ーー発想や表現は一人でもできるが、世界を広げるには「人」が不可欠だと。
大学を起点にして、いろんな人との出会いがあり、スマホやパソコンの情報とはちょっと違う、普通の人間のエネルギーみたいなものに触れる「身体感覚」を掴むことが大事だと思います。特に美大生は、表現が好きな人たちなので、“遊びの原点としての表現”にこだわって、徐々に自分のイメージのものが作れるとか、スキルを磨くのも楽しいと思います。
深刻に考えることなく、ご機嫌に遊んで、健康的に楽しくというのが人生の醍醐味。創作をする時間というのは本当に楽しいものです。
「自分は漫画家ではなく、マンガ家」というタナカ氏。“漫画”は、学術的にいうと岡本一平氏(岡本太郎の父親)の時代の政治家の似顔絵や風刺画を指し、“マンガ”は手塚治虫以降のマンガの描き方を指すもので、「手塚以前の漢字の漫画は当てはまらない」と言います。「自分は手塚先生以降のマンガの描き方をしているので、それを正しく使っていこうと思っています」というタナカ氏はまさに“アトムの子”。「世の中にマーケットのないことをやるのがマンガ家で、私の目指すマンガ道は開拓者なんです」と、マンガの枠を超えた“面白い・楽しい・心地良い”の伝道師でもあります。
【タナカカツキ氏プロフィール】
1966年大阪府東大阪市生まれ。1985年小学館『週刊ビックコミックスピリッツ』誌で新人漫画賞受賞、マンガ家デビュー。京都精華大学美術学部ビジュアルデザイン科在籍中に、講談社『週刊モーニング』誌で新人漫画賞受賞。1989年同科を卒業。
著書に『オッス!トン子ちゃん』『サ道』、天久聖一氏との共著『バカドリル』などがある。さらに、カプセルトイ「コップのフチ子」の企画原案、サウナ特化型施設「渋谷SAUNAS」のプロデュースなど、マンガ家の枠組みには収まりきらない多才さと、独自の美意識に貫かれている。現在、京都精華大学デザイン学部客員教授として、デジタルクリエイションコースでメディアアートなどを教えている。