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Interview: まかよん

自身も楽しみながら、
誰かを笑顔にできる絵を描きたい

“ 絵を通して広がる世界 „

水彩画を描きたいと思ったきっかけは、家族と行ったヨーロッパ旅行でした。
現地に着いたとき、日本との空気の違いに驚きました。ヨーロッパは日本よりも空気が乾燥していて、「油絵に適した環境だな」と感じたんです。
 
 
日本で油絵を描いていると、何だか重たく感じてしまって。反対に、「湿潤なアジアだからこそ、水墨画が発展したんだな」と納得したというか。「日本で絵を描くなら、私には水を使った水彩画の方が描きやすいかもしれない」と感じたんです。ヨーロッパに足を踏み入れて「いつか日本で水彩画を描けたらいいな」と思った気持ちは、ずっと心に残っています。
 
 
小さい頃から絵が好きで、広告の裏に落書きをしたり、教科書の隅に漫画を描いたりしていました。祖父が趣味で日本画や油絵を描いていたのですが、祖父のスケッチブックを時々開けては、新しい絵がないかなと探すのが好きでした。大学のときに絵のサークルに入って、そこで初めて油絵とアクリルを描き始めたんです。
 
 
大学を卒業してからは普通に就職し、子育てや介護に精一杯で、絵に本腰を入れられずにいました。やがてやるべきことが一段落したとき、家族に「SNSに絵を載せてみたら」と言われたんです。そこでInstagramを開設して、以前に描いた絵をおそるおそる載せてみることにしました。
 
 
すると、フォローしてくれる方やリアクションを残してくださる方がいて、「名前も経歴も公開していないのに」と驚きましたが、それと同時に楽しくなっていったんです。
他にもグループ展にお声がけいただくなど、Instagramを通して絵のフィールドが広がっていきました。
自信が無くても、挑戦することって大切ですね。若い画家さんとの交流も増えて、良い刺激になっています。

 
 

“ 鑑賞者を楽しませたい „

ガラスの透明感に魅了されて、七宝焼の教室に10年間通っていました。七宝焼は希硫酸などの薬品を使います。長女が産まれてから「幼い子どもがいる家の中では、危なくてできないな」と思い、中断してしまったんです。
その後、天野隆生先生の教室に通うようになって、そこで初めて透明水彩に出会いました。上から色を重ねても下の色が出てくる透明水彩に、七宝焼のガラスの美しさと同じ魅力を感じました。現在は、七宝焼と透明水彩が融合した作品作りも目指しています。
 
 


 
 
『眩しい朝』という作品は、「七宝焼と透明水彩の融合」が上手く表現できたと感じています。
この作品は、ガラスのひび割れを通して朝日が差し込んでいるイメージで、好きな色を使って描きました。木なども描きながら、鑑賞者の気持ちが入りやすいように意識しています。七宝焼で使う銀箔を追加しても面白いかもしれませんね。
 
 
絵の題材は、季節の花が多いですね。梅雨だったらアジサイを見に行ったり、森林公園にも行ったりして、描くものを決めています。
今後は動物にも挑戦していきたいですね。ダチョウやゾウなど、ユーモラスな感じの動物を描きたいです。鑑賞者の笑いをとりたいというか(笑)関西人なので、その文化が根付いているんだと思います。
 
 
動物園で見たカバやユキヒョウを描いてInstagramに載せたことがあるのですが、フォロワーさんから「動物が上手ですね」とお褒めの言葉をいただいて。動物のような「動きのある題材」は得意ではないと思っていたので嬉しかったですね。
動物は描いていても楽しいので、どんどん挑戦していきたいなと思っています。

 
 

“ 生活の中で絵を楽しむ „

以前、SNSで知った尊敬する画家さんが「まかよんさんは、生活の中で絵を楽しんでいる」と言ってくださって。自分ではあまりその自覚が無かったのですが、それからはその気持ちを忘れずにいようと思ったんです。
 
 
コロナ禍で世の中が外出を自粛していた2020年の4~5月の2ヵ月間、その日それぞれの誕生日の花を描いてInstagramに載せました。フォロワーさんが「私の誕生日の花は何だろう」と楽しみに待っていてくださって、その企画は面白かったですね。
「毎日の誕生日の花をまた描いてみよう」「面白いカバを描いてみよう」など、生活の中で楽しみながら絵を描いています。そうして描いた絵が、誰かに笑ってもらえたり喜んでもらえたりすると嬉しいですね。
 
 


 
 
今後の夢の1つとして、「病院に飾られる絵を描きたい」と思っています。建物や景色を明るい色調で描いて、「退院したらこんなところに行ってみたい」とか、患者さんの気持ちが明るくなって、前向きになれるような絵を描きたいです。
 
 
描きたいものがたくさんありますね。誕生日の花や動物、建物、景色…。私には「画家で食べていかなきゃいけない」というようなプレッシャーはありません。でも、「老後の趣味」とは違っていて。目標に向かって絵を描き続けて、これからも絵の技術を磨いていこうと思っています。
 
 
私は少し面倒くさがりで、自発的な行動が苦手でした。今までも、家族に勧められてSNSを始めたり、展示会にお誘いをいただいたり。今後は自分でやりたいことを見つけて挑戦していきたいですね。
私が絵を描く原動力は、鑑賞者の笑顔です。笑顔を生み出すために、自分自身も楽しみながら絵を描き続けられたら嬉しいです。

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