広島県出身、現在は滋賀県在住です。社会福祉士・精神保健福祉士・保育士として、子どもや家族を支援する仕事に携わりながら、絵画制作を続けています。
幼い頃から絵を描くことが大好きで、どこにいても絵を描いている子どもでした。心が揺れたとき、言葉にならない思いを抱えたとき、色や線はいつも私に寄り添ってくれました。無心になって描いた後には、自分の内側にある大切なものに触れられるようなほかほかとした気持ちになりました。
嬉しい、楽しいといった気持ちはもちろん、言葉では表しきれないさまざまな感情も、絵にすることで「これだ」と感じられる形に近づいていく。その過程含め、わたしにとってとても大切な時間でした。思春期になり、自分自身と向き合う時間が増える中でも、絵を描くことは私が自分らしさを取り戻す大切な時間でした。
福祉や教育の現場で働き、子育てをしながら過ごす中でも、描くことはずっと私の中にありました。中年になった頃に改めて京都芸術大学通信教育部で日本画を学び、自分自身の表現とより深く向き合うようになりました。
日本画では、岩絵具や膠など自然素材が持つ温かさや奥行きに深く惹かれました。また、福祉や教育の現場で多くの子どもや大人たちと表現活動を共にしてきた経験も、現在の制作に大きな影響を与えています。
表現の形は時代とともに変化してきましたが、表現したいという思いは変わることなく続いています。現在は青を基調に、月と子どもをモチーフとした作品を多く制作しています。作品では、心の奥にある繊細な感情や、自分自身の大切な感覚に気づくこと、そして安心して自分らしく在ることのできる世界を表現できたらと思っています。
近年は公募展での入選や展示機会をいただき、児童文芸家協会の雑誌への掲載など、少しずつ活動の幅が広がっています。今年の現展では入選に加え会友推挙もいただき、大変嬉しく思っています。
アートには、人が自分の内側にある感情や大切な感覚に気づき、自分自身と出会い直すきっかけを与えてくれる力があると思っています。作品を通して、見る方の心にそっと寄り添い、それぞれの大切な感覚や思いに出会えるような、そんな表現をしていきたいと思っています。
Interview注目の作家
印象に残っている出来事はいくつもありますが、近年では国立新美術館で作品を展示する機会をいただいたことが特に心に残っています。
想いを込めて、自分自身と向き合いながら描いてきた作品が、多くの作品とともに大きな展示空間に並んでいる姿を目にしたとき、その確かな存在感に不思議と安堵感を覚えました。これまで自分の中にあった言葉にならない感覚や思いが、作品という形になってそこにちゃんと在ること、そして多くの方に見ていただけていることが、とても嬉しく思っていました。
また、自分の中では当たり前のように感じていた感覚や世界観、そして自分自身のふわふわした不可思議な感覚が、作品を通して他の人と共有できるんだと感じたことも静かな喜びとして心に残っています。自分の大切な感情や感覚の一部が社会の中へ送り出され、受け取っていただけたような感覚に近く、静かな喜びとともに、自分自身の感覚や表現への信頼も深まったように思います。
また、そういった公募展や個展での展示経験だけでなく、アトリエやワークショップなどで子どもたちや保護者の方々と表現の時間を共にしてきたことも、私にとって大切な経験となっています。
幼い頃から、絵を描くことは自然な生活の一部でした。姉と一緒に塗り絵をしたり、祖父が手帳に犬や猫の絵を描いて見せてくれたりと、私の身近にはいつも絵がありました。
楽しい時も、悲しい時も、言葉にならない気持ちを感じた時も、私は絵を描いていました。心の中にある感情や風景のようなものを描くことで、自分自身と対話し、その時々の思いにていねいに向き合い表現していました。絵はいつも私のそばにあってくれ、喜びも悲しみも一緒に感じてくれる存在でした。
年を追ってからもその思いは変わらず、京都芸術大学通信教育部で日本画を学びながら制作を続けてきました。また、福祉や教育の現場で子どもたちやさまざまな背景を持つ方々と関わる中で、表現することが人の心をほっとさせたり、自分らしさを取り戻すきっかけになったりする場面に多く目にしました。
