Interview注目の作家

アクリル画
YOSHIKO
中学時代に美術の先生との出会いで描く喜びを知りながらも、美術への思いを抱き続けたYOSHIKO氏。大人になってからカルチャースクールで油絵を始め、今はイマジネーションの赴くままにアクリルで描き続けている。偶然性を大切にしながら、観る人の心にそっと寄り添う作品を生み出し続ける彼女の想いに迫る。
「春うらら」 作:YOSHIKO
絵を描き始めたきっかけを教えてください。

中学校3年生の時の美術の先生が私と感性のあう方でした。すごく褒めてくれたことが素直にとても嬉しかったです。描く楽しみや、人に認めてもらえる喜びを覚えました。自分の絵を学校の正面玄関に張り出してもらったこともありました。中学生ってそういう出来事がとても嬉しい時期なので、大切に記憶に残っています。

人間って、やりたかったのにできなかった記憶はずっと残っていくものだと思うんです。私は美術がやりたかったという思いがずっと、しこりのように残っていました。そうして大人になってからカルチャースクールで油絵を始めたのがスタートです。

初めは先生の言うことを聞いて静物画などを書いていました。絵を習い始めた当初は、私にとって絵は絵、音楽は音楽と別々のものでした。音楽の経験やミュージックセラピストとしての知識の繋がりは、絵を描いているときにはあまり感じませんでした。創作を進めていくうちに、絵も音楽も一緒だと感じるようになりました。どちらも同じひとりの人間が行なっていることなので当然ですね。

現在の画風やスタイルについて教えてください。

スクールで習い始めた頃は油絵を描いていましたが、現在はアクリル絵の具を使っています。アクリルはどんどん質が良くなってきて、乾きが早いので上乗せもすぐに行うことができます。その時のイマジネーションを逃すことなくすぐに表現していけるのでアクリル絵の具を気に入っていて、もう10年以上使用しています。

目の前にモチーフはなく、エスキースも用意しません。あらかじめエスキースを用意した作品は初めての感覚にならず、まるでぬりえのようだったんです。自分の感覚だけで描き上げて、イマジネーションで味わいのある絵を制作していきます。カンヴァスを縦にしたり横にしたりと色々試しながら調和を図り、こういうふうにしたら面白いかもという発想を大切にしています。

最終的には描き始めの自分が想像もしていなかったものが出来上がるのですが、その感覚がまた楽しくて。一期一会のように生まれる作品たちと向き合うことが、今の自分の制作スタイルです。

「冬の日に」 作:YOSHIKO
作品が観る人の心に届く瞬間についてどう感じますか?

偶然性を大切にして、それをどんどん展開していきたいです。自分の中には、自分が経験したものしか詰まっていないんです。人から聞いたことも、何かで読んだことも結局は自分の経験です。その中で作品を作っていても自分の範疇を越えることはできないんじゃないかと私は思っています。

ですので、自分を枠にはめないためには、偶然性がとても大事なことです。観ていただく方も育ってきた環境やものの考え方は様々です。人それぞれご自由に観ていただくなかで、ものすごくはまってくださる方もいらっしゃいます。そういう時は、作品とその方のタイミングがあったのだろうと不思議な気持ちになり、作品が、どなたかの心にそっと届く瞬間というのは、作り手としてこれ以上ない喜びだと感じています。

作品を通して伝えたいことはありますか?

私の作品についてお客さんに癒されたや元気が出たなどといってもらうことが実はよくあります。自分の作風として気持ちが沈んでいくような絵はちょっとなと思うので、そういった感想はとても嬉しいです。同時に押し付けがましくない作品を心がけています。観ていただく方も育ってきた環境やものの考え方は様々ですから、人それぞれご自由に観ていただく中で、すごくはまってくださる方もいらっしゃいます。そういう時は、作品とその方のタイミングがあったのだろうと不思議な気持ちになり、とても嬉しいです。

そっと寄り添うような、でも押し付けにならない。そのバランスを大切にしながら、これからも作品を作り続けていきたいと思っています。

「塔のある風景」 作:YOSHIKO
今後の活動についての展望を教えてください。

2022年までは出身地のある関西を中心に活動してきました。2023年になりはじめて東京の銀座ギャラリームサシで作品展を開催し、2024年以降も東京の池袋オレンジギャラリーでの展示の予定があります。

これまでは多色遣いが多かったのですが、モノトーンの作品を制作するなど、これまでとは違った色味にも挑戦していきたいなと考えています。作風も活動域も、少し新しいことに挑戦していきたいという気持ちがあります。関西から東京へと活動の場を広げてきたように、これからもさらに新しい出会いや発見を求めながら、自分の表現を深めていきたいと思っています。

イマジネーションの赴くままに、一期一会のように作品を生み出し続けるYOSHIKO氏。観る人の心にそっと届く瞬間を大切にしながら、関西から東京へと活動の場を広げてきた。作風も活動域も新しい挑戦へと歩みを進める彼女の、これからの活躍がとても楽しみだ。

インタビュー: 2024/01/17