群馬県出身です。絵はコミュニケーションの一つの方法だと思ってきたので、故人であったり身近な人たちに向けて描いたり、自然から受けたインスピレーションを絵に落とし込むのを楽しんで描いています。日々の生活への愛おしさや平和の尊さ、そして何かを乗り越えて闇から光へ視点を変えるための手段として、描くことを続けてきました。言葉にならないものを形にすることで心が整うから、表現はなくてはならないものだと感じています。
高崎芸術短期大学の美術科 版画コースを卒業し、印刷等の仕事に就いていました。その後ブランクもあり、やがて結婚して田舎に住むようになりました。環境の変化で、心の栄養としての絵や音楽、文字等の文化の大切さを痛感し、描くことが当たり前なものとして生活に溶け込んでいてほしいとの願いから描いています。出品歴は、1996年群馬県展入選、1997年群馬県展佳作、2024・2025年群馬県展入選。2025・2026年日本橋Art.jpグループ展に参加しています。
Interview注目の作家
家族へのエールを込めて自分も何か挑戦しようと考え、若い頃に出品していた県展に再挑戦したことです。亡父への追悼の意を込めた蓮の花の油彩画で、F10号と小さいながらも入選できて、短大の恩師との再会や、周りに絵を描く人もいなくて描いていたけど、同じく出展した人たちと語らうことが楽しく、次も出そうという気持ちも生まれました。それがきっかけになって友達とのコンタクトも増えたり、何より失っていたアイデンティティが戻ってきたのが嬉しかったです。長らく離れていたから、搬入・搬出から何まで一つ一つが冒険みたいでワクワクしました。
美術館で来場者の方々に観てもらえるのも醍醐味でした。その際、恩師から30号をメインで皆出していると伺い、翌年F30号を学生の時以来初めて描いてみたら、大きい絵が楽しくて、のびのびと描けて、スカッとしました。自分の中では贅沢なことですが、制作に時間もかかるため、そう何枚も描けません。そのぶん、一年の集大成的な位置づけになりました。
絵が子どもの頃から好きで、中学から部活で油彩・パステルと始めて、高校も美術部、美術系の短大と進んだわけですが、その後何かしら描き続けてはいたものの油彩は段々描かなくなりました。ある時、実家に家族が使わずに残していった油絵の具を見つけて、再び油彩を再開しました。
そして、ただ一人で描きためていてもつまらなくなったのでインスタグラムに投稿していたら、日本橋アートさんからお声掛けいただき、もうちょっと踏み込んで作品を発表していってみようかと決めたのがきっかけです。
生きる喜び、あたたかさ、幸福感、希望、安らぎ、光と闇、生命力、灯火、自然、季節感。やっぱり、愛着があるものや日々の暮らしの中で体感した感情や感覚は表現に繋げたいです。あと人生の通過点の記録の意味もあります。個人のことだけど、それって普遍的なものでもあるのかもしれない、などと思っています。
田舎で美しい自然から力をもらえているのでキャンバスに収めたいし、それだって移り変わっていくから描いておきたいです。一個人として平和も体現したいです。あとは、絵がその場にある時の空気感も大事にしたくて描いています。そこから開く窓みたいな役割を持っていると思います。
自然を見ているとハッとする瞬間や、いいなと思えるところがあって、そこをひっかかりにイメージを膨らませたり、パッチワークみたいに繋ぎあわせたりもします。以前、夜明けの絵を描いていた時は生活でも朝の光を待つような心境だったから、早朝の空を見上げることも多く、思いがけない綺麗な朝焼けが見える朝も体験できました。だから、内観的だったり空想的な絵でもあったりするのかと思います。色彩で感情を表現している節もあります。
子どもの頃に飼っていた愛犬太郎を描いた油彩画です。少し暗い雰囲気とか背景の色合い、筆の運びや愛犬への想いなどから、高校時代の絵の雰囲気に似ているし、自分の絵だと強く感じました。
絵が完成した時に、あ、タロに会えた、と感じられました。絵でイメージを具現化するのは、過去から拾い上げるようで面白かったです。古い写真を基に描き上げたんですけど、それだって父が撮っておいてくれたものだと思うし、絵を描く作業って不思議ですよね。それも、それまでの経験が生かされて描けたのだと思います。
年を経た年輪が絵に現れるのを楽しみに描き、心の豊かさを紡いでいきたいです。視野も広がって見えてくる世界も違ってくるとしたら絵も変わっていくんだろうな。と思っています。ささやかでも描き続けていたら何が見えるんだろうと楽しみにしながら、心に余白をもって風通しを良くして、絵を描いていける心でありたいです。
まず、自分はまだ駆け出しだと感じています。非言語のツールだから言葉にするのが難しいけど、素な絵が好きなので、そういった特性を生かして、すっと心に入る表現を念頭においておきたいです。
ほぼ駆け出しと謙虚に語りながらも、生きる喜びや平和の尊さ、自然の美しさを一枚一枚に込めて描き続けるYoshiko.T氏。ささやかでも描き続けていたら何が見えるんだろうと前を向き、心に余白をもって風通しよく描き続けていきたいと語る彼女の、これからの歩みに期待が高まる。