Statement

「こちらのお客様からです」
バーテンダーの声にふと我に返る。その手のひらが指しているのは、グラスの中に輝く美しいカクテルそのものだ。
訝しみながらじっと目を凝らし、思わず息を呑む。
グラスの中で佇んでいるのは、あれはまさか、俺じゃないのか。

幼かった俺は幻想のようなカクテルの煌めきの中で無邪気に遊んでいる。

なるほど。あの日の俺から、大人になった俺への一杯か。確かに、昔こんな色の空を見たような気もする。

期待と共にグラスに指を触れる。このカクテルはどんな夢に酔わせてくれるのだろう。


──あなたのための最高の一杯をどうぞ。

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Artist

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