Interview: 今枝加奈(巌 源六)

-簡単に自己紹介をお願い致します。

最近雅号「巌 源六」を使用するようになりました、今枝加奈です。日本画画材にて、人の生活や社会へ感じたことを「街」や「動植物」に落とし込んで表現しています。

-雅号を「巌 源六」にした由来を教えてください。

「源六」は祖父母の家の屋号です。「巌」は音や雰囲気的な飾りです。
特に何も考えず自分の本名で活動していたのですが、ここ数年、絵にサインを入れる際や自分の絵と名前を並べて見た時等、本名の音が軽いと感じモヤモヤすることが多かったです。
もし名前を変えるとしたら、和風でしなやかなものか、ポップなものか、シュールなものか、シャープなものか、と考える中で「厳つくてそこそこ固そうな音と形がいい」と思いました。
このご時世屋号なんてあまり聞きませんし、母方の祖父母の家が「源六」という屋号を持っていたのがずっと記憶に引っかかっていたのもあり、男性の名前にしたいわけではないので、現代でリアルに実在しそうな男性に寄った名前は嫌だと思っていたのもあり、「源六」は丁度いい塩梅だと思いました。
「巌 源六」という候補が出来てからは人に意見を聞いてみたりして、本当に使用するか悩む期間があったのですが「悩むくらいなら変えよう!」と思い至った次第です。
という事ですので、改めまして「巌 源六」です。
よろしくお願い致します。

-絵を描き始めたきっかけはなんですか?

「絵描きになる」と小さい頃から決めていたというのが第一ですが、日本画画材に触れ、日本画を描くようになったのは高校の芸術学科に入学したのが切っ掛けです。

その頃は絵が描ければ何でもよかったのですが、大学の実技受験の写実的な水彩画に惹かれ、同じ平面分野のビジュアルデザインや洋画ではなく日本画を選びました。
今思うと進路として選んだ際には、日本画画材の面白さにはまったく気づけていなかったと思います。日本画画材の奥深さや、表現と意識的に向き合えるようになったのは、大学入学後か、下手したら大学の学部卒業後からだったように思えます。
画材の特性に目を向けるのに大分時間がかかりました。

-作品にはどのような想いを込めていますか?

それぞれコンセプトによって込めてる思いは違いますが、共通した物を上げると「ただ楽しみたい」と「好きなように見て欲しい」という感覚が強いと思います。

-モチーフには動物が多いようですがどのようなお考えでモチーフを選んでいますか?

作品に動物を入れ込むようになったのは大体3年前からと、割と最近からです。なので、自分ではまだまだ動物が多いという自覚はありませんでした。

大学卒業と共に関東に戻り、ビル群に人の力強さを投影するようになる中でビルや街、風景を中心に描いていました。しかし、その中でどうしても目に入るのが生活の中で交わる動植物でした。当たり前なんですが、この世の生き物は人間だけではありません。人や街を見ていれば、どうしてもそこに他の生き物との関りが見えてきます。ビルや街を見ようとする中で、動植物の持つ色に引かれていったというのも大きかったのですが、彼らの特性だったり、習性だったり、人から与えられたイメージだったりを知り、自然と「描きたい」と思うようになっていました。
動植物を描くようになってからは、「何か」の例えとしてその動植物を選んだり、逆にそのモチーフが描きたくてそこからイメージを広げたり、という感じです。

-年間何枚程度作品を創作しますか?

2019年は大小合わせ20枚前後でした。
その年によって大分差がありますので一概に言えませんが、平均すると10枚前後のようです。

-日々どんなスケジュールで動いているのでしょうか?

制作は休日が中心です。
平日は20時前後に仕事から帰宅するので、それから2~3時間制作します。疲れていたり、〆切まで期間が長い時は平日は描かなかったりもします。
土日祝日は、通常のペースだと9~10時頃から描き始め、夜は22時くらいで切り上げます。締め切り間近になると朝が早くなって、夜が遅くなったり、徹夜したりという感じです。

-絵を描いていない時間(お休みの日など)は何をしていますか?

疲れが溜まっている時はとにかくぼーっとして頭を空にしたり、ペットをいじったり日光浴や散歩をしたりしてます。
展示後や〆切後は溜まったフラストレーションの解消をしてます。漫画を読んだり、カラオケに行ったり、ただ外を徘徊してみたり。

-影響を受けた画家さんはいますか?

