“2022年の夏、パリのアパルトマンで、突然プロダクトマネージャーとしてのキャリアを手放した。リニアな成長や効率を追い求め、非人間的で暴力的な資本主義社会に疑問を抱いていた私は、ある日「何もしないこと」を選んだ。その中で残ったのは、全く馴染みのない絵を描くことだった。
振り返ると、私は常に「表現」を求めてきた。社会が求める「何者か」を体現しなければならないという圧力を感じながらも、表現することは私の抑えられない衝動だった。自分の声を押し殺し続けることに耐えられず、その度に罰を受けてきた。
18歳のとき、自己表現が許される場所を求めてアメリカの大学に留学した。自由の名のもとに多くの変化が訪れたが、同時に別の形の抑圧にも気づかされることとなった。
卒業後、日本に帰らず、様々な職を経験した後、2016年に日本のスタートアップで働き始めた。0から1を生み出すことは、私が以前から追い求めていた「表現」を取り戻すように感じた。しかし、純粋な表現としての「創造」とは異なり、会社の成長と共に「創造」が効率や結果を追求する道具に変わっていった。数字で測れない心の響きは、次第に重要視されなくなり、徐々に無視されていった。そして次第に、労働者であることを守るために、自分の「創造」が道具になっていった。自分の中にある温かいモノづくりに対する思いを削るたびに、金で、誠意で対価を払って欲しいという気持ちになっていく自分がいた。
今、私は心の赴くままに選択することを選ぶ。誰かの期待に縛られることなく、「表現」を選ぶ。「許可を待たない表現」を選ぶ。賞を取らなければならない、作らなければならないという強迫観念に縛られない。それが、労働と自己を切り離す魂との約束であり、自由を選ぶことだと認識する。それが今の私のアートの本質であり、最も大切なものだと思う。”
“【Selected work & Exhibitions】 2024.8 アーティスト・イン・レジデンス「アーティストと過ごす夏休み」| うみらぼ | 志摩
2024.7 個展「The Power You Hold – あなたが持つチカラ」| Unimocc Art Cafe Gallery | 大阪
2024.5 うみらぼ×志摩市協定締結式にてアートワークショップ | うみらぼ | 志摩
2024.2 個展「Love in Abstract」|Art Gallery Kitano | 京都
2023.11 個展「東西右左 -豊穣と旅の季節- フランス」| こげら文庫 | 伊賀市
2023.4 二人展「Breathing」| Telescope Kyoto | 京都 “