2021.11.16 ~ 2021.11.30
昨今のコロナ禍にあって、「人間」という存在がいかにちっぽけであるかを再び思い知ることになった。
新しいウイルスとの遭遇や、これまで起こってきた自然災害、また、原発事故のような人的災害。
このようなことが起こるたびに、人間というのは特別な存在でもなんでもなくこの広い地球に住むさまざまな生き物の中の一つでしかない
という事実を僕は再確認するのだが、日本人はそういったアミニズム的なものを大切にしてきたのではないだろうか。日本人は古くから「鳥獣戯画」の世界があることを知っている。
世界中の人々がコロナウイルスという共通の問題に直面している今だからこそ、共に地球に生きている、他の動物たちに目を向けたいという思いからこの作品群を制作した。
動物たちが相撲の構えをしている。相撲は古くは神同士が行う神聖な行為だ。動物たちが力士となり、それぞれ相撲をとってもらえるように描いた。
僕はそれぞれの力士に祈りを捧げる。神も動物も人も栄えよ、と。
● 田村勇太 │ YutaTamura
2015年頃より独学でアクリル絵の具を使用した絵を描き始めました。当時は自身の感情に根ざした抽象画を主に製作し、2016年には初の作品展示を友人と共に開催。
2018年頃から具象作品を制作し始め、特に植物をモチーフにした作品を多く描いています。植物をモチーフとした作品の多くは単純な線または色で構成され、精緻な描写は行われません。それはモチーフ自体を描くことが目的ではなく、描かれる対象と画家との関係性を顕にするために描かれるからです。モチーフの持つ客観的事実は作品制作の中で再構成され、ほとんどの場合原形をとどめる事はありません。しかし様々な要素を削ぎ落とされたモチーフからは生命の持つ普遍的な力強さや美しさを深く感じ取ることができると思います。
また同年2018年より支持体にキャンバスと並行して、凹凸がなくより吸水性の高いウッドパネルを徐々に取り入れ始めました。
2019年より人の美しさと暗い部分に深く迫りたいという思いで人物画を描き始めました。多くの作品は陰影を強調し明暗のコントラストを生むことによってその人の持つ美しさと暗さを表現しています。人も植物も皆美しいですが、その美しさだけではその存在たらしめることはできない。そのようなことを今後も表現していきたいと考えています。