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Artist 大西香織 KAORI ONISHI

大西香織

INTERVIEWインタビュー

大西香織

簡単に自己紹介をお願いいたします。

名古屋市で生まれ千葉市で育ちました。子供の頃、美術館で見て影響を受けた、モネやゴッホなどの印象派やスペインのホアキン・トレンツ・リャドの絵画の美しい色彩と光と影に影響を受けて美しい色彩感と光と影を感じてふと立ち止まってしまうような絵をめざして水彩やパステルなどで描いています。  

 美術専門学校(3年制)でデザインと映像・写真・アニメーションを学びました。  可愛いキャラクターが多いチェコスロバキアのパペットアニメーションと出会い影響を受け卒業後はTVCM映像制作会社で教育テレビ番組などで使用するアニメーションや英会話教材イラストを制作していました。その経験を経て、フリーランスになり様々なアニメーション番組制作に携わり、著名なイラストレーターの方の映画製作にも参加しました。日本アニメーション協会JAAでも上映会などに参加させていただきました。  

 その後、千葉県立障害者職業訓練校で非常勤講師をさせていただき耳の聞こえない生徒さんと障害を持つ方達に手話と口の動きとホワイトボードにマーカーで書きながらパソコンの操作を教えるという貴重な経験をさせていただきました。  

結婚を機に仕事を離れ、周りが子育て中、病気で体調を崩し長期静養して落ち着いてきたところで今度はアナログでの絵画制作を始めました。  インスタグラムなどで作品を発表しているうちに企画展主催者様からお声がけいただき主に公募展・企画展・グループ展などで作品を発表しています。 

「Round flower」 技法:ミクストメディア 作:大西香織

印象に残っている展覧会や出来事はありますか?

子供の頃、絵画好きな両親の元で家族でよく近場の美術館に出かけました。中でも佐倉市にあった川村記念美術館は時間があれば訪れるスポットで、レンブラントから印象派、マーク・ロスコ、ジョセフ・コーネルまで見ることができました。庭園の中にある美術館で、美術館前の池を二羽の白鳥が仲良く泳ぐ姿が美しく印象的でした。 

最近では、HACKK TAG様主催の帝国ホテル大阪でのデジタル額縁による展示会も忘れられない出来事です。HACKK TAG賞をいただいたご縁で、大阪でのギャラリーオープニングの内覧会に参加させていただきました。額縁は本物ですが中はデジタル画面になっていて、デジタルならではの部分的に少し動く絵画もあるのが印象的で、色の再現もとても綺麗で、会場も豪華で素敵な空間でした。

HACKK TAG GALLERY 展示風景

画家活動を始めたきっかけは何ですか?

父方の家は絵描きが多く、京都と名古屋で日本画・南画・蒔絵などを制作していました。ただ、戦争の空襲でさまざまな作品を失ったという話をよく聞かされて育ちました。
祖母も大切な日本画を抱えて防空壕に逃げ込み、サイレンが鳴りやむまでじっと抱えていたという話も聞いています。そうした環境で育ったこともあり、子どもの頃から和のものへの愛着と思い入れがあります。

そのような環境で絵も描いていけたらと強く影響を受けていましたが、周囲からは、不況の世の中で画家は大変だよ。と言われて育ったため、なかなか決心がつきませんでした。それでも心のどこかでずっと描くことへの思いを持ち続けていたように思います。人生も半ばを過ぎた今、やりたいことをやっていこうという気持ちで制作に向き合っています。

お気に入りの道具や、制作に欠かせない「相棒」のようなものがありますか?

お気に入りの道具はスマホや一眼レフなどのカメラです。高性能が良いというわけではなく、映像などを学んでいたときからジャン・コクトーの映画やマン・レイなどのモノトーンの写真などが好きで、映画館や写真展に通っていました。光と影のコントラストや、被写体が持つ一瞬の表情に惹かれ、時間を忘れて眺めていたことを覚えています。

そうした感覚は今も自分の中に残っていて、街を歩いているときにふと目に留まった光景を、光と影を切り取る感覚でカメラに収めるようにしています。何気ない瞬間の中にこそ、絵になる美しさが隠れていると感じていて、そうして撮りためた写真が、後に作品の色彩や構図に繋がっていきます。カメラは自分にとって、絵を描く前の大切な下ごしらえをしてくれる道具だと感じています。

「錦秋」 技法:水彩画 作:大西香織

作品にはどのような想いを込めていますか?

インテリアとしてお部屋に飾っていただける絵を描いています。見てくださる方にとって、自分だけのオアシスのような存在の絵になったらいいなと思いながら制作しています。忙しい毎日の中でふと目にしたときに、少し立ち止まって深呼吸できるような、そんな場所を絵の中に用意したいという気持ちで色を重ねています。

今後の作品制作に向けての想いをお聞かせいただけますか?

現在、和の物・和の文化・和の心が失われてきていると感じています。父方の家に伝わっていた日本画や蒔絵の記憶も、いつか自分の作品の中でかたちを変えて残していけたらと思っています。戦争によって多くの作品が失われてしまったという家族の話を聞いて育ったこともあり、形あるものを残していくことの大切さを人一倍感じています。そうしたものを継承していくためにも、和の要素を作品に取り入れ、何らかの形で発表していきたいと考えています。

幼い頃に出会った印象派の絵画への憧れと、映像制作の現場で培った光と影を切り取る感覚。その両方が、今の柔らかな色彩表現を支えています。周囲から画家として生きることの厳しさを聞かされながらも、心の中で描くことへの思いを持ち続け、人生の後半にたどり着いた今、その気持ちに正直に向き合っています。戦争で多くの作品を失った家族の歴史を胸に、和の心を作品の中に残していきたいという願いを持ちながら、これからも見る人の心に静かに寄り添う絵を描き続ける彼女の、これからの歩みに期待が高まる。