私はこれまで、独立展をはじめ、個展、グループ展など数多くの展覧会で作品を発表してきました。画家としてターニングポイントとなった展覧会があります。2011年8月18日から9月9日まで、石巻赤十字病院の回廊ギャラリーにおいて「静かに語る者たち」と題して3人展を開催し、展覧会のポスターにはこんなメッセージを掲載しました。
『古来より絵画作品は言葉を越えて人々に勇気や癒し、なぐさめなど多くのものを与えてきました。特に私たちが悩みや苦しみを感じた時、絵画作品は静かに、しかし力強く心の奥に直接語りかけてきました。今、私たちは「画家の末裔」として何ができるのかを自らの心に問い、この展覧会を企画いたしました。』
展覧会場に置かれた、たくさんの感想が書き込まれたノートを読み返し、これまで以上に真摯に制作に向き合う日々になりました。そして、言葉を越えて癒し、慰めることが出来るような作品を制作しようと思い、作品の題名を「星宿る地」としました。作品を通して人とつながり、例え一瞬でも誰かの役に立てたらと願いながら制作しています。
私の作品「星宿る地」は、チベット高原の「星宿海」のイメージから冠したテーマで、標高四千メートルを超える山岳の高原には、、夏といえども雪解け水が蒸発することのない大小の湖が無数に生まれ、夜には満天の星空が湖面に投影され、さながら湖に星が宿っているように見えるといいます。
私の住む町は、昔ながらの風情を保っていて、自然に包まれて、四季刻々と変容する光の中で、風景はいっそうの輝きを増しています。それらの風景を春夏秋冬、一心に描き続けることで、おのずと私の住む町は、私にとって「星宿る地」となりました。
このシリーズの前半は、枯れ木立の中の朽ち果てた小屋などをセピア調で描いた、やや暗調の侘びしい風景を基調としていましたが、3・11以降、緑色を基調にした明るい画風となり、女性が登場するようになります。近年は、標高二千メートルを超える高地湿原を取材し、生命あふれる、緑光のニュアンスを表現し、写実表現の中に幻想性を探求しています
1965年
・京都府に生まれる。京都精華大学卒業/埼玉大学大学院修了
1989年
・第57回独立展初出品(以降開催年出品/第81回展独立展会員推挙)
1995年
・前田寛治大賞展出品(以降2001/01/07出品)
1997年
・銀座アトリエスズキギャラリーにて初個展(以降1999/2003/07/09/13開催)
2011年
・日本橋三越本店特選画廊(LIONCEAUXPLUS展出品(以降2012/13/14出品)
2014年
・銀座ギャラリーあづまにて個展(以降2017/20開催)
2019年
・日本橋三越本店特選画廊 立美会展出品(以降2020/2021出品)
その他グループ展多数開催。
現在独立美術協会会員
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