WORKS作品
INTERVIEWインタビュー
「個性の強さ」を自信をもって証明したい
変わり種を己のものにする。
「中高は普通科ではありましたが、美術系の授業は好きで力を入れていたと思います。大学は多摩美術大学の造形表現学部に通いました。子どもの時から色々なことをしてきたけれど、なんだかどれも上手くいかなくて、”絵でも描いてみたいな〜楽しいんじゃないかな?”という思いで始めてみました。大学での専攻はスペースコミュニケーションです。そこは夜間の学校で、18時から21時頃までという授業時間帯。同級生には同い年を含め社会人の人や、2まわり以上年上の人もいて、幅広い層の学生が揃った刺激的な環境でした。スペースコミュニケーションとは空間を作るタイプのアートで、イメージとしてはインテリアコーディネートに近いのかもしれません。現在僕は平面のカンヴァスに絵を描いていく作風が主ですが、立体物を作ってみたいなという気持ちは常々ありますよ。」
独創的な作風は、見事な空間の使い方が効いているようにも見える。学生時代のスペースコミュニケーションへのアプローチも関連しているのだろうか。常識にとらわれないだーくろさん。変わり種カンヴァスを上手に用いて制作することにも長けている。
「主にアクリル絵の具を使ってパネルやカンヴァスに描いていきます。まず何か描きたいなと思いつくんです。”でも四角のカンヴァスだけでは飽きてしまうし、何よりありきたりだ“ ”他の人も四角いカンヴァスに描いたアートはたくさん描いているしな?”と思い変わり種を探していたところ“コレだ!”と思う出会いがありました。変形のカンヴァスを見つけたんです。円形やハート型など不思議な形をしているものが色々あります。”これ面白そうじゃん。(ニャッ)使ってみるかな!”というきっかけで、変形の既製品カンヴァスを使用するようになりました。」
作品への想いや制作意図は
「まずはスケッチをしてこんな感じかなと出来上がる。その後に、ここのパーツにはこの色がいいかなとある程度考えます。絵の具の色を実際に出してみて、テイスティングじゃないけれども状態を見ながら色を合わせていき、あとはフィーリングで色をつけていきます。中にはここだけは譲りたくないという箇所もあり、そういう時は自分の気持ちが赴くままに描いていくことを大切にしています。」
特徴のひとつであるはっきりとした彩度の高い色使いについてだーくろさんはこう話した。主に静物画でモチーフを目の前に用意し、形をとって描き始めるスタイルだという。そこで欠かせないのがプラスアルファの自分らしいアレンジを加えること。自身の作品について"現代的でモダンでポップな感じ"だと話した。中でも2つの作品について思いや経緯を聞くことができた。
「「I screme」 というアイスクリーム型のモチーフを描いている作品は、ダジャレみたいに"アイスクリーム"という音に着目して制作しました。scremeは"悲鳴をあげる"という意味です。一見普通のアイスクリームかなと思って見たら、そこに唇があってその中には目玉が入っていて。見ている人がちょっと怖がるかななんていう遊び心で制作しました。
「終わりと始まり」 に描いているのは桜の花びらとカバン、学生服、校舎を撮影した写真です。僕にとって日本では3月は物事が終わっていく特別な時期です。学生時代に使っていたものを思い出として、自分のハートの中にしまっておくといった文脈で制作しました。自分の心をアルバムのように見立てています。カンヴァスはハート型のものを使いましたね。これは実際に3月頃に描いた作品で、3月をコンセプトとしたグループ展に出展したものです。
自分にしかできない自分なりの画風こそ
「仲の良い友達に、“だーくろの絵は正直言って大衆受けは難しいんじゃないかな”と言われたことがあって、その時は“まぁそうだよなあ”と我ながらあっさり認めてしまいました。他にもディスりの意見は数知れず、その度に認めては落ち込む事もありました。現代的でモダンでポップ。その漫画チックな作風には自分の好きなものが反映されています。漫画やアニメが好きで、インスピレーションを受けては盛り込んでいきます。自分はどちらかと言うと繊細な絵は向いていないかなと思っていて・・・。ハッキリ言うと、大バズりするような画力は今の自分には無いのかもしれません。」
その分だーくろさんが追求したいのは、自分なりのテイストを大切にしたオリジナリティのある作品づくりだという。そこには繊細で上手くきれいな絵を描くこととは違った何かがあるのではないかと語り、自身の作風を通してオリジナリティを持つことの強さや素晴らしさを伝えたいという熱い思いを語ってくれた。
「僕は自分自身のオリジナリティがある人こそが強いんだということを、自分の作品を通して示していきたいと思っています。もちろん繊細で写真のような絵や、綺麗な絵を描いてヒットして有名になる人はたくさんいるし、そういう作家になりたいなと思っている人もたくさんいると思います。中には上手い人たちを見て”俺はダメなんだな”と自信を喪失している人がいるかもしれない。 僕だって上手いなって思う人の絵を見ると尊敬するし、時には嫉妬して少し自信がなくなる時もあります。けれど変な話、上手い絵を描こうとすれば誰にでもできてしまうんです。量をこなしていけばもちろん僕だって上手くはなる。だけど自分にしか描けない自分なりの画風を持っているってことが強いんだと、僕は自分自身を通して証明したいと思っています。」
EXHIBITIONS展覧会情報
2024.08.01 ~ 2024.08.15
だーくろWeb個展V の展示/リアルなアート
色やモチーフにかかわらず、自分の中でトキメキを感じたら、 気の赴くままに描いていきます。 今/br回初の個展かつVRというアプローチでの展示もあり、、、 ここで...