そうした経験を重ねる中で、自分自身の作品も多くの人に見てもらいたいと思うようになり、個展や公募展への出品など、画家としての活動を始めました。
私にとって絵を描くことは、単なる作品制作ではなく、自分の感覚や感情に丁寧に向き合い、自分自身を取り戻していくための大切な営みです。現在も、見る人が普段は気づかないような心の奥にある感情にそっと触れられるような作品を目指して制作を続けています。
作品には、自分自身であることや、そのままの自分の感覚を受け入れられる安心感、守られている感覚などを表現したいと思っています。
私たちは日々の暮らしの中で、さまざまな感情を抱えながら生きています。嬉しさや楽しさだけでなく、言葉にならない思いや揺らぎもまた、その人らしさの一部。だからこそ私は、作品の中でそうした感情を否定せず、そのまま静かに存在させたいと考えています。
わたしが描くことが多い、月や子どものモチーフは、どれも繊細な存在で、静かに、自分らしく在ることを教えてくれる存在だと思います。
作品の中では、さまざまな存在が互いを受け入れながら、安心して共に在る世界を描きたいと思っています。
また、日本画の自然素材が持つ柔らかな質感や、色えんぴつ・パステルといった身近な素材の温かみ、そして青を基調とした色彩を通して、見る方の心が少しゆるみ、自分自身の感情にそっと寄り添えるような作品を目指しています。
作品を見た方が、自分の感覚や感情に静かに向き合えるような、小さな安心や希望を感じられるような、そんな絵との時間を届けられたらとても嬉しいと思います。
これまで描いてきた作品の中では、月と子どもを描いた作品に、自分らしさが最も表れているように思います。
夜の静けさの中で、子どもと月、星や妖精、動物たちが優しく触れ合い、互いの存在をそのまま受け入れながら共に在るような風景を描くことが多くあります。その世界には、自分自身の記憶や願い、そして大切にしてきた感覚が重なっています。
私は、誰もがそれぞれのままで存在し、安心して自分らしくいられることに美しさを感じています。作品の中に描かれる存在たちも、それぞれが異なる個性を持ちながら、自然に調和し、穏やかにつながっています。そのような世界観は、私が長く描き続けてきたテーマでもあります。
また、青を基調に赤や黄色などの色にたっぷりと浸りながら、色を重ねながら制作する時間そのものが、私にとって心を整え、自分自身と対話する大切な時間です。
何より、アーティストページにもある出会いの作品は、生まれたばかりの長女を背負い寝かしつけながら描いた絵です。子どもへの愛おしさや、新しい命に出会えた喜びが自然と込められた作品で、私にとって特別な一枚です。この作品は、これまでもこれからも、何よりも私にとって何より自分らしいと感じる作品だと思います。
これからも、自分自身の感情や日々の経験と丁寧に向き合いながら制作を続けていきたいと思います。
福祉や教育の現場で人と関わる中で感じることや、日常の中にある小さな喜びや気づきは、これからも作品に大きな影響を与えていくと思います。そうした一つひとつの経験を大切にしながら、自分らしい表現を深めていきたいと考えています。
また、色鉛筆やパステル、日本画の素材や技法など、それぞれの表現が持つ魅力を大切にしながら、既存の枠にとらわれず、その時々に必要な表現を探求していきたいと思っています。
近年は公募展や展示活動を通して新たな出会いをいただく機会が増えました。これからも国内外を問わず、より多くの方に作品を見ていただける機会を大切にしながら、表現の幅を広げていきたいと考えています。
作品を通して、自分の内側にある感情や大切なものにそっと出会える時間、そして自分の中の大切な感覚、感情に寄り添えるような時間を届けていけたら嬉しく思います。
福祉や教育の現場での経験を糧に、自分自身の感情と丁寧に向き合いながら制作を続ける小川YUKA氏。言葉にならない思いを色や線に託し、そのままの自分でいても大丈夫と感じられるような安心や希望を作品を通して届けたいという思いを胸に、国内外を問わずより多くの方に作品を届けながら表現の幅を広げようとしている。歩み続ける彼女の今後の活躍から目が離せない。