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Interview: 日南田淳子

日南田淳子インタビュー

 
 

“ 抽象画を描くきっかけとなった体験 „

 
 

 
 

―デザイン領域の活動を始めたきっかけについて教えてください。

「高校生の頃にどうしたら、絵を描くことが仕事になるのか考えたのがきっかけです。もともと、絵を描くこと自体は好きでした。しかし、当時はインターネットが発達しておらず、絵を描くことに対して、仕事にできるイメージを持てていませんでした。その後いろいろと調べていくにあたって、イラストやデザインの仕事があることを知り、専門学校で知識をつけてからデザイン領域に携われる会社へ就職したのがきっかけです」

 

―抽象画を描かれるようになった理由を教えてください。

「私の友人と行った、子供たちとのワークショップがきっかけです。そのワークショップのなかで、ピアニストさんとコラボする機会がありました。ワークショップの内容としては『音楽を聞いて大きな紙に絵を描く』というものです。

このワークショップは2年ほど行ったのですが、初年度に私自身『音楽を聞いて大きな紙に絵を描く』という経験がないため、子供たちとイベントをする前にやってみたのです。すると、私の方がハマってしまい、描き始めたら止まらなくなってしまいました。これまで抽象画を描いた経験はなかったため、このワークショップがきっかけです。

その後、描いた抽象画を個展で展示する機会がありました。個展と言っても、クローズなギャラリーをお借りしたわけではなく、ショッピングビルの一角をオープンなギャラリーにした場所です。そのため、ショッピングビルに訪れた方がふらっと立ち寄るようなイメージでしたね」

 
 

“ 絵を通じて人はつながっていける „

 
 

 
 

―個展での展示を始められたきっかけについて教えてください。

「私が描いた抽象画を、他の方に見せたらどうなるのだろうかと考えたのがきっかけです。
当時はとにかく画用紙にぐるぐる書いただけだったのですが、とにかく抽象画にハマっていたというのがありました。そこで、描くだけでなくこの作品を見せたらどうなるのだろうかと思うようになり、やってみようという気持ちになりました」

 

―実際に展示されてみて、感じたことはありますか?

「絵がもたらす力は、すごいと感じました。

初めて展示した時は、ちょうど東日本大震災が起きた翌月だったためか、作品を見られた方が泣いていかれることもありました。お話を伺った方のなかには『ようやく息ができました』と、言ってくださる方がいたことを覚えています。その経験を通じて、絵にはすごい力があるのだと実感しました」

 

―他にはどのようなことを感じられましたか?

「絵を展示することで、他の人と共有できつながっていけるものなんだと感じました。

抽象画はなにかが描かれているわけではないため、人によってまったく違う風景が見えています。そのため、同じ絵を見ている方同士は外から見えているものではなく、人の内側にある感情によってつながっているのではと考えるようになりました。目の前にある作品を通じて共鳴するというのは、非常に素晴らしいことではないでしょうか。

ですので、もしかすると絵を通じて人はつながっており、感じ合えるものなのかもしれないと考えるようになりました。壮大な話ではありますが、同じ作品を見ている方同士が共鳴することで、人はつながっていけるのだと感じています」

 
 

“ なにも考えずに作品を見てほしい „

 
 

 
 

―今後の目標や、ご自身の活動を通じて取り組みたいことなどあれば教えてください。

「より多くの方に作品を見ていただきたいので、さまざまな取り組みができればと考えています。

絵で収入を得ようとする場合、自身の作品を購入いただくことが一般的です。一方で、他にできることがないかと試行錯誤しています。例えば、現在準備を進めている絵の出力サービスがその一例です。

よくある話として、とある絵に興味をもったものの、原画だと大きすぎて飾れないという悩みがあります。その際に、ハガキなどの小さなサイズで販売できれば、購入するハードルも下がるのではないでしょうか。小さなサイズであれば、自分が気に入った作品を飾りやすくなります。生活のなかでアートがより身近になれば、絵を見て癒されたり会話や行動のきっかけになったりすることもあるはずです。

あとは、医療とアートをつなげる取り組みができればと考えています。病院のような医療機関では、入院されている患者さんだけでなく、働いている方も大変な毎日を過ごしているはずです。そのため、癒しや活力につながるという点で、医療現場においてアートを通じてできることがあるのではと考えています」

 

―作品を見る方へのメッセージをお願いします。

「見ていただく方へのメッセージとして、私の作品を見る際は『なにも考えないでください』とお伝えしたいです。なにも考えずに見ていただき、そこでどのようなことを感じていただいても良いと考えています。

普段の生活においては情報量が非常に多く、常になにかしらのことで頭を働かせているはずです。そのため、仕事以外においても頭を休ませる機会がないという方が多いのではないでしょうか。ですので、頭を働かせないという贅沢をしながら、作品を見ていただければ幸いです」

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