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Interview: ほんだ猫

ほんだ猫インタビュー

 
 

“ ある一言から始まった猫の絵 „

 
 

-絵を描き始めたのは、いつの頃からですか?

「私は少女漫画が好きで、子どもの頃からよく真似をして描いていました。本格的な絵の勉強をしたことがないのに、大学時代は芸術学部デザイン科に進学。しかも、その頃は絵よりも文章を書く方が好きで、将来は小説家になりたいと思っていたんです。卒業制作も活字をデザインするタイポグラフィに取り組みました。
 
大学卒業後はライターとして広告代理店に勤務し、デザイナーさんのお手伝いもしていました。その後は結婚して子育てをしつつ、ほかの仕事もして…という忙しい毎日に。子どもが大きくなって、初めて『そろそろ自分が好きなことに目を向けてもいいんじゃないか』と、思えたんです」
 

-そのタイミングで猫の絵を描き始めたのでしょうか。

「猫を描くようになったのは、少し先の話になります。まずは絵画教室に通って、学生の頃に苦手だったデッサンを勉強し直しました。
 
実は私、乱視なので見たままの線を捉えるのが難しいんです。それでも教室で一生懸命、デッサンの勉強を続けました。2年くらい経った頃、教室の先生に『こういう絵も描くんですよ』と、今のスタイルに近い絵を見せたんです。そしたら『これ、いいじゃないですか』って言ってくださって、そこからどんどん描いて、周りの人にも見せるようになっていきました。
 
猫の絵を描くようになったのは、ある人から『猫の絵を描いてほしい』と言われたのがきっかけです。できあがった絵を見せたら想像以上に評判が良くて『じゃあ、これから猫を描いていこう』って。とても単純な理由で描き始めたんですよ(笑)」
 
 

 
 

“ 日々の暮らしの中で描き続けるスタイル „

 
 

-水彩ならではの柔らかさやぬくもりが伝わる作風ですが、画材へのこだわりはありますか?

「描き始めた当初は何もわかっていない状態だったので、紙や絵具に対するこだわりはありませんでした。最初の頃はスーパーで売っているスケッチブックに、水をたっぷり含ませた絵具を乗せて描いていたから『うわぁ、紙がベロベロになったぞ』って(笑)。ドライヤーで乾かせるレベルじゃないから、2~3日かけて自然乾燥させていました。
 
でもそれが功を奏して、ちょっと変わった風合いに仕上がって好評だったんです。さすがに今は自然乾燥ではなく、同じ風合いが出せる絵具を使っています」
 

-日々、SNSに作品を投稿されていますが、1日の中で絵を描く時間は決めていらっしゃるのでしょうか?

「私にとって絵を描くことは日常の一部なので、『描けるときに描く』というスタイルです。昼間は別の仕事をしていますし、主婦業もあるので、机の上には常に絵具や紙を広げておき、空いた時間にパッと始められるようにしています。
 
毎日、絵を投稿していたら少しずつ見てくれる人が増えていきましたし、『いつも楽しみにしています』という声もいただけるようになりました」
 

-絵を描き続けるモチベーションを保つ秘訣はありますか?

「秘訣ではないですが、残りの人生の中で、あと何枚の絵を描けるんだろうって考えるんです。例えば今から20年間、休まず描いたとしても7300枚しか描けません。もちろん全ての絵を1日で描くわけではなく、同時並行で作業を進めながら時間をかけて仕上げる作品もあります。残りの枚数を考えると、毎日描かないともったいないって思いますし、日々の投稿も苦にはなりません」
 
 

 
 

“ たくさんの人のそばで生き続ける作品を „

 
 

-作家活動の中で、大切にしていることはありますか?

「どんなに自分が気に入っている作品でも、『この絵がほしいです』って言われたら販売するようにしています。以前は気に入った作品を手元に置いていたのですが、半年くらい経つと満足してしまうんです。そうした自分の性格がわかってからは、『ほしい』と言ってくださったときが手放すタイミングだと思うようになりました。
 
また、日本は災害が多い国なので、自分の家がいつ、どうなるかわかりません。いつまでも作品を手元に置いておくよりも、絵を大切にしてくださる方々にお渡しした方が、作品が生き続けられるのではないかと思うんです」
 

-最後に、今後の目標について教えてください。

「子どもが好きなので、将来的には保育園や小児科など、子どもたちが訪れる場所に絵を寄贈できるようになりたいです。そのためにも『この絵、見たことある!』って思っていただけるレベルまで頑張ろうと思っています。そうじゃないと、寄贈された側も困惑してしまうので…(笑)。
 
私の絵は人との距離感が近いみたいで、作品を買っていただいた方から『毎朝、行ってきますと声かけてから出かけています』とか、『おやすみって言ってます』などの声をたくさんいただくんです。
ありがたいことに『見ていると癒される』と言われることもあり、子どもたちをはじめ、なるべくたくさんの人のそばで生き続けられる作品を届けていきたいと思っています」
 
 

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