翠波画廊

画集や複製画では持ち得ない本物が持つ生命感のようなものを感じてください。


翠波画廊さんはどのような画廊ですか?

ピカソや藤田嗣治をはじめとしたフランスのエコール・ド・パリの作家から、草間彌生やバンクシーなど現代アートの作家を中心に取り扱いをしている画廊です。もちろん現在もそのジャンルに注力していますが、美術商としての醍醐味は、新しい価値を創造していくことだと思っています。そのため、新しいアーティストの発掘にも力を入れています。

画廊としてのオリジナリティを強めていくためにはジャンルだけではなくて、そこでしか買えないものを扱っていく必要があります。当画廊ではハンス・イヌメさんやギィ・デサップさん等、才能ある海外の画家とも専属契約を結び、画廊のカラーを出すようにしています。他にもフランス系の作家さん、日本人の作家さんや彫刻家などお付き合いの幅は広がり続けています。

 

今は海外の作家さんがメインで日本人の作家さんはそれほど多くはないですか?

それほど多くはないですね。ただ、日本人である以上日本人の作家さんを海外に発信できるようにこれまでの輸入だけではなく、輸出もできるようにしていきたいと思っています。

 

日本から海外に輸出をしていくにあたって、「このような作家を探している」というポイントなどはありますか?

例えば最近では繊細な美人画などが流行っています。あの画風は日本人の繊細な心を表しているという意味で良いと思いますが、画廊として扱っていこうと思っている方向性は少し異なります。

どちらかと言うと幅が広い自由な表現かどうかがポイントになるかと思います。

描き方の約束事は近代まではあったかと思いますが、現代は表現の自由が広がり「こうでなければならない」という価値基準がない時代になってきたように感じます。現代美術などは特にそうですよね。これからの時代は表現の幅が広く型にはまらない表現をしている画家さんやアーティストを紹介していきたいと思っています。

 

作家さんはどのように探されていますか?

私自身が若い作家のグループ展や藝大の卒業展に足を運んだり、時には若い作家からの紹介を受けることもあります。

ジャンルはこだわっていないのですが、根幹にある考え方としてアートはやはり見る者の心を揺さぶる何かがあるとか、気持ちがワクワクするとか、感動するまでは言わないですが何か心に響くような力がアートの基本になると思うので、そういう意味でも表現手段にはこだわらず、自由な表現をできる作家を探しています。

もちろん画廊としても枠に縛られずに自由にやっていきたいなと考えています。

 

髙橋様は彫刻のご出身と伺っています。絵画の世界に入ろうと思った理由はなんでしょうか?

新卒で入った会社がエコール・ド・パリを扱っており業績も非常に好調だったこととその延長線上で独立するに至りました。

ビジネスは関係なく、個人的な好みでいうと立体も非常に好きです。
一般的には絵画も立体も視覚芸術という意味で同じと捉える方が多いように思いますが、私は全く別物だと思っています。

絵画はイメージの世界、彫刻はリアルだと思っています。昔ロイ・リキテンスタインやジャスパー・ジョーンズなど、3次元のものを2次元に置き換えていることがアンチイリュージョンという点で美術論争になったことがあります。

 

つまり平面のものを絵画にすればそれは2次元→2次元なのでリアルじゃないかと。それでジャスパー・ジョーンズが国旗を描いたり、リキテンスタインが漫画のイメージをそのまま絵に落とし込むことであのような作品が生まれてくるわけですが、絵はそういう意味ではイリュージョンの世界だと思うのです。

彫刻はその場にあるという意味でリアルです。触ることができて皮膚感覚で感じることもできるからリアルだと思っています。こども時代に手で触って遊んでいた経験からやはり今でも立体は好きなので、翠波画廊でも扱っております。

 

髙橋様のこれまでの略歴を教えてください。

多摩美術大学の彫刻科を卒業しました。元々ものづくりや工作が好きだったので絵も描いていましたし、小さい頃は書道や工作などでは必ず何かしらの賞を取っているなど、ものづくりが好きだったので美大進学を目指しました。

