「夜明けのゆりかご」

シルクスクリーン、シリウス水彩紙

「胎動」のリメイク前の作品です。(「胎動」がこちらの作品のリメイク作品でした。)
こちらも同様にエコー写真から発想を得て、筆のタッチで表現しようと試みました。思うように上手くいかず、悩んだ作品でもありました。

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#シルクスクリーン

「胎動」
まだ世界を知らぬ、母の胎内で脈を打つ命。
どんな姿をしているの。
どんなお顔をしているの。
目は、鼻は、口は、耳は、手は、どんな形をしているの。
まだその輪郭でさえも定まらぬ命。
いつか、産声をあげるために。
いつか、今を生きる私たちとめぐり逢うために。
今はただ静かに、されど確かに、胎内で呼吸をして、生きている。
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大学の卒業制作で刷った作品の一つです。
赤ちゃんのエコー写真から発想を得て、エコー写真特有の曖昧な形を筆で描き、シルクスクリーンにてグラデーションのように版を重ねて表現しました。
脈を打つという表現も筆のタッチで表現することを試みました。

シルクスクリーン、雲肌麻紙

こちらの作品はエディションが2枚あるため、
2枚複数販売しております。

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#シルクスクリーン

「おしまいの向こう」
物語におしまいがつきものであるように、命にもおしまいがある。

生まれたものには必ず終わりがある。生まれたことへの代価を払うように、おしまいがある。

だから──生と死は隣接し、直結するものであると、私は思うのだ。

どんな人であろうと、どんなに偉業を成し遂げた人であろうとも、死は等しく全ての命にもたらす。

けれど、「それがいいのだ」と私は思う。
死があるから、人は精一杯生きようとする。
死があるから、身を取り巻く環境を、体で、手で、目で、耳で、感覚で、感じ取ろうとする。味わおうとする。
死があって生に意味をなす。

もし、この世に、本当に創造主がいるとすれば───きっと私たちの生は瞬きひとつの間に消えるものでしかないのだろう。

それだけ私たちの生は呆気ないものなのだろう。
だからこそ、呆気ないものであるからこそ、私たちは精一杯生きようとする。精一杯生きようとして、数々の輝かしい功績を残して、進化しようとする。

生まれては死んでいく命たち。
生まれては死に向かう命たち。
生まれて、育って、次に繋ぐ命たち。

そうして生まれては、死んでを繰り返す命たちに。次へ繋げていく命たちに。
その中の一人として私はこの作品を持って、彼らに敬意を送る。

おしまいの向こうに⁡

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大学の卒業制作で刷った作品です。
生まれては死んでいく命達の概念、その一瞬を、紙に刷ることで永遠に留めました。

シルクスクリーン、雲肌麻紙

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#シルクスクリーン

私にとって、自画像は今の⁡私をなぞる行為だ。⁡
⁡いつまでも同じ私であるとは限らない。⁡⁡
限らないから、今を写し取って、永久に残したい。そして、いつかの私が「この私もあったな」と思い出に浸れるように。懐かしむように。アルバムを眺めるように。⁡
⁡
移り変わりゆく日々の中で、捉えた私の形。

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こちらはエディションがあと残り3枚あるため、複数販売可能です。

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#シルクスクリーン

「情想」

大学1年のカリキュラムで動物を実際に見てドローイングする機会がありました。
その時が人生で1番動物と直に触れ合った時間だったと思います。だからこそ、人間とは異なる命たちにたくさん触れてきた中で「意思のある動物もまた、私たちと同じように何かを味わい、何かに喜び、何かに悲しみ、何かに怒るということもあるのだ」ということを改めて実感させられ、その感覚を大事にしたいと思い、制作しました。

それは当たり前でしょと思われるのかもしれませんが、当時の私にとっては動画や写真を通して動物を見る機会しかなかったのです。一人暮らしを始めていたので尚更のこと。

だからといって、何も動物に触れてこなかったわけではありません。中学の頃、短い間でしたが、猫を飼っていたときもありました。けれども、記憶が曖昧で、もう昔のことのように思うのです。それを実感するには、思い出になりすぎたのです。だからこそ、その動物との触れ合いでダイレクトに思いました。

