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Interview: サトウミツヨシ

夢を追い、一度は諦めて、運命に導かれた

 
 

“ 幼少より描くことが好きだったけれど… „

 
 
「学生時代にテレビアニメの『ドラゴンボール』がはじまり、通っていた学校でも大流行しました。私もドラゴンボールはとても大好きで、ある日キャラクターのイラストを描いてみたところ、友達がとても褒めてくれて。それが嬉しかったんですね。その出来事がきっかけで、子どもの頃に絵を描くことが好きになりました。絵を描き続けていく中で自然と少年誌でのプロの漫画家を目指すようになり、ほとんど毎日絵の練習を続けてきました。”自分もドラゴンボールのように多くの人を楽しませる漫画を世に出したい”この思いが絵を描く活動の原点でした」
 
サトウミツヨシさんは、漫画的なタッチで人物を捉えた作品を発表するモノトーンカラーイラストレーター。絵に興味を持ったきっかけは有名作ドラゴンボールだったというが、その後も度々、漫画がもたらした運命的な出会いが降りかかる。子ども時代に好きなものを描いてみて人に褒めてもらえるほどの腕前をすでに備えていたというサトウミツヨシさんの、学生時代以降のお話もまた興味深かった。
 
「少年誌でプロの漫画家になりたいと思うようになると、”25歳までに賞をとるか、編集者に目をかけてもらうかなど、デビューのきっかけを掴まなくてはいけない”という話を耳にするようになりました。その年を過ぎてしまうとデビューは難しいといわれている業界のため、25歳を迎えた時、絵の道を一度諦めたんです。その後は10年ほど絵を描かずに過ごしましたね。自分でも”このまま絵は描かないんだろうな”と思っていました」
 
 


 
 

“ きっかけはコロナ禍のお買い物 „

 
 
「2019年に転機がありました。新型コロナウイルスが蔓延し、政府から10万円の給付金を受け取ったのですがなかなか使い道が思いつかなくて、思い切ってデジタルイラストを描くための液晶タブレットを購入してみたんです。併せてデジタルイラスト制作用のソフトを購入し、試しに絵を描いてみることにしました。始めは”せっかく道具を買ったし、少し絵を描いてみるか”くらいのつもりだったのですが、初めてみたところ絵を描く楽しさを思い出し、再び制作活動を続けるようになりました。完成した作品を誰かに見てもらいたくなり、Instagramのアカウントを作成して投稿するようにもなりました」
 
絵の世界に戻るためのチケットは新型コロナウイルスによる給付金だったという。その後もご縁と出会いに導かれ、現在の作風に固めていったのだそうだ。Instagramで繋がった作家の方とのグループ展がひとつのポイントであったと、サトウミツヨシさんは話す。
 
「液晶タブレットを購入してからしばらくは、好きなキャラクターを描いたり二次創作をしたり、モチーフとなるキャラクターを自分なりにアレンジして描くことを楽しんでいました。グループ展開催にあたりオリジナルをいくつか作成する必要があったため、オリジナル作品を強く意識するようになりました。”自分にしか描けない絵ってなんだろうな”と模索する中で、展示用に制作した作品のうちの1つが現在の作風を決定づけるものとなりました。その作品とは、コミック誌の2色印刷にアイデアを受けて制作したものです。展示が終わった後、ふと作品を見返してみたある日”2色印刷風の路線はあまり見かけないし、試しにこの路線で作品を作り続けてみようか”と思いつきました」
 
 


 
 

“ テーマとなる色を決めていく „

 
 
「漫画家を目指していたため、基本はモノクロの制作で、色を塗る練習をあまりしてきませんでした。それもあり漫画家を目指していた当時は着彩が苦手だったのですが、デジタルで改めて絵を描き始めた時、着彩にも挑戦してみました。デジタルでの着彩を試したところ、アナログとは感覚がだいぶ違い、色塗りが苦ではなくなったんです。苦手なことを克服できた感動が、デジタルでの絵の制作を続ける原点となっています。間違えてしまってもすぐ元に戻せたり、豊富な種類の画材をすぐに切り替えたりできるので、色々な表現を試しやすいところがデジタルの魅力だと思います」
 
サトウミツヨシさんの作品のカギとなるのは色だと筆者は感じる。描きたい人物や作品を決めていたこれまでの制作をがらりと覆すように、色をテーマにデザインを決めていくようになったそうだ。あまり聞いたことがないオリジナリティのある制作手順をご紹介いただいた。
 
「作品の制作に関してですが、自分の中で制作上のルールを定めているんです。まずは最初に作品のテーマとなる“色”を決めます。作品のテーマカラーが決まったら、次にテーマカラーに沿ったモチーフを考えるのですが、モチーフの決め方にもルールがありまして、一番最初に”テーマカラーにちなんだアイテムを何にするか”を考え、次に”描くことにしたアイテムとテーマカラーにマッチする人物像”を決めていきます。最後に、絵の構図と背景を考え、作品を作り上げます。このように、ルールに則って順序だててデザインを決めていくことを徹底しています。作風が定まった後はオリジナル制作を続け、Instagramに投稿していく中、日本橋art様よりお声がけを頂き絵の販売を始めました。今現在、直近のイベントや出店の予定は未定なのですが、機会があればぜひチェックしていただけますと嬉しいです」
 
 


 
 

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