堀万里(1933-2021)は東京芸大油画科で林武・牛島憲之両氏に師事。まだ女性が少ない時期、在学中からその力を高く評価されていました。画壇に属さず、公募展にも出展せず、自分の心を震わせるものを独自の表現で画面に結晶化させることにひたすら打ち込み、一部の熱心なファン以外には知られることなく88歳の生涯を閉じました。対象の本質を見つめ、山河や、花や木にも、その生命の物語を見る人に感じさせる作品は、逝去後、ホテルアートに起用されるなど、少しずつ注目を集めています。具象でありながら、洋画と日本画的表現を自由に往復し、抽象画との垣根さえ超越する唯一無二の作品群です。特に、70代で到達した「桜の連作」は堀万里にしか描けない、価値のある傑作です。また、常に社会問題への関心を持ち、ベトナム反戦運動の流れをくむ、立川基地の跡地平和利用を訴える運動では先頭に立ちました。東日本大震災後は、被災した人々や土地への鎮魂と祈りの絵を描き続けるなど、社会と関わる行動する画家として生きた波乱の生涯も、回顧展では大きな関心を集めました。