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Interview: 狐羊和

夢は知る人ぞ知るライトノベルの表紙イラストを描くこと

 
 
――簡単に自己紹介をお願いいたします。
 
狐羊和と書いて“こようなごみ”と読みます。
よくご挨拶などした際に「本名ですか?」とか、やはりなんと読むのか分からない方が多いみたいで(笑)
現在は地元の愛知県中心に活動しています。
 
代表作は、以前Leoneさんが書かれたWebノベル「Death Load」というシリーズ作品になります。
表紙と挿し絵を、二年くらいにわたり担当させていただきました。
最近では、名古屋・四間道にありますベネチ屋さんのいろんなイラストを担当しています。
美化似顔絵や看板娘イラスト、人力車のイラストなどとてもありがたいですね。
 
残念ながら、まだ大企業さんや中小企業さんの依頼を受けたことはありません。
昔からライトノベルの表紙が大好きで、もはや読むためではなく、ライトノベルの表紙目的で買うこともあります。
将来的に店頭に並ぶ“某~文庫さん”の表紙や挿し絵などを担当することが夢ですね。
 
 
――印象に残っている展覧会や出来事はありますか?
 
やはり人生初個展の大阪で開催した「妖娘百物語」でしょうか。
そもそも私なんかが個展を出来るなぞとは全く考えていませんでした。
最初にそのオファーをいただいた時には驚きました。
正直嬉しかったですね。「こんな私でいいんですか?」と。
ただ後々聞けば、いろんな方に同じオファーをしていたようでちょっとがっかりはしていますが。
「人生初個展!」で、且つ初めて額で展示した作品がお迎えされ、当時は本当に嬉しかったです。
一番初めに作品が売れた時は「こんな私でも売れるんだ!」と大喜びした覚えがあります。

 
――画家活動を始めたきっかけは何ですか?
 
イラスト、小説、ゲーム制作など実はそれぞれきっかけがあります。
まずはイラスト。
本格的に「オリジナルイラストでやっていく!」と決意したのは、先ほどお話した初個展「妖娘百物語」でした。
それまでは、ただジャンルもテーマもなく「描いて完成!どこにも発表せず終了!」という感じでした。
当初はそれを展示しようかなとも思いましたが、てんでバラバラだし、ただ描いただけ感で申し訳なかったので「せっかく個展をやるのならテーマを決めてみよう!」と思いました。
そこで誕生したのが、「妖娘百物語」でした。
当時「ゲゲゲの鬼太郎・第六作」をリアルタイムで見ていたこともあり、「妖怪を全て娘化したら面白いかも?」と考え始まったのです。
それから私の中で火が付いてしまって、取り組んでいるうちに本当にいろんなジャンルやテーマのものが出来ていきましたね。
 
次に小説ですが、まだ妖娘百物語、和者までは正直テーマを決めたイラストのみの構成だったんです。
当時小説を書いていたSNS上の友達と、「表紙やるよ!」という話になってはいましたが、お金がなくて頼みたいけど頼めない状況だったので「じゃあ今回はコラボレーション(絵と小説)の形でやってみよう!」と。
ただそれだと「実質これは無償依頼では?」と、提案しておいて気付いた私は、せっかくなので自分もちょっと小説書いてみようかなという話をしたんです。
小説を少し書いて絵を描けば、なんとなくコラボレーションっぽくなるかなと。
 
それまで執筆経験はありませんでしたが、いろんなアニメをずっと見てきたことと、学生時代の読書タイムにライトノベルを読んでいたお陰か、いざ執筆してみれば「あれ?私書けるじゃん!何これ!楽しい!」とヒートアップしてしまい、気付けば外伝作品(ラノベ丸々2冊分)の量を書いてました(笑)
 
そうして出来上がったのが「海魂の在処」ですね。
コラボレーションとはいえ、主人公(こちらではモブ)のみが共通で水鏡島の名前も私が考え、ほぼ別の話になっちゃいましたけど(笑)
残念ながらその方が書けなくなった以降連絡はつかず、私が思いをついで頑張ってます。(ひょっとしたらどこかで書いてるのかもしれませんけど)
今では本当に感謝してますね。
それがきっかけで「つくものがたり」や「鬼娘夜行」など、基本一シリーズには必ず小説を入れる事にしてるんです。
ラノベ大賞に応募してもいいんですけど、万が一大賞をとったとしてもきっと絵は別の人になってしまうので、やはりここは絵と小説両方やってこその私ですからね!
 
 

画像は初めて長編小説とイラスト双方を執筆したものを本格ライトノベルプロジェクトとしてリメイク&書籍化したもの

 
最後がゲーム制作ですね。
昔からアナログゲーム(トランプやウノ)はちょくちょく家族と旅行に行った時などにやっていました。
たまに親戚のおじさんが遊びに来てボードゲームを持ってくるので相手をしましたが、それを自身も作ろうとまで結びつかなかったですね。
 
きっかけは仕事を辞め「愛知でも大阪のように、今度は自身が在廊する形で一回は個展をやりたい!」と思い、いろいろギャラリー巡りしていたところ、名古屋の四間道にある「エスプラナードギャラリー」さんに辿り着き、外観も気に入ったので「個展をやらせてください!」と頼みに行ったんです。
そうして開催したのが「和伝~和を伝える展覧会~」なのですが、最終日近くにギャラリーの前を人力車が横切ったんです。
「へぇ~こんな通り人力車通るんや!」と驚きましたね。
さらにはその人力車がギャラリーの目の前に止まり、私の個展にお越しくださるではないですか!
あれは本当に驚きましたね。「え? え? え?」と。
その時に人力車を引いていた太田さんが、私のミニタペストリーを気に入ってお迎えくださったんです。
 
