福本正
Tadashi Fukumoto
福本正
Tadashi Fukumoto
日本画の伝統的技法を基盤としながら、ポップアートの軽やかさと、どこかノスタルジックなレトロアメリカンの空気感を重ね合わせ、独自の画面世界を構築する画家・福本正。野菜、果物やおもちゃ等、琴線に触れたモチーフを洗練された色彩と構図によって現代的で洒脱なイメージへと昇華させている。 「衣・食・住・遊」という身近なテーマを一貫して扱いながらも、その表現の根底には東京藝術大学で磨き上げた確かな日本画の技術がある。支持体には雲肌麻紙(くもはだまし)を用い、岩絵具、墨、箔といった伝統的画材で、「たらし込み」や「ぼかし」といった技法を丁寧に重ねる。その揺るぎない伝統への敬意が、軽快なモチーフ表現に確かな格調と奥行きをもたらしている。 一方で、画面構成や色彩感覚には、現代の視覚文化への鋭い感受性が見て取れる。鮮烈な色彩で描かれる果物の静物や、古いおもちゃを描いた画風は1960年代アメリカの広告やグラフィックデザインを彷彿させ、この絶妙な和洋のバランスこそが福本正の真骨頂と言えるだろう。 1996年の初個展以降、百貨店やギャラリーでの発表を重ね、また、東京・京橋にあるフレンチレストラン「シェ・イノ」、パティスリー「イデミスギノ」、船橋の「アントレ」他、飲食店に多数コレクション展示されている。デザイン性をかわれイデミスギノ、南仏のパティスリーBIOMOMO HASHIMOTO他パッケージデザインも手がける。2018年には日本酒・獺祭デザインアワードで優秀賞も受賞している。その他おもちゃコレクターとして知られる北原照久氏のコレクション展に抜擢されるなど、ジャンルを越えてその表現や活動は広がりを見せている。伝統と現代性を軽やかに結びつけ、日本画の可能性を更新し続ける存在として、今後ますます注目を集める画家である。 《展覧会のお知らせ》 「 Xmas Gift展 三條弘敬コレクション 」 出品作家 : 河嶋淳司、千住博、森山知己、福本正、福井江太郎 ※福本氏の作品は9点展示予定 会期 : 2025年12月12日(金)~24日(水) 10:00~18:00 会場 : 永井画廊(東京都中央区銀座8-6-25) ※日曜休廊、最終日16:00まで