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Interview: rito

地球からの愛をたっぷりと受け取って

 
 

“ 自然への感謝の気持ちでいっぱいに „

 
 
「私の中で大切にしているモチーフは宇宙や自然です。きっかけは昔に体験した不思議な出来事でした。身近な人を亡くし、とてもつらい経験をしていたときのことです。お散歩中に、アスファルトの間に生えているような草に目がとまりました。その草は人に踏まれても、気がついてもらえなくても地球の空気をきれいにしてくれているんだなと考え、”すごいな”とふと思ったんです。心の中がありがとうという気持ちで溢れました。その時、その草と、近くにいた木と、私が、まるでシャボン玉の中のような異空間に入り、その中で数秒間”気づいてくれてありがとう”という感謝の感情と愛で包み込まれるという不思議な場所に巡り合ったんです。言葉では伝えられないような経験でした。地球がたくさん愛を送ってくれていることを感じたその日から世界の見え方はまるっと変わり、その事実を絵に乗せて人に届けてみたいと思うようになったんです。」
 
宇宙や木、青空や自然などをたっぷりと自由に表現されるritoさん。自然や地球に対する感謝の気持ちを存分に表現されている作品たちは鑑賞者の心をあたためることだろう。同時に、自然が大好きだという気持ちも伝わってくる作品たち。そんなritoさんがはじめて描いた絵は、根っこにハートがついている木の絵だったのだという。
 
「初めて絵を描いたのは2年ほど前、2022年頃です。ぽんと急に絵が描きたくなり、木の板やアクリル絵の具など画材を買いに行きました。はじめてのモチーフは木です。木の根っこにハートが付いている絵を描きました。絵を描きはじめる時、毎回明確なイメージをもとには作っていません。漠然としたものを描きながらいいなと思う色合いや、形にしていきます。常に考えながら出来上がっていくのを自分でも楽しんでいて、完成したときにはいつも”あっ今回はこんな風に出来上がったな”と感じています。」
 
 

 
 

“ 愛しさや素晴らしさを、作品に乗せて „

 
 
「歌でもアニメでも、人に感動を与えて受け入れてもらうことができるアート作品は、非日常的な要素でも誰かにメッセージを届けることができるものだと考えています。そこで私は、人と植物の関係性について、お水をあげることできれいに元気に咲いてくれて”愛の交換”をしているのだということを表現したいなと考えています。対等なんですね。はじめの絵は板にかきましたが、日本橋アートさんで販売を始めるにあたってカンヴァスに描き始めました。」
 
はじめの1作を板に描き上げたというのは、なんとも独特で素敵なエピソードではないかと思う。ritoさんはご自身の作風について、とても幅広くその時々に感じたことを表現しているためメソッドのようなものがなく、のびのびと表現をしているのだと語ってくれた。絵だけではなく、アート書にも挑戦されているritoさん。とても美しい字の上に独特の表現を重ねられるアート書も、とても魅力的だ。
 
「私は絵の勉強を特別にしていないのですが、そのことをラッキーなことだと捉えています。自分のスタイルが決まっていません。原色を使うこともあれば、心の音を繊細に表現したい時もあり、モチーフも様々なものを扱います。みてくれている人は本当に一緒の人が描いたのかと驚くこともあるかもしれません。とにかく描くことが楽しくて、いろんなものが好きです。色も何色でも好き。文字を書くことや見ることも好きなので、字を重ねたようなアートも発表しています。習字は小学校の頃に少しだけ習いました。こちらも墨ではなくアクリルで書いています。乗せたい思いがあって文字を選んでいるので、物語性を感じてもらうこともできるかもしれません。」
 
 

 
 

“ 明るいことも暗いことも揃って完璧なのだから „

 
 
「つらいことがあったときに、私は起こった出来事を見て果たして何を学べばいいのかなと考えるようにしています。逃げることもできますが、自分を成長させてくれるための宝箱だと認識して、つらい出来事を宝物に変える方法を考えます。見て見ぬふりをしてしまえば宝物を捨ててしまうことになるけれど、つらさに呑み込まれることなく、一歩ひいてどう捉えればいいのかを考えれば、きっと何かがゲットできると信じています。明るさや暗さなどの対極なものは善と悪ではなく、どちらもが揃っていて完璧な状態だと私は考えているんです。明るいことばかりではつまらなくて、暗いことは時に、人生のスパイスとして活きてくれるからです。」
 
つらく悲しいものを排除しようという考えではなく、どちらも揃えて大切に受け止めるのだというritoさんに、素敵な心を教わった。 そのように世界を見つめているritoさんは、絵を描き始めたきっかけである不思議な体験のことを今でも大切に受け止めていらっしゃる。そして世界のあらゆるものに感謝し感激しているその豊かな感性で、魅力的な作品を次々と発表されている作家さんだ。
 
「私は自分で描いたものはどれも好きです。例えば昔の作品で、周りの人が見たときに技術的に少し不足すると感じる部分があるものがあったとしても、私にとってはその時の精一杯の心を込めて描いた大切な絵です。だから、私は自分の作品が大好きなんです。私は人の作品を見る時も、好きなアートのタイプなどは特にありません。どのような作品タイプが好みかという決まりがありません。どんな作品も素敵で、楽しいなと思いながら鑑賞しているんです。」
 
 

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