そんな方にお迎えいただけるなんて思わなかったので、個展終了後の翌日に、後ろのベネチ屋でバーとボードゲームカフェを営んでいるとのことでしたのでお礼に行ったんです。
お越しくださった際に「人力車も描いてほしい」と一言おっしゃっていたので、お礼もしつつ「ご依頼としてお受けしましょうか?」と、始まったのが看板娘タペストリーですね。
 
それからゲーム会にも参加させていただいて、始めてマーダーミステリーと言うものに触れて、後々マダミスを私のイラストで制作したら面白そうとのお言葉をいただいたので「やってやろうじゃん!」と。
出来上がったのが「魔術師ルシア家の事件簿」ですね。
そこから本格的にゲーム制作にも力を入れていきました。
その前にもトレカはコレクション用に買っていたので、イラストがだいぶ貯まってきたからいっそ自分でも作ろうと考えたこともあります。
ゲームのルールも本格的に考えたりし始めたのはやはりこれでしょうか。
もともとイラストだけで食べていくのは難しいと専門学校でも口酸っぱく言われてはいたので、イラストだけではなく、それをさらに映えさせるための小説とゲームを作ろうとなり、今に至ります(笑)
 

画像はイラスト&ゲーム制作双方を手掛けたオリジナルゲーム最新作「ライブアライブ」

 
―― 作品にはどのような想いを込めていますか?
 
やはり「可愛くなれよ~!」ですかね。
うちの子(オリジナルキャラクター)を溺愛しすぎて、世間で言う自己満なんでしょうけど、私は別に自己満でも良いと思っているんです。
だって「まだ足りない、こんなんじゃ駄目だ」と思うのはいいですけど、それって生まれてきた作品に対して失礼ですし。やはり作品への最高のスパイスは自分で愛でるだと思うんです。
「よし、今日も上手く描けたな!」それが良い作品を生み出す調味料だと思っていますね。
 
実はこれまでボツはほとんどしていません。一度描いたら必ず仕上げていますが、やはりどうしても気に入らない時もあります。
そんな時は「ごめんね」と言って保留送りですね。ほぼないですが。
 
 
――今までの作品で最も「自分らしい!」と思う作品があれば教えてください。また、そう思う理由なども教えてください。
 
選べませんね(笑)
やはり自身の手掛けるオリジナルシリーズ全般でしょうか。
だってなかなかいませんよ? こんなにうちの子溺愛して、沢山オリジナルシリーズを生み出して、オリジナルイラストだけで600枚以上描いて、オリジナルキャラクターだけで400人以上生み出して、それを小説執筆で物語を伝え、ゲーム制作で飽きないようにして。
自分で言うのもなんですが「どれだけオリジナルキャラクター推しなんだよ!」ってなると思います。
だってオリジナルキャラクター総数だけで、後で知りましたが、あの東方プロジェクトさんを軽く抜いていましたから。
 
普通だったらオリジナルイラスト描いて「見てみて~!」とpixivやSNSに投稿し、他の絵師さんと高めあって二次創作で二次のファンも獲得したりなんかしてというのが、前からの絵師の流れです。
それにも関わらず、私は頑なにこれをやってるんですから(笑)
いろんな方がいていいと思いますが、今の絵師の主流や暗黙のルールを自分の中ではやりたくなくて。
みんなと一緒で染まっちゃうじゃないですか?
「いいね」とか「リポスト」しあったりすれば、反応も必然的に増えると思います。
でも自分はそれをやりたくないんです。
昔から、他の人や時代の流れに乗るのが大嫌いだったので(笑)
「マイナー上等!ただただ己のやりたい事を全力でやるべし!」それが全てだと思っています。
もちろんそんな変わった事ばかりしているので、どうしてもSNSのみなさんには受け入れがたいのでしょうけど……。
「これが自分らしい!」と思っていますね。なので結構日々悩まされています(笑)
 
 
――今後の作品制作に向けての想いをお聞かせいただけますか?
 
やはりこのご時世ですし、いつまで続けられるか分からないのでやれる内は全力でいっぱいオリジナルシリーズを、うちの子を愛でつつみなさんにリアルイベントでアピールしていきたいですね。
別に超有名になろうとは全く思ってはいませんが、せめて死ぬ前に一度だけでもいいのでいろんなラノベ作家さんの表紙や挿し絵を担当したり、市販のカードゲームのイラストやデジタルゲームのパッケージイラストを描いたり、自分が生み出したオリジナルシリーズのどれか一つをアニメ化したいですね。
いつか自分が続けられなくなったとき、将来自分の子供に「父ちゃんはこの企業のこのイラストを担当したんやで? すごいやろ!」と自慢したいです。
 
オリジナルシリーズでの目標は、とりあえず東方プロジェクトをいろんな意味で超えることですね。 
うちの子の代表ともいえる「看板娘・めるちゃん」と共に頑張っていきますので、みなさん今後ともどうぞよろしくお願いいたします!
 

画像はゲーム本体をさらに盛り上げるお楽しみ要素の一つとして制作した関連書籍。

 

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