WORKS作品













INTERVIEWインタビュー
この世に一つの『瞳景』を描く
絵を描くことに魅了されて
―画家の道に進まれたきっかけを教えてください。
「私は昭和 34 年生まれなのですが、生まれたころには白黒テレビがあってよく観ていました。幼稚園のころから、テレビで観たものの絵を夢中で描いていて、それが絵と関わるスタートになりました。とにかく描くのが好きで、絵を描くことはずっと続けていました。高校の時に進路選択をする際、色々な選択肢がありましたが、自分の好きな分野・得意な分野について考えたら、やはり絵を描くことだと思いました。それで芸術大学への進学を目標に掲げ、最終的には愛知県立芸術大学に進学し、油絵を学ぶことになりました」
―大学を卒業後はすぐに画家として活動されたのでしょうか?
「大学卒業後、美術の教員を務めながら、画家としての活動を行っています。大学の周りの人間を見ても、いきなり画家として絵だけ売って生活するのは難しい状況でした。油絵を共に学んだ友人は私と同じく、教員などをしながら画家を続けている人間が多いですね。大学卒業の頃は現代美術が盛んな時期でしたので、インスタレーションの作品などを手掛けていましたね。結婚や子育てなどで一時活動を休止したことはありましたが、子どもも大きくなり作品制作を再開しました。
その後、自分の目を撮影してそれを描き、作品化する『『瞳景』という新たなアイデアを考えつきました。その作品をもとに現代美術の画廊で複数回にわたって展覧会の開催を実現できました。京都市美術館主催の展覧会で京展賞をいただいたり、平等院表参道美術作品公募展で優秀賞をいただいたりして、大きな手ごたえを感じていました」
―アパレルではどのようなお仕事を?
「大学卒業後、美術の教員を務めながら、画家としての活動を行っています。大学の周りの人間を見ても、いきなり画家として絵だけ売って生活するのは難しい状況でした。油絵を共に学んだ友人は私と同じく、教員などをしながら画家を続けている人間が多いですね。大学卒業の頃は現代美術が盛んな時期でしたので、インスタレーションの作品などを手掛けていましたね。結婚や子育てなどで一時活動を休止したことはありましたが、子どもも大きくなり作品制作を再開しました。
その後、自分の目を撮影してそれを描き、作品化する『『瞳景』という新たなアイデアを考えつきました。その作品をもとに現代美術の画廊で複数回にわたって展覧会の開催を実現できました。京都市美術館主催の展覧会で京展賞をいただいたり、平等院表参道美術作品公募展で優秀賞をいただいたりして、大きな手ごたえを感じていました」

唯一無二の瞳の中を描く
―最大の特徴である「瞳景」は、どういった流れでスタートしたのでしょうか。
「昔からカメラが好きで、自分でも扱っていたので、それを活かした作品を描けないかと考えました。デジタルカメラが出始めた時は高価で画素数が低いものばかりでしたが、どんどん手頃な価格かつ画素数の高いカメラも出てきて、1cm ほどの距離で目の中を撮れるようになったことが大きく影響しました。
それから、目というのは指紋と同じく一生変わらないもので、僕という人間を判別するための一つの要素です。ですから、目を自画像として描いたら面白いのではないかと考えたのです。ただ、目を撮影するとどうしても見ている風景も写ってしまうので、いっそのことその風景も描いたら面白いかなと思いました。目に映る景色と自分の虹彩の模様が重なって同時に写っているのがすごく趣深かったんですよね。
また、風景を見ている時に、騒音や匂い、あるいは温度といった五感で感じたものが頭に溜まっているものの、それは自分自身でしかアウトプットできない。すなわち、自らの死後はそうしたものがこの世から一切消えてなくなってしまうことになります。そういった諸行無常というか日本的な儚さを描いてみるのもいいのではと思ったのです。
現代的な作品を描きたいという意思と、それを実現するためのカメラの発達も重なって、瞳景はスタートしました」
―斬新なアイデアですが、当時の周りの反応はいかがだったのでしょうか。
「アナログで自分の目を何百枚と撮った中でのベストショットを描いているのですが、そういった部分が伝わらないことも多くて…。賞をいただけてはいたのですが、さほど周囲には認められていなかったと感じます。当時は今のように SNS も発達しておらず、アピールの仕方も下手だったのかもしれませんね」

もうひとつの「落光」シリ-ズ
―今後広げていきたい分野などはありますか?
「昨年からは静物の作品を展開しています。実は学生の頃に蝶を集めていたことなどもあって、自然に対する興味・関心が高いことに加え、陰影法などを現代的に表現したいなと考えているんです。この『落光』シリ-ズの作品も『瞳景』シリ-ズの作品と並行して制作していこうと考えています」
―描画に対する並々ならぬエネルギーはどこから湧き出てくるのでしょうか。
「私は花のように飾る、生活の一部に解け込むような絵を提案できるように、海外のインテリア雑誌、SNSを拝読します。あとは、部屋に花や植物を飾ったり、おしゃれなカフェや雑貨巡りをして、また新しい技術は書籍や動画を見ながら学ぶこともたくさんあります。愛犬がいなければ海外の美術館巡りもしたいですが、今のところはインターネットを利用して私自身が潤うものを探しています」
―今後の抱負などを教えてください。
「この道に足を踏み入れた以上は全力を投じたいのです。頭にはアイデアが浮かんできますから、あとは時間や場所の制約との戦い。アウトプットしきれていないものばかりですから、少しでも多く形にしていきたいですね。作品は撮影した画像をパソコン上でトリミングするなどしたものをもとに描いているのですが、その途中でアイデアがぽんぽん出てくるものですから、あれも描きたい、これも描きたいという感じになってしまうんです。ライフワークとして物理的に描くことができなくなる状態になるまでは描き続けるのではないでしょうか」
―直近の展覧会について教えてください。
「5月にWeb個展を予定しています。主に『落光』シリ-ズの作品を展示します。また、出身地の茨木市主催で現代美術展が毎年開かれていまして、6 月にある今年の現代美術展では、特集作家として選ばれて発表させていただけるので、そこに向けて『瞳景』の新しい作品を描こうとしています。横幅5mくらいの大きな海を見ている目の作品を描き上げようと考えていますよ」

EXHIBITIONS展覧会情報
2025.05.01 ~ 2025.05.15
岩澤武司Web個展光の記憶 ~瞳景と落光の軌跡~
私たちは日々、光と影の狭間で世界を見つめ、心に刻んでいます。 この展覧会では私が捉えた「瞳景」と「落光」という二つの視点を通じて、光の記憶、影の向こうにある未来...
2023.09.17 ~ 2023.09.29
岩澤武司個展 【 瞳景 – 自画像の系譜 】
自己と世界を見つめる 異形の「自画像」 小吹隆文・美術ライター 岩澤武司は1959年生まれの美術家だ。彼は2011年から「瞳景」と題したシリーズ作品を発表してい...