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花傳三傑 - 刹那の命を久遠なる美へ

花は時を待たず、常に野性へと戻ろうとする。
その命を人が写そうとする時、掬った水や砂が手のひらから零れ落ちるように逃げてゆく。
それを解っているのに表現者は言葉や絵や写真などで、その美しさをとどめようとあがく。
それは初恋の人が思い出の心の中では年老いて行かぬことに似ている。
善三郎は、花瓶の中の枯れて萎れた花を天井からテグスで固定しながらも描き続けたという。
画家の目には久遠の生命を得て咲き誇る花の姿が見えていたのであろう。
同じような試みと思いを他の二人もシジフォスの神話のように繰り返し続けていたのであろう。
前衛華道家とも呼ばれた蒼風と中川幸夫だが、花を活けるという行為とほとんど同意義で、オブジェや書の制作、今でいうインスタレーションなど多くの作品と活動を残した。
その活動を、今更ながら華道家や生け花作家という狭い範疇で表すのは適当ではない。
アメリカの鉄の彫刻家デイヴィッド・スミスの作品のように具象とか抽象とか、線とマッスの関係とかを超えた古代民族が残したと同じような、まさに魂の造形と呼ぶのが相応しいように思える。
植物の姿から学び、その生命が見せる「時の軌跡」を師としたといえるのではないか。
在るが儘よりなお美しい華禅一如の世界を開いた。
 
▼展示作品
勅使河原蒼風 / 立体作品、書、油彩画
中川幸夫 / ガラス作品、書、Cプリント、花液画
児島善三郎 / 油彩画

 
 

 
 

会場
会期
2020.10.03 ~ 2020.11.12
時間
12:00 ~ 18:00
休廊日
月曜 ※11月3日文化の日は開廊いたします
住所
東京都国分寺市泉町1−5−16
TEL
042-207-7918

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