での違いはどういったところでしょうか。
 
「銅版画は10枚のエディションを切っているので購入する場合は、その10枚の中からどれか1枚になります。ペン画は、その1枚限りです。」
 
―版画もペン画も、描く上で心がけていることはありますか?
 
「初期の作品が分かりやすいのですが、絵の中に“Eye(=目)”を入れていて。そこから線を伸ばして描いていく。描き始めはどうなるか全然予想していなくて、“これ、こんな感じかな”“ちょっと動物っぽいな”とか思いながら最終的に仕上げていく。モチーフを決めて描くときもあります。」
 
―お気に入りの作品を教えてください。
 
「版画の方になりますが、プロフィールのアイコンにしている『YU 1981』です。“YU”には、遊びの“遊”、優しいの“優”、友人の“友”という意味合いがあるけど、一番は、見る人に自“由”に楽しんでもらいたいという思いが強いです。」
 

 
 

地元で個展かグループ展をやってみたい

 
 

 
 
―Instagramのフォロワー数も多く、人気ですね。
 
「絵を公開しているうちに自然と増えていきました。作品もたまってきて、フォロワー数が500を超えた時、1000を超えた時に、自分で持っているよりは誰かがもらってくれて飾ってもらえるといいなと思って、プレゼント企画も実施しました。」
 
―それは嬉しいですね。他に、これまで絵を描いてきて印象的な出来事はありますか?
 
「大学在学中、今も続いている『大学版画展』の第5回、第6回展に出展して、第6回展では、作品買い上げ賞に選ばれて作品を収集していただきました。東京芸大や武蔵美、多摩美など版画に取り組む大学が集まっている中での受賞でしたので、制作を続ける上で大きな自信になりました。」
 
ーすごい実績ですね! 最後に、この先、描きたいものとか、「ここで展示をやりたい」と思う場所はありますか?
 
「基本はハガキサイズくらいの大きさに描いてきたので、もう少し大きめのA4 サイズくらいの作品を作れたらと。あと、できたら昔、地元(愛知県岡崎市)の画塾でお世話になった画材屋さんで個展かグループ展もやってみたい。少しでも見てもらえる人が増えていけば嬉しいです。」
 

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