話を戻しまして、
「意思のある動物もまた、私たちと同じように何かを味わい、何かに喜び、何かに悲しみ、何かに怒るということもあるのだ」その感覚を、より実感させられたのが秋田犬でした。

私たちがドローイングしている時、ずっとつまらなさそうに寝てばかりいました。ですが、飼い主さんが来た瞬間、あの寝ていた態度なんて無かったかのように、嬉しそうにしっぽをふって立ちました。

あまりにも分かりやすい態度の変わり方にすこし笑ってしまったのと、人間のようにこんなに分かりやすいことがあるんだと感じたのを今でも覚えています。だから、その秋田犬をモチーフに選びました。

F80キャンバスに油彩

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#油彩画

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キャンバス アクリル絵の具

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#アクリル画

「微睡」

深い安寧の中にひたすら微睡んでいたい。

感情も、感覚も、自我も、消えてなくなって
いつかそのうち無へ還る、その直前の、意識と無の狭間にある安寧に、ずっと身を委ねていたい。

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この作品を制作した当時の私は精神的に追い詰められており、安らぎを求めて、絵の中にその安らぎを見出そうとしていました。いわば、現実逃避の絵とも言える作品でした。

だから、絵やタイトルに反して、制作の動機は決してそんな綺麗なものではありませんでした。

ただ、ただ、安らかに落ち着いて眠れるような、そんなゆりかごを手にしたいという気持ちだけでこの作品を制作しました。

だけれども、たった一人でも、誰かにとってこの作品が安寧となれば、とても幸いです。

キャンバスにアクリル絵の具

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#アクリル画

「転機 14歳」

苦々しい、14歳の記憶。

先生から吐き出された言葉に、思わぬ方面から、不意打ちを食らったように殴られた感覚がした。

死体に這う蛆虫が体の内側から食い破って、湧いてくるような不快と不安。

足元がおぼつかない。力が入らない。むせ返るはずの夏の暑さも何も感じられない。

今、私はきちんと立てているのだろうか。
どんな顔をしているのだろうか。
泣いているのだろうか。

全ての感覚が曖昧だ。曖昧になるほど、心にできた傷は大きくて苦しい。

そうして、作られた傷は今もなお、私の心を蝕んでいる。 治る兆しも見えず、ゆっくりと広がるそれは、自分の意識を大きく変えることになった。

それが、14歳の私の、今も鮮明に覚えている記憶だ。

あの頃の私は見栄っ張りで、誰かに認めて欲しくて、今よりもっと周りが見えていなかった。

だから、あの言葉たちは傷つけるというよりかは、警告のつもりで先生は言ったのかもしれない。

そのままではダメだよと。

けれども、けれども。

それでも、未練がましく思うのだ。

正すとしても、他になにか方法があったのではないかと、心にできた傷が、心が訴えている。

14歳の私はまだ泣いている。

未だ、消化しきれないこの思いと感覚に。
14歳の私へ、宛てる。

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大学の卒業制作で刷った作品の一つです。
心の傷をテーマに、瘡蓋をモチーフに作品制作をしました。

例外はありますが、人はなにかしら心に傷を負って生きています。その心の傷が今の自分を形成する大きな要素のひとつだと私は考えています。
それが、私にとっては14歳の時の話でした。

痛くて、苦しくて、つらいけれど、その傷があるから、今の自分がいます。

でも、だからといって、その傷を良しとすることはどうしても難しいですし、良しとしたくないのなら、それでいいとも思います。みんながみんな、そうできるほどの強い心を持っている訳ではないのですから。私もまた、その中の一人です。

苦しいけれど、それが生きるということなのだとも思います。生きるには楽しいことだけじゃなくて、苦しいことがたくさんあります。
けれど、その先に、きっと得がたい大切なものを得られると、根拠の無い望みがある。

だけれど、今でも夢に見るほど苦しい心の傷を、この思いをどうしても供養したくて、刷るという行為に供養するという行為を重ねました。

この作品を刷ることによって、この気持ち達が少しだけ落ち着いた気がしました。

シルクスクリーン、雲肌麻紙

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#シルクスクリーン