Interview: Megumi Matsukawa

絵を通して、ありのままの自分に戻る

 

“ アルコールインクアートとの出会い „

 
「絵を描き始めたきっかけは、大失恋でした。彼氏に振られて、それはもう大打撃で。毎日泣いていました。当時アパレル企業の会社員として働いていて、後輩から『どうしたんですか?』と心配されるくらい泣き腫らした顔で出社していたんです。
そんな私を心配した後輩が『新しい趣味を始めてみませんか?』とアルコールインクアートの初心者向けサイトを教えてくれて。それがアルコールインクアートとの出会いでした。

アルコールインクアートのニュアンスが、私の好きなネイルデザインと似ていたので勧めてくれたみたいで。とりあえず道具を一式買い込んで、始めてみることにしました。とにかく無心になれる時間が欲しかったんですよね。

それからは仕事が終わって家に帰ると、寝る時間までずっと描いてました。紙にインクの滴を落とすと色が広がって、その上から風を乗せると色の広がり方が変わっていく。そんな色の流れや動きに面白さを感じました。
アルコールインクアートは、自由なんですよね。学校の美術の授業で学ぶような『対象の物体を正確に表現する』という描き方ではなくて、言語化できないような感情や感覚をそのまま表現できるので、自分を肯定できる感覚がありました。」
 
 

“ 人とのつながり、幸せの廻り „

 
 
「絵を友人に見せたりSNSに投稿したりしているうちに、展示の機会をいただけるようになりました。たくさんの人からチャンスをいただいて、私のことを応援してくれる人、絵を見て喜んでくれる人、そんな人たちとのつながりが本当にありがたくて幸せを感じています。
そんな幸せな気持ちを絵で表現して、その気持ちが他の人にも伝わっていけばいいなと思い、初めての個展のタイトルは『廻』に。そこで改めて『人に絵を見せる』ということを意識して作品を描きました。」
 
 


 
 
「その後、画家として本格的に活動を始めてすぐに決まった東京の個展では、ギャラリーの壁一面を飾る縦1.3m、横2.7mの大きな作品を描くことになったんです。急に決まった個展だったので、残された時間は二週間。そこから紙を用意するまでに四日間。十日間で作品を完成させなければなりませんでした。でもすごくワクワクしていて、『やるぞー!』と燃えてたんです(笑)

当時はちょうど新型コロナウイルスが流行し始めた頃だったので、ちょっとでも気持ちが明るくなるように元気なカラーで、東京のオアシスになるようなお花の高原を描くことにしました。絵を見てくれた人が前向きになれたり、癒しを感じてくれたりしたらいいなと思って。

1Kの部屋で大きな紙を広げて、がむしゃらに描きました。遠くからバランスを見ながら描くことができず、さらに急いで仕上げた作品だったのであまり自信がなくて。でも結果的にこの『花高原』という作品はたくさんの方から反響をいただき、とても思い入れのある作品になりました。」
 

 

“ 自然物を描くことで「殻」を破る „

 
 


 
 
「5絵を描いている中で、自然物に意識が向くことに気が付きました。きっと、田舎育ちということも関係あるのかもしれません。自然からエネルギーをもらって生きてきて、実は自分の中での重要度が高いものになっていたみたいで。自然物を描いていると、ほっとするんですよね。なので私は、基本的に自然物を題材にしています。

私の絵って『個展のたびに画風が変わるね』と言われるくらい常に変化していて。それって自然物を描いているからなのかなと思うんです。
アルコールインクアートに出会うまで、社会の中で自分のキャラクター設定が生まれたり、心と乖離した判断をしてしまったりすることが多くて。でも、アルコールインクアートで自然物を描くことでありのままの自分に戻ってきていて、それが絵にも表れてきているのかもしれません。本能のままに、好きなように生きられる自由を感じています。

これからも自然物を描きながら、自分の殻を破っていきたいですね。そして他の題材として、日本文化にも挑戦したいと考えています。
日本文化の独自性は、日本にとってかなりの戦力になると思うんですよね。日本文化の魅力をアートというジャンルから世界に広げていけたらいいなって。自然物と日本文化、この二つの題材を軸に活動を続けていきたいです。」
 
 

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