美術大学を出はしましたが、結局一人の作り手としてやっていくためには「3度の飯より作るのが好き」というくらいでないと一流にはなれないと思い、そこまでの情熱を自分が持てるかと考えた時にそこまでの情熱は持てないと考えるに至りました。

それでもアートに関わる仕事をしたいという想いはあったので、画商の道に入り28の時に独立をして今に至っています。

 

美術商という手段であれば独立せずとも、会社に所属していてもよかったと思います。独立をした理由はなんですか?

父が地元で事業を営んでいました。父はいずれ私が会社を継ぐだろうと考えていたと思うのですが、私の中ではなんとなく商売人になるという考えに抵抗はなく「自分で会社を立ち上げる」という想いが漠然とあったので、独立をしたというのは自然な流れだったかと思います。

 

創業した当時はどのような苦労がありましたか?

私が創業した当時はバブルが弾けた後だったのでよく「大変だったでしょ?」と言われるのですが、バブル景気が弾けた後も個人消費は堅調でしばらくはよく売れました。

むしろ景気が悪くなったかなと思うのは1997年くらいに橋本内閣の時の緊縮財政で、地方の公共事業を減らそうという時期でした。その頃から地方の土建屋さんの仕事が縮小してしまいました。日本は以前から地方には地元の土建屋さんやお医者様など優良な消費者がいたのですがその政策で痛手を受けてしまっていたようです。

 

翠波画廊さんは他の画廊さんと比べてもインターネットでの集客に特に力を入れているのがよくわかります。その点についてもお聞かせいただけますか?

昨年リニューアルした画廊のホームページは再度大幅に手を入れます。
ホームページ以外にもSNS、メルマガ、ネット広告などをやっていますが社長の仕事はマーケティングだと思っているのでマーケティングに関しては私自身が常に学んで、会社に落とし込むようにしています。

 

一般的に「ネットで絵は売れない」と言う方が非常に多いですが、その思い込みは特にありませんでしたか?

インターネットが普及して、ホームページという物が出来始めたころに当画廊もホームページを立ち上げました。おそらく日本の美術業界では最初にホームページを制作したと思います。

常にホームページをリニューアルし続けるのは、時代の変遷と共に最適な方法も常に変わる為、都度適応している結果と言えます。

 

昔ホームページを制作した時には画像の読み込みが非常に遅く当時は当時でその環境に適応するホームページを制作したのですが、今後5Gの時代になればさらに通信速度は速くなるのでホームページの作り方そのものを変えていかなければならないと思っています。
そういった意味でホームページには立ち上げ初期の頃から「これは画期的なツールだ」と可能性を感じ、期待をしていますね。

 

美術品と対極にある商売はスーパーマーケットだと思っています。
スーパーマーケットは半径2キロくらいが商圏で2〜3日に1回来店していただき、それで商売が成り立つと思います。チラシもその商圏に撒けばOKでしょう。

一方美術品は逆で、それほど一定の地域に密度の濃いお客様がたくさんいるというわけではありません。非常に大きな商圏の中にお客様が点在している、つまりは「大きな商圏で出会いの場が少ない」ということが美術の取引を困難にさせているのだと思います。

美術品は百貨店やアートフェアなどで好きな人だけが集まって取引きをするのが一般的ですが、「この画廊はこの作品を扱っている」とお客様側から見つけてくれるのがインターネットなので美術市場のネックを一気に解消してくれています。

インターネット経由での集客はそこそこありますがネット上で取引が全て完結するとは思っていませんし、当然インターネットだけで画廊を運営することは困難なので従来通りに画廊で展示会を開催したり、ご案内状を出したり、電話をしたり地道な行動も大切にしています。

 

日本と海外の美術業界で異なる部分はありますか?