酒井抱一です。高校生の頃は日本画の参考として、彼の作品をよく見ていました。現在絵の方向性はまったく違うのですが、デザイン性や遊び心等、ふとした時に見返したくなる作家です。

-画家として最もうれしかった時、最もつらかった時は?

難航していた作品が完成した時、公募展で入選入賞したり、展示の声を掛けて頂いたり、絵についての良い反応が頂けた時等が、今までの活動の中で単純に嬉しかったです。その中で「最も」というのは上げるのが難しいです。「これが一番」と上げられないのは、満足いく成果が、まだ上げられてないからかもしれません。

「画家として」では無いうえ、「辛い」ではなく「大変だった」記憶なんですが、学生時代の生活です。
バイトと単位と制作のバランス。家賃の滞納。学費滞納で退学警告。その他わちゃわちゃとが地味に続いてました。実家の経済状況が芳しくない中進学したので、自業自得だったんですが、自分でも合格できる場所があるなら、出来れば美大に行きたかったという思いもあり我儘を押し通しました。
細かくは覚えていませんが、ひっそりと絵を描いている今に至るまでで、特に「大変だった」と思うのはあの辺りだと思います。

-絵を描くヒントを得るために何かしていることはありますか?

自分の感覚や、一般的なイメージ等、面白いと思った事をメモしています。
空いた時間や思い出した時に、何故それが気にとまったのかを掘り下げ、それに合う形や色を探したり、そう思った切っ掛けのモチーフを調べてみたりと、スマホが大活躍です。

-今までの作品で最も「自分らしい!」と思う作品があれば教えてください。また、そう思う理由なども教えてください。

かなり古く、今とまったく違う表現になってしまうのですが、学生の頃に描いた「塔シリーズ」の「粗削りの芯柱」「高くて折れた塔」「染み入る青」です。その時の描きたかった感覚を素直に形に出来たと思います。


粗削りの芯柱


染み入る青


高くて折れた塔

今の街の絵は、この頃の塔が少しずつ段階を踏んで進化していった物でもあります。

-これからどんなことに挑戦していきたいですか?

最優先は、街+aの今の絵のスタイルの掘り下げです。まだ全然浅い部分にいると思うので、もっと発展させて自己の表現を確立させたいです。
その合間になってしまうのですが、ゆっくりやっていきたいのが「気になっていることの消化」です。誰でも楽しめるアート、遊び感覚で触れ合えるアート、というのにも感心があるため、そういうのも少しずつ発表してみたい。という気持ちだけあります。
現状かなり「気持ちだけ」です。
学校を卒業してからずっと映像会社に勤めており、その経験を生かせないかと、2019年の展示で人感知センサーを使用した、映像作品を発表してみたこともあるんですが、それもまだお遊び程度のレベルなので。今後、そちらもゆっくりと発展させていければ・・・と、妄想しております。

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巌 源六(今枝加奈)

【1989年】
千葉県出身
【2011年】
東北芸術工科大学 日本画コース卒業
【2013年】
東北芸術工科大学院 日本画領域 修了
入選入賞歴
【2009年】
第94回再興日本美術院展 入選(以降’11年 第95回)
【2010年】
第65回春の院展 入選
【2010年】
山形県展 入選
【2010年】
第10回佐藤大清賞公募美術展 特選 福知山市長賞
【2012年】
第12回佐藤太清周公募展 入選
【2015年】
美術新人賞デビュー2016 入選
【2017年】
artist group-風- 入選
◆展示
【2011年】
卒業制作選抜展 外苑キャンパス/港区
【2011年】
卒業有志展 ギャラリー悠玄/銀座
【2012年】
二人展 関口恵美・今枝加奈 ぎゃらりー朋/銀座
【2012年】
グループ展『悠々貫々(ゆうゆうかんかん)』ギャラリー専/仙台
【2012年】
二人展 Mayumi Kikuti・Kana Imaeda ボストンのパン屋/アメリカ
【2012年】
おしゃべりなアート展 ギャラリー悠玄/銀座 以降’13、’14、’15年参加
【2013年】
グループ展『心景色(うらけしき)展』 ギャラリー悠玄/銀座 以降’14、’16年
【2014年】
個展 銀座周辺 以降’15、’16、’17、’18年
【2017年】
artist group風 入選者展 東京都美術館/上野
【2018年】
二人展 もりんぴあ公津/千葉
第6回Artist Group-風-小品巡回展 髙島屋/東京・京都・大阪

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