陰鬱な幻想や悪夢を油彩、水彩で絵本チックに描いています。 ただ「恐ろしいもの」ではなくそこに切なさや愛しさを感じていただけたら嬉しく思います。
【略歴】 1999年 ・岩手県生まれ 2022年 ・京都芸術大学通信教育学部在籍中 ・現在使用している技法は全て独学
【グループ展】 2022年4月 ・横浜にてグループ展「水と油展」 2022年12月 ・合同会社日本文藝グループ展「冬の藝術展2022」
「死物回遊 」まがい
45,000円
陸にいられなくなり、海へ潜った。深い深い海の底で巨大な鯨の骨に隠れて住んだ。 鯨はどんどん大きくなって、光を灯しながら泳ぎ始めた。 真っ暗な海をゆっくりゆっくり泳いでる。泳ぎ続ける鯨の骨で眠りながら、涙を流す。本当はずっとここに居たいのに。 私達は陸で死ななきゃいけなかったのに。無意味に生き延びてしまった。 鯨は涙を隠すように煙と油を吐いた。ぐるぐるぐるぐる水に溶けることなくまわってる。この温もりで生き長らえてしまった私達はどこへ向かうのか。 死んだ鯨はどこへ向かいたいのか。私達は生きていない。死んでなお回遊する。死物回遊だ。