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Interview: 柳澤多恵

歴史を描く油彩画家

 

簡単に自己紹介をお願い致します。

 
大阪出身。世界遺産古市古墳群を有する歴史豊かな町で育つ。故郷の古墳や歴史からインスピレーションを得ながら、日本や世界の歴史、神々、曼荼羅を描く。2009年新日本美術協会展入選。5年間所属後、東京美術研究所にて1年間学びながら、油彩技法ビデオ撮影に携わる。他、町田市市展入選。2014年個展(近つ飛鳥博物館、田尻歴史博物館、藤井寺市役所、他)NY、フランス、オーストリアなど海外展示にも参加。古市古墳群の世界遺産化と共に葛井寺、當麻寺護念院に仏像画奉納。
 

どのような経緯で画家になられたのでしょうか?

 
小さい頃から描くのが好きで、幼稚園の時に初めて書いた夢が「画家」でした。中学生の時、美術の先生が「プロに通用する」と背中を押して下さり、独学で学び続けました。2009年新日本美術協会に所属後は、画家としての活動を先輩画家から教えていただきながら、展示を重ねて来ました。今は絵画教室なども立ち上げ個人で活動しています。
 

作品にはどのような想いを込めていますか?

 
歴史を描くうちに、名や形は違えど、もとは一つで世界に繋がることを知り、国境を越えてそれらを表現できたらという想いで描いてます。
 

カラーセラピーを活用した絵画ボランティアや絵画教室とはどういった内容なのでしょうか?

 
ちょうど2011年震災後の6日後にカラーセラピーの資格書が届き。原発で働いていた亡き父のこともあり、突き動かされるように、2年間ほど特養の施設で絵画ボランティアをしていました。色を見る、色に触れることで五感が刺激されます。施設の中でも季節が感じられるように、四季の塗り絵や野花を用意して楽しんでもらっていました。絵画教室では、うまく描く、課題をこなすではなく、描きたい時に好きなものを描くを大切に子供たちを中心に催しています。
 

古墳の魅力を教えてください。

 
魂の再生と永久の平和を願う天地を結ぶ祈りの場だと思っています。禁足地が多い中、実家横の古墳はたまたま入れる古墳でした。人々の祈りや感性を肌で感じれる場所です。また時を超えて現在まで守られ残っていることに、土地に刻まれた人々の心を感じる場所です。
 

油彩技法ビデオの撮影をお手伝いされた、とのことですが、その時のお話を聞かせてください。

 


 
中世の技法を学びたくて、博物館で複製画を手掛ける絵師である先生のもとに1年間通ったのですが、当時油彩画の技法を残したいと取り組んでおられて。筆を握る予定が、ビデオ機材を握るという展開になりました(笑)中世の工房の制作過程を目の前で見ることができたこと、フェルメールの絵画が目の前で描かれる様を見れたこと、何事にも代えがたい経験でした。本当に描けるかも!と、その時に見たものからチャレンジしたのがミュシャの絵です。「あなたも描ける名画」ビデオ(俵屋工房様です)油彩を描かれる人、絵画を見るのが好きな方はぜひ見てほしいです。

 

画材のこだわりなどございますか?

 
毎回とはいきませんが、円形キャンバスは絵師の先生から紹介していただいた工房から取り寄せて描いています。
 

初めて作品を発表したのはいつ、どんな時でしたか?

 
美術協会に所属して間もない頃、東京の三鷹にあるギャラリーでの展示に誘われたのが初めてです。子供がまだ小さかったのですが、育児をしながらでもチャレンジできるのだとパワーをもらえた展示です。
 

今までの作品で最も「自分らしい!」と思う作品があれば教えてください。
また、そう思う理由なども教えてください。

 


 
故郷の葛井寺の国宝のご本尊を描いた「十一面千手千眼観世音菩薩紫雲来迎図」です。背景は初めて日輪(日暈)を見た時に描きました。故郷と空が大好きなので、私の想いが全て詰まった作品だと思っています。2018年に葛井寺に奉納できたことは言葉では言い表せません。
 

最後に、今後の作品制作に向けての想いをお聞かせいただけますか?

 


 
土地に刻まれた記憶や、天地の繋がりを感じられるような作品を描き続けれたらと思ってます。そして七色が体感できるように、またグラデーションでの展示を目指して制作中です。
 
 

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