世界はグローバルで世界の価値基準は同じと考えている方が多いように感じるのですが、価値基準は異なるという認識を持たないといけないと思います。

アートは元々印象派から始まり人間の個性を重視され、それが芸術としての基本的価値のように捉われるようになったのが現代のアートのルーツであるとすれば、日本にはそういったルーツのようなものがないのです。

個性は確かにありますが西洋ほどそこに価値基準は置かれていないのと、独立した芸術としてのジャンルや市場は江戸時代など昔にはなかったように思います。当然出版物としての浮世絵や御用絵描きのように有名画家がいたりなどはありましたが、どちらかというと職人さんに近かったように思います。だから今のように”芸術家”として一人の才能や個性に価値を見出すというのは印象派から生まれた流れだと思っています。それが価値基準として世界に浸透していったかと思うのですが、日本にはそういった物がなかったのでちょっと日本ではアートに求めているものが違うのですね。

 

だから一言で「アート」といっても日本で求めているもの、アメリカで求めているもの、フランスで求めているものはちょっと違います。
フランスに行くとアートは芸術としてみなされますが、アメリカに行くと金融商品のようにみなされることが多くあります。日本ではどちらかというとフランスに近い感覚があってアートには芸術性を求め高尚で特別な価値があるという考え方をしています。アメリカに行くと、アーティストというとどちらかというとロックバンドや歌手のようなレベルで評価され、金融商品のような価値を持っています。

求めているものが違うのに同じものとしてとらえて論じてしまうから噛み合わない部分が出てきてしまうように思います。

 

今後日本の美術業界がこのようになったら良いなという理想像はありますか?

昔のお金持ちは美術品を宝物としてコレクションしていました。おそらく戦前は貧富の差があったかと思いますがお金持ちの家には先祖代々が大切にしてきた美術品があり、それが収集してきた人の人となりを表していていました。芸術作品が日常的なものになると金銭的な部分だけではなく心豊かになったと思うのですが、そういった伝統がなくなっていっているのは良くないなと思います。

 

日本も社会が成熟化し貧富の格差が出てきている中で、お金持ちの方々が自国の文化を守るような流れになってほしいと思っています。なぜこういうことを思うかというと、今洋画や日本画の価値が著しく下がってしまっています。当画廊はたまたまそういったジャンルは扱っていないので偉そうなことは言えないのですが、やはり日本画の伝統は日本独自の物ですし日本人が持っている価値、精神風土に根ざしている価値や文化を反映していると思います。だからそういった物が日本の家庭に広まり、大切にされていくことで文化が形成されていくのではないでしょうか。

 

翠波画廊として今後どのように文化の形成に貢献していこうと考えていますか?

価値ある芸術品というのは人類の文化財産のような物だと思っています。バブルの時に日本人が世界の美術品を買い漁る様を批判されていましたが、当時買い漁っていた美術品が今美術館などに収蔵されるように二次産業として使われています。それ自体非常に良いことですし日本に良い美術品を残していきたいなと考えています。

今日本の美術品は海外への流出の方が多いように感じてしまい非常に残念です。だから若手の良い作家がいたらちゃんと育てていきたいと考えています。

 

お客様には何を期待して翠波画廊に来ていただきたいですか?

当画廊は10万円くらいの作品からそれこそ数千万円する作品まで幅広く扱っていますのでお客様がご要望をおっしゃって下されば、ご要望に応じたジャンルや価格帯からお選びいただけると思います。

 

今までで一番印象的だったお客様はいらっしゃいますか?

