日本文化を継承するアート販売Webメディア

Interview: 小林ぷ

光がふんだんにある画面で

 
 

“ 作家活動の骨格となるのは、京都と広島の地 „

 
 
「自分で撮影した写真をもとにして、作品にするという制作をしています。いろいろなところに行って写真を撮るのが好きなのですが、その場の空気感や情景のほか、自分が感じた心象などを表現するよう心がけ、作品を通じてそれらを皆さんに感じてもらえたらと考えています。ソフトを写真に取り込んで、土台にする作り方が最近の主流です。キャラクターが登場する作品もありますね。キャラクターは私の中で決まった人物ではなく、景色からその時々に思いついたキャラクターを生み出しています」
 
オンラインのインタビュー際には、バックに自作の作品を表示しながらインタビューに答えてくださった小林ぷさん。お写真を撮ることと、そこで感じた心情を作品にすることがお好きなのだという。まずは小林ぷさんが、現在の作家活動に至るまでの背景をお伺いした。
 
「高校まで京都で過ごしました。子どもの頃から絵を描くのが好きで、中学から高校時代にかけて、アニメや漫画に強く惹かれるようになります。『機動戦士ガンダム』など伝説的に語り継がれている作品が誕生した時代でした。漫画家を志望し、アニメムックや関連書籍を見るようになったとき、背景ボードやイラストが載っている誌面に感動して”こういうのを描きたいな”という気持ちにさせてもらいました。京都は街を歩いただけでもいろいろなものを感じることができる場所です。今でも実家に帰るときにはよく写真を撮って、作品のストックを作ります。仕事の出張先で撮りためることもありますよ。また6、7年前まで住んでいた広島の尾道という場所も、山も海も美しく絵になる場所でした。とくに瀬戸内の風景が気に入りました。レトロな感じがとてもいいなと思っています。創作意欲を刺激される場所として、地元・京都と広島・尾道は、自分の作家活動の骨格になっている気がします」
 
 

“ 光をもとに、変化に富んだ画面を作る „

 
 
「写真を撮るときには風景のみで、人物やモデルは入りません。”キャラクターを入れるとしたらどんな構図がいいかな”と考えながら撮影しています。キャラクターが登場するかしないかは、その場の空気やの気まぐれです。写真を撮るときに思いつくこともあれば、後からキャラクターを描き足すこともありますよ。そのほか光の表現に力を入れています。低い角度から光が差し込むととてもドラマチックに見えるので好きです。隣の建物の影が映り込んでいたりするのも風情を感じますね。朝と夕方では、同じ場所でもまったく別の景色になるでしょう。光とは、変化に富んだ画面を作るためにも重要なものだと思います。作品の表情も変わってくるため、写真の段階から作品にするときの過程で、アレンジを加えることもあります。晴れの景色に変更したり、”夏の写真”を”冬の雪が積もった作品”にしたり。木の葉が落ちたり、紅葉になったりと私なりのアレンジが加わることも多いですね。同じ画像から春夏秋冬の景色を作ることもできるでしょう」
 
和やかな風景画に合わさるのは、かわいらしいサイン。ひらがなで筆っぽく書かれている様子は、小林ぷさんの和風な街並みともマッチするようだ。”ぷ”という音から空気の詰まった風船をイメージしたという。どこか料亭のロゴのようにも見える個性的なサインについてもお話しいただいた。
 
「今の歳になったのは1年くらい前です。ひらがなの”ぷ”を図案化して、丸っこくデザインしました。このサインも、デジタル上で描いたものになります」
 
 

“ 影響を受けた作家たちと共に „

 
 
「作家として本格的に作品を描き始めたのは、50代からです。私と同じように、写真をもとにして風景画を描かれているプロのアーティストの方に出会ったとき、”自分もこういう風に描きたいな”と感じました。その方から感銘や影響をたっぷり受けたと感じています。ほかにも数々のアーティストさんを見て、自分なりに反映したり、作風に感動させてもらったりしています。例えば同じ”写真を絵にする”という制作の流れであったとしても、作家さん一人ひとりによって個性が現れます。同じ写真をもとに作品を制作しても、誰1人として同じものは作れないでしょう。こうした学びを受け取る瞬間を、とてもたのしんでいます」
 
同じ写真を元にしたとしても、というお話にはとても興味をくすぐられる読者の方も多いのではないか。作家さんならではの味が出てくる部分について、今回のインタビューでは小林ぷさんが”ご自分ならでは”と考えられれている箇所を教えていただくことができた。これからのシーズン、青々とした緑ときらめく光が組み合わさる景色は、きっと小林ぷさんならではの魅力がたっぷりと詰まった作品が多く生まれることだろう。今後の販売についての情報も頂戴したので紹介したい。
 
「私の作品の特徴は”光がふんだんにある画面である”ということではないでしょうか。また風景画に特化した作品であるというのも、ひとつの個性だと感じています。木々の間から光が差し込んでいたりする風景をたのしんでいただけたらなと考えています。現在は月に4作くらいのペースで描いていて、毎月グループ展にも出展させていただいています。現在は4月以降の日本橋アートさんのグループ展に向けて、初夏や夏の爽やかな景色を制作中です。ぜひご覧いただけましたら嬉しいです」
 
 

戻る