思った事や考え方などを表現しています。
作品を通して作家というものを創り上げたいと思っています。
【略歴】
1973年
・福井県福井市生まれ
【個展】
2008年
・福井 鯖江現代美術センター
2009年
・大阪 ギャラリーそら
INTERVIEWインタビュー
江ノ上元
普段考えていることを絵にする
福井県福井市の出身です。普段、自分の中で考えていることや感じていることを、そのまま絵にするようにしています。絵を描き始めてから22年ほどになります。1973年に福井市で生まれ、1993年に福井県立科学技術高等学校を卒業しました。2004年に体調を崩し、療養の一環として絵を描き始めたのが、今につながる制作活動のはじまりです。個展としては、2008年に旧森田銀行本店(三国)とさばえ現代美術センター(鯖江)で、2009年にはGallery sola(大阪)などで開催してきました。受賞歴としては、2022年に第36回市美展ふくいで福井新聞社賞を、第44回大野市美術展では文化協会賞をいただいています。こうして振り返ってみると、体調を崩したことがきっかけで始めた絵が、20年以上経った今も自分の生活の中心にあるのだと、あらためて感じます。
「抵い(あがない)」
作:江ノ上元
心に残っている展示のエピソードを教えてください
心に残っているのは、2008年の旧森田銀行本店での展示です。あのときは、イーゼルの代わりに山へ木を切りに行き、その木で物干し竿を作りました。そして、まるで布団を干すように絵をそこに吊り下げて展示したんです。展示会場に一般的なイーゼルを並べるのではなく、自分の手で素材から作った道具を使うことで、作品の見え方も、来場された方の反応もまったく違うものになりました。あの発想は自分でもやってみて面白かったですし、今でも印象に残っている展示のひとつです。
絵を描き始めたきっかけを教えてください
一時期、体調を崩していた時期がありました。外に出るのも難しいような状態が続く中で、療養の一環として絵を描き始めたのがきっかけです。最初は特別な目的があったわけではなく、ただ手を動かすことで気持ちが落ち着くような感覚がありました。そこから少しずつ絵を描くことが生活の一部になり、気づけば今のように制作を続けるようになっていました。
制作で大切にしていることは何ですか
制作をする上では、作者である自分自身のイメージを大切にしています。技法や見た目の完成度だけを追いかけるのではなく、自分の中にある感覚や、その時々に考えていることが、絵の中にきちんと表れているかを大事にしながら描いています。誰かに見せるための絵である前に、まず自分自身が納得できる一枚であること。それが結果として、見る人にも伝わる絵になるのではないかと思っています。
代表作と、そこに込めた想いを聴かせてください
代表作のひとつが「根」という作品です。花が咲いていられるのは、土の中で根が栄養を吸収してくれているから。いつも、見えないところで、あなたを支えてくれている存在がある――そんな想いを込めて描きました。数ある作品の中でもこの「根」を選んだのは、ストーリー性が分かりやすく、描かれている形やラインが、自分自身のことをよく表現できていると感じたからです。見えない部分で誰かを支えるという感覚は、自分が療養していた時期に、周りの人たちに支えられた経験とも重なっています。自分の中でも、特に手応えを感じている一枚です。
「根」
作:江ノ上元
今後の展望を聴かせてください
今、頭の中には描きたいアイデアやストーリーがどんどん増えてしまっています。ひとつのアイデアを形にしている間にも、次から次へと新しい発想が浮かんでくるような状態です。だからこそ、無理のないペースで、一つでも多く作品として形にしていきたいと思っています。とはいえ、増えていくアイデアに手が追いつかず、正直なところ少し焦りもありますね(笑)。それでも、これからも自分のペースで、じっくりと制作に向き合っていきたいです。
体調を崩したことをきっかけに絵筆を握り、以来22年にわたって自身と向き合いながら制作を続けてきた江ノ上。見えないところで支えてくれる存在への感謝を静かに描き出すその作品には、飾らない誠実さがにじむ。かつて物干し竿に絵を吊るして展示したエピソードが物語るように、既成の枠にとらわれない発想も持ち味のひとつだ。次々と生まれるアイデアやストーリーを、無理のないペースでひとつずつ形にしていきたいと語る江ノ上。今後の創作や活動の広がりにも期待が高まる。