沢山印象的だったお客様はいらっしゃるのですが、私がこの業界に入って最初の頃に買っていただいたお客様です。百貨店で販売している時に、ふらっと来られたご年配の女性のお客様が「ローランサンの版画はないですか?」とおっしゃっていて、その時ローランサンの版画は会場に持っていってはいなかったのですが、会社にはあることをお伝えしました。

そのお客様はご自身がローランサンの作品をお好きだったようですが、この時はお孫さんへのプレゼントだったようです。お孫さんへのプレゼントであればお好みをお聞きした方が良いかと思い伺ったところ女の子のお孫さんは生まれたばかりとのことでした。

一般的に女の子が生まれたら雛人形を買ってあげることが多いのですが、お子さんのご自宅が都内のマンションで雛人形を飾るスペースが取れないので、それであればローランサンの版画を1枚買ってあげようと。そしてお孫さんに自分がローランサンの絵が好きだった想いを伝えてあげて、先立った後にも自分のことを思い出してくれたら良いなという想いがあったそうです。そして何より絵が好きな子になってほしい、だから孫のために絵を買ってあげたいんだと。それはすごく感動的なお話でした。

 

素敵なお話です。髙橋様の話しやすいお人柄等があってのことかと思います。翠波画廊さんは非常に入りやすい画廊と思うのですがお客様が入りやすいお店作りのために意識していることはありますか?

店舗作りの時に勉強したことなのですが、、、

値段表のないお店に入る時みなさん何を一番気にして入りにくいと思いますか?

 

価格ですか?

実は一番入りにくい理由をアンケートとったところ、「頑固親父がお店の中にいて嫌な思いをするのではないか?」という不安を持つ方が多いそうなのです。
なのでそういったイメージを払拭するようなお店作りは意識しています。

店頭は割とオープンにしてスタッフみんな難しい顔をしないように意識して、若い子がにこやかに「いらっしゃいませ」という風な演出をしていきたいなと考えています。

お店に入る時の不安は他にも「しつこく接客されるのではないか?」のような人間関係の部分だと思うのですが、それがないということを印象付けてあげることが大切だと思います。

 

最後にこのインタビューをお読みになっている方に一言お願い致します。

とにかく絵は実物を見て、ご自身で所有していただきたいです。自分の感性に会う作品を1枚手元に置いておくことで自分の内面を豊かにしてくれ、生活に彩りを与えてくれるので臆せずご自身の買える範囲で飾ってみてほしいです。そうすると空間が変わって見えることと思います。

 

画集や複製画も良いのですがあくまでもそれらは画集であり複製なのです。例えば博物館に行くとホルマリン漬けの海洋生物などが沢山います。色も変わって形こそそのままかもしれませんが、その生き物が自然界で生きて動いている様子を見るときれいで生き生きとしていて全然違うように見えると思います。絵も同じでオリジナルだから持つ絵の生命感のようなものがあるかと思います。だから本物を見ていただきたいので、本当に気軽に来ていただきたいと思っています。

 

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翠波画廊は、いつまでも残る本物の絵画、絵のある暮らしの楽しさを、お客様にお伝えしたいと思っております。 ピカソやシャガール、藤田嗣治をはじめとした 20世紀巨匠から、カシニョールなど現代フランスの人気作家、今話題の草間彌生など現代美術まで幅広く取り揃え、ご紹介しております。また、ヨーロッパなどで活躍する魅力的な作家を日本で紹介し、広く皆様にご案内することも精力的に行っております。 コレクションとして、大切な方へのプレゼントとして、そしてお子様へ残す資産としてもお選びいただけるような作品を、ぜひ翠波画廊でお探しください。

翠波画廊
住所:東京都中央区京橋3-6-12正栄ビル1F
電話番号:03-3561-1152
営業時間:平日・土曜 10 :00 ~18 :00
休廊日:日 曜・祝日

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髙橋芳郎(タカハシヨシロウ)
株式会社ブリュッケ代表取締役

1961年、愛媛県出身。地元の高校を卒業後、1979年多摩美術大学彫刻科に入学。1983年、現代美術の専門学校Bゼミに入塾。1985年、株式会社アートライフに入社。1988年、退社、独立。1990年5月、株式会社ブリュッケを設立。その後、銀座に故郷の四国の秀峰の名を取った「翠波画廊」 をオープンする。2017年5月、フランス近代絵画の値段を切り口にした「「値段」で読み解く魅惑のフランス近代絵画」(幻冬舎)を出版。

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