Interview注目の作家

デジタルアート
yosfjwk
「車の顔」という独自の表現で、世界中のすべての時代の車の顔を描き続けるyosfjwk氏。終わりなき探求の旅を歩む彼の作品には、ユーモア、そして深い愛情が込められている。車を知らない人の心にも届く「顔」を描き続ける理由とは。
簡単に自己紹介をお願いいたします。

1960年代の名古屋市に生まれ、現在は東京在住です。「車の似顔絵を通じて、世界中のすべての時代の車の顔を描く」を創作テーマとしています。似顔絵的な似ているをベースに、車好きにも届く本格的さと、車を知らない人にも伝わるかわいさとユーモアを両立した作品を作っていきたいです。

近年の主な展覧会としては、

2025
・「第50回JAPAN WEEK」(イギリス・マンチェスター)
・「令和飛翔展」(羽田空港、中部国際空港)
2026
・「THE 9TH ART COLLECTION in YOKOHAMA」(横浜駅)
・「第31回 日本の美術 全国選抜作家展」(上野の森美術館)

など、国内外で作品を発表する機会をいただいています。特に、空港や駅といった多くの人が行き交う場所での展示は、様々な背景を持つ方々に作品を見ていただける貴重な機会となっています。

印象に残っている展覧会や出来事はありますか?

展覧会ではなく、私の原点となった子どもの頃の記憶があります。幼稚園の頃、夕方になると公園の花壇の縁に座り、交差点を行き来する自動車の車種を眺めていました。そこで今は亡き父が、通り過ぎる車の車種を一台一台、丁寧に教えてくれました。その影響で、幼いころから、車の形を見ることと、車の絵を描くことが好きになりました。父と過ごしたあの夕暮れの時間が、今の創作活動のすべての始まりだったと感じています。自動車の顔を見つめ続ける私の眼差しは、あの頃の父との時間で育まれたものなのです。

yosfjwk氏の作業風景
画家活動を始めたきっかけは何ですか?

最初は会社勤めをしながら、副業として人間の似顔絵を描いていました。しかし、次第に人間の似顔絵という表現形式に限界を感じるようになりました。そんな時、ふと試しに描いてみた車の似顔絵に、新たな可能性を感じ突き詰めてみたくなりました。

車の顔でLINEスタンプを制作し、その宣伝のために背景をつけてInstagramに投稿してみたところ、予想外に海外からの反応が多く寄せられました。国境を越えて共感してもらえる手応えを感じ、またInstagramへの作品投稿というスタイルが自分に合っていると実感しました。以来、このテーマで様々な作品を制作し公開し続けています。

不思議なことに、車の顔への興味が尽きることはなく、むしろ描けば描くほど新しい発見があり、どんどん深堀りしていきました。

作品にはどのような想いを込めていますか?

100年以上にわたり、世界各国で生まれ続ける自動車の顔は、単なる機械の正面図ではありません。街で走ったり、行列になったり、うずくまったりたたずんだりする、毎日会わない日はないほど親しんだ顔です。それらは、作られたお国柄と時代の空気をいっぱい吸収して生まれ出ています。技術の向上と社会の嗜好の変化を、モデルチェンジという大小の変化として、時代とともに刻み続けています。

人には、動物の顔の違いは見分けられないのに、人間の顔なら双子の違いが判る感受性があるように、車の顔も人の感受性に触れる場合があります。街で出くわした時に、普段はあまり見かけない顔への違和感や、久しぶりに会った懐かしい顔への親近感など、私たちは瞬時に感じ取ります。

作品では、車を顔として認知する感受性に訴えられるよう、目の大きさや間隔、部位配置のバランス、あごのラインなど、細部にこだわります。似顔絵として「似ていること」が第一としながらも、車好きだけの世界にならないよう意識しています。車に興味がない人が見ても可愛い、きれい、面白いと思えるよう、本格的でありつつ可愛いとユーモアの3つを同時に満たすことを、常に心がけています。車を知らない人の心にも届く作品でありたいです。

「JAPANESE CARS 1970s Part6-v2」 作:yosfjwk
今までの作品で最も「自分らしい!」と思う作品があれば教えてください。

作品名『JAPANESE CARS 1970s Part6-v2』です。自分が小学生だった1970年代の冬の夜を表現してみたくて制作しました。青色で雪の冷たさと静けさを、黄色で家々の温かな明かりを描きました。モチーフは白川郷の合掌造りをイメージしていますが、そこに配置した70年代の日本車たちが、驚くほど風景に溶け込んでくれました。

この作品が特別なのは、父の存在が作品に重なっているからです。父が毎年のようにスキーなどへ、家族を乗せて走った車も含んでいます。幼い頃に父と一緒に眺めた車たち、そのすべてがこの一枚に凝縮されています。

yosfjwk氏が記録している“顔”の数々
今後の作品制作に向けての想いをお聞かせいただけますか?

初期に制作した作品も、何度も修正・訂正を重ねながら、新しい車の顔を増やし続けています。現在、描いた車の顔の数は3,400種類*を超えました。これらすべてに採番を行い、データベース化し、専用ブラウザを作成して管理しています。(※2026年2月現在)

それでも「世界中のすべての時代の車」というテーマには、まだまだたくさんの欠落があります。また、今この瞬間にも、世界のどこかで新たな車の顔が生まれ続けています。ゴールのない旅のようですが、それが良いのだと思っています。終わりがないからこそ、探求し続けられる。引き続き作り続ける予定です。一台一台の顔との出会いを楽しみながら、この果てしない旅を歩んでいきます。

父との思い出から始まった車の顔への探求。彼が描いた車の顔は今や3,400種類を超える。それでもなお「世界中のすべての時代の車」という果てしないテーマには、まだ見ぬ“顔”が無数に存在する。一台一台との出会いを楽しみながら、終わりなき旅を続ける彼の作品は、これからも国境を越えて多くの人々の心に届いていくだろう。車好きにも、車を知らない人にも、本格的さと可愛さとユーモアを兼ね備えた「車の顔」の世界。その挑戦は、これからも続いていく。

インタビュー: 2026/02/04