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Interview: 創英ギャラリー

株式会社創英ギャラリー 代表取締役 海老原英男


1955年東京都品川区生まれ。大学卒業後、業界大手「株式会社泰明画廊」に入社。2004年に取締役就任。12年に独立。
「株式会社創英ギャラリー」を銀座並木通りに開廊。美術品の鑑定や買い取り、販売、オークションの代行、展覧会の企画を手掛ける。

 

どのようなきっかけで画廊を始めたのでしょうか?

大学を出て銀座の泰明画廊というところで30年以上勤めていました。そしてふとしたきっかけから、お客様等色々な方から「一人でやったほうが良い」と独立を勧められていたのです。そんな折にタイミング良く銀座のビルのオーナーから利用許可をいただきこのビルに入ったことが創英ギャラリーのスタートです。

 

大学で教員免許を取得されたと伺ったのですが美術の先生ですか?

いえ、中高の国語と書道の教員免許です。ただ大学卒業時学校の先生は空きがなく、
泰明画廊に面接に行ったところ採用していただき、それで美術の世界に入ることになりました。

 

元々美術の世界に興味があったのでしょうか?

それほどですね。

一般的に大学生が画商や美術商などは就職の選択肢にならないと思いますし、そもそも知らない人の方が多いと思います。
親が美術商などだったら別ですが、私の親は全然違う仕事なので。でもそんなきっかけから美術業界に入ったわけです。

泰明画廊で定年まで勤めようかなと思っていたらいつの間にかこんなこと(独立してギャラリーを持つ)になってしまって(笑)
でも大きな画廊で修行させて頂いたので良い絵を見る目は養われましたね。
独立する時も協力してくれるコレクターさんがいて、何点か絵を売らせていただいたんですよ。

 

1人で100点くらい売らせてくださった方もいらっしゃって、皆様からお預かりした絵画の金額は5億くらいだったかと思います。
だからお金はなかったけどすぐに商売ができたわけです。お蔭様で今や有名な物故作家さんの作品も扱っているし、展示しているように現在活躍している作家さんの作品も多数扱えるようになりました。

 

ギャラリーに展示していない作品も結構ありますか?

物故作家さんは展示をする前には売れてしまいますね。名画の動きは本当に早いです。
正直な話、売り上げで言うと展示していない作品のほうがあります。ただそれだけでギャラリーを運営してしまうと次の世代の作家さんが育たないので、作家さんを育てていくために展示をしているというのはあります。

今多くの貸画廊はどんどん潰れてしまっています。例え銀座であっても、最近まで予約が一杯入っていたような貸画廊が突然潰れたりもする。新規オープンする画廊は少ないから結局どんどん画廊の数が減っていき、作家さんが作品を展示する場所が少なくなっているのが若手作家の現状です。
そのためにもうちがスペースを持って展示をすることは美術市場にとって意義のあることだと思っています。

 

作家さんとはどのように巡り合っているのでしょうか?

紹介が多いです。基本的にうちで展示するにあたって一応の基準はありますが、ある程度のレベルの作品を出していただけるのであれば大抵お付き合いするようにしています。
それと銀座の画廊に紹介する前提なので紹介してくださる方もある程度の水準の方を紹介してくださいます。結果的に紹介の場合は結構「どうぞどうぞ」に近くなっているのだと思います。
逆に作家さんから直接アプローチなどは全くないです。

 

アートに対する捉え方は日本と海外ではどのように違うと思いますか?

まず質が違いますね。
日本は色々な文化を受け継いで色々な文化を愛好し、その中の一つとして美術品という文化を愛好しています。ヨーロッパなんかはものすごい格差のある社会なので、展覧会があっても売れるは本当にごくわずか、、なんていうことも珍しくありません。
日本は大金持ちが少ないですから、海外に比べると。
海外に行って上場会社の社長8名くらいとお食事をしたことがあるのですが、みなさんヘリコプターを持っていました(笑)2人くらいはジェット機もお持ちでした。。
もう、高層ビルも、

 

「これとこれとこの高層ビルは僕のだよ」

 

という世界です。
日本では一般的にビルを個人で所有することはほとんどないと思います。大抵大企業が所有していると思います。
ただ、そんな大金持ちがいる一方貧困層もいるのでものすごい格差です。

日本は美術品を買うことにおいてだいぶハードルは低いということでしょうか?

低いと思います。買うということにおいては大分低い。
また最近だと経済成長真っ盛りの台湾、フィリピン、タイ、マレーシアあたりの東南アジアの国々では最近美術品が動くようになってきました。

経済が見えると未来が見える。
未来が見えると美術品を見る目が養われて
心が豊かになる。
美術品を扱っていると、上場企業の社長とか経済のトップとご一緒する機会が多くあるので経済も自然と見えてきます。
先が見えないとやっていけない。
美術品を扱うということは一流作品の目利きができ、経済の情報を仕入れて一流の経済人と付き合うということ。そうしないと話が合わないし、先が見えません。
経済を見ることができれば未来を見ることができる。
だから美術品を見る目が養われて豊かな心が育まれると思っています。

 

おすすめの作品とおすすめするポイントを教えてください。

箱根の成川美術館から紹介して頂いた芳澤一夫という作家さんが一押しです。何故この方が今まで表に出てこなかったのか!?というくらい掘り出し物の作家さんです。
この絵などはすごいバックの処理に手がかかっているのです。

 

日本において美術はまだまだ誤解が多い分野かと思います。これから日本でもっと広がっていくためにはどうすれば良いでしょうか?

先ほども少しお話しましたが経済が活性化していく必要はあると思います。
例えば、なんでも100均で揃えられたり、なんでも格安量販店で揃えられる時代ではありますが、格安物が売れていくとそこで働いている人たちの賃金は高いと思いますか?
その人達が働いたお金でまた買い物をするわけですが、給料が低いと良い物を買えない、だからまた格安量販店等で済ませてしまう。
この流れでは相対的に賃金が上がっていかないわけですよ。

だから例えば安い物を3つ買うのではなく、ちゃんとした物を1つ買うとかそういう選択ができるようになると良いと思います。
経済と文化はイコールですから。

 

芳澤一夫_RIZUMU.jpg
作家名:芳澤一夫
作品名:RIZUMU
ジャンル:油絵
サイズ:M6号
価格:420,000円
芳澤一夫_〇△□
作家名:芳澤一夫
作品名:〇△□
ジャンル:油絵
サイズ:M8号
価格:560,000円

family.jpgご家族との1枚

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お客様のニーズに応えるため数多くの作品を所有している

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