「高校2年生の頃、鬱や精神的な苦痛を経験したことをきっかけに、人間を用いた心象画や抽象的に感情を描くことを始め、それが現在のクリエイター活動の第一歩でした。高校生で絵に対する興味を持ち、高校卒業後専門学校に通い、デジタルイラストレーションを2年間学びました。その後、卒業してからクリエイター活動を始めたのが今から5年前です。現在は、デジタル抽象画の作品を中心に制作しています。」
加藤の妻。さんの由来は、キラキラネームよりもインパクトのある面白い名前にしたいという想いがあったとのこと。ただの名前ではなく、「誰々の妹」や「誰々の姉」などにしたら面白いなと思い、そこからのひらめきでついた名前が「加藤の妻。」だったと話す。加藤でも妻でもないが、この気に入った名前でずっと活動していると話し、和やかな雰囲気が流れた。そんなユーモアの溢れる加藤の妻。さんは、デジタルアート以外でも多方面で活躍されている。
「私は、デジタルアートの制作が中心ですが、アクリルを用いたアナログの絵画作品制作や別ジャンルでポートレートの被写体活動などもしています。被写体活動については、誰かとコラボがしたいなと思ったのが始まりです。最初は絵で誰かとコラボできないかと考えましたが、絵と絵がぶつかってしまうと難しいな、でも写真と絵ならできるかなと思ったのす。そのような中で、とある憧れていた方が被写体として活動されていたので、カメラマンさんと私自身が被写体という表現で何かコラボして作品ができたらなと思い、始めました。」
「私自身色がとても好きで、カラーバランスを自由に調整できることから、デジタルアートに興味を持ちました。アナログだと、絵の具や様々な画材を集めるということからも、どうしても限界があるなと思ったのです。一方、デジタルで描くことによって、カラーが無限大で、なおかつ調節しやすいことに魅力を感じました。高校生の時に「こういう色が好きだな」という細かいトーンや色みの好みに気づき、そこから色への関心が強くなりました。色へのこだわりをとても大切にしています。色が大好きなので、最近では色彩検定3級と2級を取得しました。」
日常生活でインスピレーションを得たり、感性が磨かれたりすることがよくあるのだとか。たとえば、ショッピングモールへ行った際に「このカラーバランス、いいな」と思ったり、自然の溢れる場所を訪れて、「この地面がいいな」と感じたりすることがよくあると話す。色へのこだわりが強い加藤の妻。さんに、1番好きな色について深堀りした。
「紫寄りの青、トーンはダルトーンが好きですね。今1番好きな色は、ピンク寄りの紫、ライトグレイッシュの紫です。マゼンタのような濃い色やダークな色も好きなのですが、最近はライトグレイッシュというくすみがありつつも、淡い色に一番魅力を感じています。デジタルで描く際は色の調節が一つひとつできるので、色のバランスや光加減、コントラストの付け方を最終調整までこだわっています。私が作品を制作する際は、まず写真に収めることが多いです。例えば、幹の柄や点字ブロックなどを一つひとつ写真に収めて、それをベースにしていきます。その後は、ブラシで濃淡をつけていき、感覚的に「これがいい!」と思う時が来るので、そのタイミングで完成としています。」
「クリエイターになる前は、学生であったこともそうですが人間関係がとても狭かったんですよね。描いているものに対する幅が狭く、美術に対してのいろんな人の考え方を知らなかったのです。専門学校を卒業して、グループ展のお誘いをいただき、そこで他の芸術家の方などいろんな方との出会いを通じて、様々な考え方を聞けて人脈も増えました。ご縁が広がったこと、これがクリエイター活動を始めた前後で1番変わったことです。こういったいろんな芸術家の方の感性を知れるところが、クリエイターとして活動していてとてもいいなと思っています。」
これまで数多くの作品を描いてきた中で、1番思い入れがあるのは、「脈を封じる」というアナログの作品だと語る。自身の好きなピンクと紫を使い、真ん中に安定剤などを半立体で貼った作品。思い入れのある友達の家でその人の感情を交えて描いたもので、1番好き、なおかつ自分のカラーに合っている作品なのだとか。最後に、加藤の妻。さんへ今後の目標をお聞きした。
「これまで「このグループ展に出たい」「このギャラリーでやってみたい」という小さな目標を掲げて活動してきました。数ヶ月前では、「個展を開きたい」という目標を掲げ、ご縁があって、個展を開くという目標が叶ったんですね。このように近々の目標を掲げて、叶えるために努力して、実際に体現して、とこれを繰り返していて、今はまた目標を探している最中です。今後も常に小さな目標を立てながらたくさんの夢を叶えていきたいと思います。」