ニコルと申します。広島県で生まれ京都、大阪で育ちました。上田安子服飾専門学校卒業後、アパレルに勤務。そこでニットの担当となり、失敗を重ねながらも生地から自由にデザインできる面白さを知りニットの奥深さにはまり現在に至ります。
活動は2024年より始め、編地や毛糸を使ってカラフルなアートをデジタルで作成しております。アートやもの作りが好きなのは、小学校の6年間近所のお絵かき教室に通っていたことが大きく影響していると思われます。絵を描いたり、粘土をこねたり、工作をしたり、すべてのことが刺激的で週1回土曜日に通っていた教室が楽しすぎて、早く土曜日が来ないか待ち遠しかった記憶が残っています。あんなに夢中になったお稽古は後にも先にもこれだけだと思います。
Interview注目の作家
印象に残っている出来事といえば、昨年2月に発売された『République des Arts(*)』に掲載していただいたことです。まだ活動を始めて日が浅く、どんな作品を作っていくべきか右往左往している時期にお話をいただきました。自分には時期尚早ではないかという思いもありましたが、試行錯誤を重ねながら制作に向き合ったことをよく覚えています。まさかフランスの方々に作品を見ていただけるとは思ってもみなかったため、雑誌を手に取りページをめくった瞬間の高揚感は、今でも忘れられません。
また2025大阪・関西万博公式ライセンス商品としてミャクミャクとコラボした作品がオフィシャルサイトに載ったことも思いもよらない出来事でいい記念となりました。2025年は初めて展示会に出展する機会もいただき、自分でもまったく想像していなかった出来事の連続でした。
※République des Arts|フランスのアート誌。フランス国立図書館にも毎号が収蔵されている。
きっかけはより多くの人にニットの編地の美しさ、素材の面白さを伝えたいという思いから活動を始めました。現在アパレルでニットに携わっているのですが、暖冬や消費の変化によってニットの需要がどんどん減ってきているように感じます。それと同時に高齢化に伴い織り職人の数も年々減少し、このままでは日本が誇れるこの素晴らしい技術が途絶えてしまうという焦りから、服ではなく何か別の形で技術の継承ができないかと模索していたところ、小学生の頃から好きだったアートにたどり着きました。
でも社会人になってから絵を描くことをしていなかったので、最初は頭の中で想像していることを形にするのがとても難しかったです。例えば『ケーキ』という作品は、おばあちゃんが着ていたようなかすり糸を使ったカーディガンの編地から取っています。このようなデザインを着る人が年々減ってきて、需要がなくなってきたのを数字で目の当たりにした時にこのままではダメだ、編地だけ見ればすごくかわいいのに服にすると需要がなくなる、どうしたらこの可愛い編地を生かせるだろうという思いから作り始めました。思い付きで始めたものの、想像しているものと出来上がったものとの差がありすぎて、途中何度もあきらめかけ暗中模索の日々が続きすぐに今の表現にたどり着いたわけではありませんでした。活動を始めて1年半経ちましたが、今はコンスタントに作品を作り続ける難しさも感じております。
暗いニュースが多い中、せめて私の作品の中だけでもクスっと笑えて少しでもHappyな気持ちになりますように、という想いを込めて制作しております。日々の生活の中で疲れたり、落ち込んだりすることは誰にでもあると思います。そんな時にふと目にした作品が、ほんの少しでも心を軽くするきっかけになれば嬉しいです。作品で大切にしている楽しさをアイキャッチにも込めてみました。頭からあふれた星はニットの可能性を別の形で伝えるにはどうしようと常にワクワクしながら考えている頭の中のイメージです。見えないけれど、きっとこのような感じかなと可視化してみました。
『アルパカ』です。この作品はアルパカの毛刈りのニュースを見てそこから着想を得ました。おしゃれ大好きなファッショニスタのアルパカという設定で作り出したのですが、制作を進めるにつれてどんどんパワーアップしていきました。星を付けたり、色使いを工夫したりと、作るのが楽しすぎて、完成させないといけないのにまだ完成したくないという矛盾が生まれたエピソードがあります。この作品には、ニットという素材への愛情と、遊び心、そして楽しみながら制作する私自身の姿勢がすべて詰まっていると感じています。自由な発想で素材の魅力を引き出し、見る人を笑顔にできる作品。それが私らしさだと思いますし、これからも大切にしていきたい部分です。
ニットの編地ってこんな表現ができるのかという驚きや発見を作品の中に織り交ぜて、作品を通じて世界中の人々にニットの楽しさを伝えていきたいです。ニットは日本が世界に誇れる技術であり、その可能性はまだまだ広がっていくと信じています。従来の服としての形だけでなく、アートという新しい表現方法を通じて、ニットの魅力を再発見していただけたら嬉しいです。
今年は海外の展示会にもチャレンジする予定です。日本国内だけでなく、海外の方々にもニットの素晴らしさを知っていただく機会になればと考えています。大人になった分きっとあーでもない、こうでもないと悩みまくると思いますが小学生の頃に感じた楽しくて仕方ない思いを忘れないように私自身楽しみながら制作していければと思っております。
編地の美しさを新しい形で表現し続けるニコル氏。日本が誇るニット技術を次世代に継承したいという強い想いと、小学生の頃に感じた純粋な創作の喜びを胸に、挑戦を続けている。今年は海外の展示会にもチャレンジする予定で、カラフルで楽しい作品が、より多くの人々にニットの新たな魅力を届けるだろう。今後の活躍に大きな期待が高まる。