こちらの作品は、最初は壺を描くつもりは無く、ただ、模様のイメージだけが湧いてきたので、模様だけを画面全体に描いていました。

なぜ壺が表れたのかは定かでは無いのですが、感覚的には彫刻するような、削る感じで壺の形が表れてきました。

その後、上手に描かなきゃいけない！という自分の枠を取り払って、あえて自分が楽しく描けているところで筆を止めてみる事にチャレンジした作品です。

壺に対する日本人の中の共通理解「壺は目利きの鑑定家が見ると、本物は高い。」というところを逆手に取ってタイトルは決めました。

（綿布で覆ったパネルに油彩）

この黄色い瓶は不思議な装置で、そこに1年の溜まった疲れやマイナスな感情を瓶にすべて吹き込んでください。

すると、吹き込まれた感情はすべて浄化されて、キラキラのエネルギーに満ちた楽しい空気になりますので、今度はそれを思いっきり吸い込んで、身体中に行き渡らせてください。

そしてそのキラキラエネルギーをまとった身体で新しい年を迎えてください！

（キャンバスに油彩）

四角や縦棒を刻む時、私は無の状態になる事ができるのですが、新しい材料を使って、いつもとは違う表現方法を試みた時に、いつもとは違うワクワク感を感じたので、観る人にもワクワクが共有できればいいなと思います。

何が描かれているかは、私にとってはそれほど問題でも無いのですが、強いて言うなら、私はいつも地平線の上と下のイメージはあって、それは物質的な地平線ではなく、心の目に見える部分が上、見えない部分が下、という意識が微かにあります。心理的なものと、物質的なものが重なり合っているというか。地平線を堺に、上と下にまたがる縦棒は、人の立ち姿の集合体をイメージしていたりもします。

（でも観る人のイメージが優先だと思っています。）

（綿布で覆ったパネルに油彩、UVレジン）

この作品は、2011年東日本大震災が起こった後に描いたものです。

当時、自分にはお腹の中に三女を宿していまして、身動きが取れない状況でした。

それでも、何か自分に出来ることは無いのだろうか？と考え抜いた結果、自分に出来ることは、災害に遭われた方への一日も早い心の平穏を祈ることと、絵を描くこと。

無力ながら、それだけしかできないけど、何もしないではいられなかった。

そんな思いで、祈りながら描いた黙祷のような絵です。

キャンバス布で覆ったパネルに油彩　72.7×53.0(cm)