小さい頃から絵を描くのが大好きで、将来の夢は一貫して画家や絵描きになることでした。そのため、自分の中でいつ決意したかという明確な瞬間はなく、当たり前のようにその道を目指していました。 高校も美術コースに進み、美大進学を目指した時期もありましたが、何度かチャレンジした後に大学という形にはこだわらなくていいかもしれないと区切りをつけました。
その後、テレビCMの制作会社に受付として入社したのですが、暇な時間に絵を描いていたのを社員の方が目に留めてくださって。イラストレーターとして研修を受けみませんか?と声をかけていただいたのが、プロとしての第一歩でした。そこから約18年間、その会社で絵コンテや背景イラスト、タイトルデザインなど、多種多様な仕事を通じて技術を磨いてきました。
Interview注目の作家
幼少期から「画家になるものだと思っていた」と語る田之倉みつこ氏。高校の美術コースを経て、テレビCM制作会社での受付業務から、その才能を見出されプロのイラストレーターへと転身した経歴を持つ。現在はフリーランスとして活動しながら、亡き夫と立ち上げたバーの切り盛りもこなす多忙な日々を送っているという。デジタルの利便性とアナログの質感を融合させ、観る者にその前後のストーリーを予感させる独自の「空気感」を大切にする田之倉氏。絵本の世界への挑戦や、憧れの地・イタリアへの想いなど、彼女の創作の源泉とこれからの展望について話を聞いた。
「BELINDA」
作:田之倉みつこ
絵を描くことを仕事にしようと決意した瞬間はいつですか。
「ぶたさんシリーズ」
作:田之倉みつこ
作品づくりにおいて、これだけは譲れないという「こだわり」はありますか?
一番大切にしているのは、その絵が纏う空気感や世界観です。私はイタリアの画家モディリアーニや、キスリングといった、独特の哀愁や物語性を感じさせる作家に強く惹かれます。自分自身の作品でも、単なる描写に留まらず、思わず、この人は今何を考えているんだろう? この後どうなるんだろう?と、観る人がストーリーを想像したくなるようなワンシーンを切り取ることを意識しています。
また、現在はデジタルでの制作がメインですが、いかにもデジタルらしい蛍光の発色は避け、アナログに近い色合いを目指していたり、感覚的に心地よい色の配置を追求するようにしています。
「香水シリーズ」
作:田之倉みつこ
今後の展望や、これから新しく挑戦したいことはありますか?
今、強く興味を持っているのが絵本の世界です。元々、物語に寄り添う挿絵を描きたいという想いがあり、絵本教室に通ってストーリーの組み立て方などを勉強したこともあります。ボローニャ国際絵本原画展に応募するという目標もあります。
いつかイタリアも訪れてみたいです。昔から好きな画家の多くがイタリア出身ということもありますし、青の洞窟であの独特な青色をこの目で見たり、本場の美術館を巡りたいんです。新しい場所に行き、日本とは違う空気や光に触れることで、自分の中にどんな変化が生まれるのか。
その経験を経て、自分をもう一度見つめ直した先にある「これこそが私の絵だ」と言えるような表現を、これからも探求し続けていきたいと思っています。
幼い頃からの夢を一途に追い続け、独自の世界観を紡いできた。その作品には、観る人の想像力を刺激する物語性と、心地よい色彩の調和が息づいている。絵本という新たなフィールドへの挑戦、そしてこれこそが私の絵だと言える表現を探求し続ける田之倉みつこ氏の、今後の活躍にますます期待が高まる。
インタビュー: 2025/12/23