「佐山さんの素描を、彫刻家の素描として特別にみていない。しかし、じっと見ていると何か独自のものを感じさせてくれる。
なんとなく探りをいれるようなためらいや、曖昧さなどのあとはない。気迫を込めて、いきなりぐいっとはじまった緊張感が、紙いちめんにしずかに充ちている。
紙の白さを、鉛筆で抉っていくような、黒々としたふとい線は、腰の据わったシンプルな形を描いている。量感は豊かであり、動きをも予感させる生き生きとしたエンピツデッサン。
モデルをまえに、揺らぐ絵心の流れや濃淡などなど、うぶで純なセンスの魅力を、素描の線一本一本の動きのなかに観る、快楽もあることを知っていてほしい。まえだたもつ」
マエダ画廊「佐山道知素描展」(1984)案内状より抜粋
私は彫刻家です。作品を造る前にその為のデッサンはあまりしません。頭の中でおおよその形が決まると直接、素材に向かうことが多いです。
私は白い紙に鉛筆の黒い線を引くことに強い快感を覚えます。特に画き始め、紙の一点に鉛筆の芯を下ろした時のキリキリとした瞬間は、頭の中が興奮と焦りで爆発しそうです。冷静に対象を観察して画いたことなど今まで一度もありません。特に裸婦を画く時には一気呵成に画きます。
私はデッサンという言葉はあまり使いません。素描という日本語が好きです。素描という言葉どおり素直な気持ちで描く、ということです。
【略歴】
1942年
・岡山県生まれ
1967年
・武蔵野美術大学美術科彫刻専攻卒業
・卒業制作 母校買い上げ
【個展】
1971年
・岡山市 カシノ画廊
1973年
・岡山市 カシノ画廊
1976年
・岡山市 カシノ画廊
1978年
・高山市 モリシタ画廊
1980年
・岡山市 カシノ画廊
1981年
・高山市 モリシタ画廊
1985年
・岡山市 天満屋
1988年
・岡山市 天満屋
1990年
・画廊 岳
1994年
・所沢市 ギャラリー アンリ―・ファルマン
・素描展 名古屋市 マエダ画廊
1996年
・岡山市 天満屋
1998年
・所沢市 ギャラリー花水木
・新潟市 考古堂ギャラリー
1999年
・トルソの世界 日比谷国際ビル GALLERY1925
・裸婦デッサン展 所沢市 ギャラリーイケダヤ
2001年
・所沢市 ギャラリー花水木
・彫刻 素描展 新所沢新井ビル特設会場
2003年
・東村山市 ギャラリーベルハウス
2010年
・新津美術館市民ギャラリー
2011年
・銀座アートホール
・新潟市 ギャラリーあらき
2013年
・新潟市 ギャラリーあらき
2015年
・銀座アートホール
2016年
・鉛筆デッサン展 新潟市 ギャラリーあらき
2017年
・素描展 新潟市 ギャラリーあらき
2018年
・新潟市 ギャラリーあらき
2021年
・国立市 画廊 岳
・新潟市 ギャラリーあらき
2022年
・国立市 画廊 岳
【グループ展】
多数