日本文化を継承するアート販売Webメディア

Interview: 南条ジュン

観る人の心を揺さぶる、そんな作品を

 
 

“ コロナ禍をきっかけに作家活動を開始 „

 
 
ビビッドな色彩でダイナミックな作品を描く南条ジュンさん。制作を始めたのは、コロナ禍がきっかけだった。
 
「元々は芸大で演劇を学び、舞台俳優や演出家、脚本家として活動していました。コロナ禍に入ってから演劇活動がストップしてしまって。小さい頃から「絵か演劇をやりたい」という想いは持っていたので、こうなったら絵しか残っていないなと思って制作を始めたんです。
 
本格的に画家として活動を開始したのは、2022年の新宿区脱炭素プロジェクトのPRキャラクターデザインに携わったのがきっかけです。
 
いざ筆を執ってみたら、演劇よりもたくさんの方に見てもらえる機会が増えたので、画家に転向してよかったなと思っています。自分自身の個性ももっと出せている気がしますし。」
 
尊敬するアーティストは、ピカソやフリーダ・カーロ。
 
「元々、抽象画を描く作家が好きなんです。ピカソやフリーダ・カーロはずっと前から尊敬していて。あと、マティスみたいな極彩色を使いこなす作家にもあこがれがあります。日本の作家だと、横尾忠則。カラフルで自分の感情のままに描かれた作品のほうが、その人の人となりを表していると思うんです。」
 
 


 
 

“ 心のままに筆を動かす „

 
 
作品のユニークなイメージは、すべて南条さんの自由な発想から生まれている。
 
「基本的には、自由に思いついたまま頭に浮かんだ構図を描いています。アイデアのヒントとしては、ポジティブなものとネガティブなもの両方がありますね。ポジティブなものは、例えば街中で聞こえてきた赤の他人の会話です。
 
一方、ネガティブなものは、自分が今まで生きていて嫌だった経験とか、ちょっとむかついた人の顔とか。癖の強い人をデフォルメして描くのが好きです。基本的に人間全体が嫌いなんですが、むしろそれが人物画を描く原動力なのかもしれないです。
 
私の場合、ポジティブな感情は第三者から、ネガティブな感情は自分自身から出てきますね。」
 
一度描いた作品には執着せず、常に頭の中は新しいアイディアでいっぱいだそう。
 
「自分の作品が人の手に渡っても、寂しさは覚えませんね。過去の作品に強い思い入れを持ってしまうと、画家として停滞するんじゃないかと思っていて、いつも描いたら次、描いたら次……と制作に取り組んでいます。
 
ただ、もし一つ代表作を選ぶとしたら『素敵な日』でしょうか。二つの頭を持つ女児を描いた作品で、色や表情が上手く効いたと思っています。私は最初の一筆を入れた瞬間に『この絵は成功だな』と直感するタイプなんですが、実はこの作品は最初『ダメだな』と思ったものでした。でも、実際に描いてみたら、キャンバスのサイズがちょうどよかったのか、思いのほか上手くいって。そんな意味でも印象に残っています。」
 
 


 
 

“ パワーを与える作品を作り続けたい „

 
 
活動開始からわずか数年でさまざまな作品を発表する南条さん。今後のビジョンについて伺ってみた。
 
「人にパワーを与えられる作品を作りたいですね。私の作品は『人のトラウマえぐる系』と言われることもあるんですけど、たとえネガティブな感情であっても、何かしらその人の心を動かせることが理想です。ただ、万人から人気になりたいのではなく、一部の人の心にしっかり働きかけられればいいなと思っています。
 
今の世の中は、インターネットやSNSの進化で皆スマホばっかり見ていますよね。何かいいな、と思うものを見つけても、すぐ写真を撮ってアップロードしちゃう。そんな中で、私の作品を見て、写真を撮る前に『面白い』とか『色がいい』とか、何かしら感情を動かしてほしいと思っています。アップロード前のワンクッションになるものを描きたいですね。
 
だから、外観は灰色で無機質なレストランに極彩色の壁画を描くとか、包装紙やパッケージデザインとか、たくさんの人の目に触れるプロジェクトにも挑戦したいです。演劇をやっていたので、演劇ポスターは特にやってみたいですね。」
 
南条ジュンさんは、9月16日~30日に日本橋アートで実施するWeb個展「カオスの顔」でも新作を発表されるとのこと。今度はどんな画面が飛び出してくるのか、期待が高まる。
 
 


 
 

戻る