私の制作の原点には、北海道の自然の記憶があります。
山を歩き、海を見つめ、自然に抱かれながら過ごした時間は、かけがえのない記憶となり、私の作品へと息づいています。
しかし今、地球は大きな変化の渦中にあります。
気候変動や人間中心の営みによって、多くの命が失われようとしています。
痩せ細ったホッキョクグマの姿を目にしたときの衝撃は、今も心に深く刻まれています。
だからといって、私は声高に訴えるのではなく、作品を通じて静かに問いかけたいのです。
自然の美しさ、失われていくものへの痛み、そしてなお希望を抱いて生きたいという願い。
それらを表現することが、私にとって「この星に生きるということ」の意味でもあります。
この展覧会が、自然や動物たち、そして私たち人間の未来について考えるきっかけとなれば幸いです。
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