雨が素敵だな。
いつの日かこの雨を、綺麗に描けるようになりたい。
幼少期、窓から雨を眺めてそう考えたことを、今でも覚えています。
振り返ってみればそれが、私の表現に対する欲の始まりだったのかもしれません。
私の母は油絵を描く人でした。そのため、私は幼少期から自然に絵を描くようになりました。
子供の頃の好きな画家も、母と同じで、レオナルド・ダ・ヴィンチでした。そのため、昔は写実画を好んで描きました。
当時は、描けば描くほど成長する自分の絵。家族や周りの人々に褒めてもらえることが、私にとっての絵を描くことの魅力でした。
また私の家は、日本の中で考えると裕福ではなかったので、子供の頃は欲しいものを我慢することが、周りに比べ多くありました。
でも、絵の中は違いました。欲しいものを描けば、それを手中に収めることができます。
絵に描くことから、私は満足を得ようとしました。
また、実際に世の中に存在しないものでも、絵の中では手に入れられました。
「こういうものがあれば」そんな想いまで叶えてくれたのが、私にとっての絵でした。
でも、それだけではありませんでした。
私は10歳の夏に、とある絵と出会いました。
その絵は復活を意味するような絵でした。
暗闇の中から現れる一筋の光、そのように感じました。
それから私のアートに対する世界もそうなりました。
いつもどこかに影が潜んでおり、そこから脱却するという情景が浮かびました。
純粋で綺麗な絵が描きたいと思うことも多々ありましたが、私はアートに向き合えば向き合うほど、ただただ美しく、喜びに満ち溢れたものがあまり描けませんでした。
私は幼いながらも、既存の枷を壊し、誰かを高いところへ導くような絵が描きたいと思ったのです。
大学生になると現代アート彫刻に魅せられ、彫刻を勉強しました。
その頃から、ジャンルやスタイルに限らず、アート作品に込められた思いや考えに、さらに興味を引かれました。
私は心理的なものを表現することが好きです。
人物もよく描きます。
人は精巧で、美しく、足りていません。
そのような人の内面を掘り下げ、足りないところ、より成長できるところの助けになりたいのです。
【略歴】
1993年
・京都府生まれ
2011年
・愛知教育大学教育学部美術専攻入学
2016年
・愛知教育大学教育学部美術専攻卒業
【グループ展】
2012年
・スペースアクア「あかりアート」
2013年
・市民ギャラリー矢田「青い果実展」
2016年
・刈谷市美術館
「愛知教育大学 教員養成課程美術専修・専攻 現代学芸課程造形文化コース 大学院芸術教育専攻美術分野 卒業・修了制作展」
2016年
・市民ギャラリー矢田「彫刻展」
2020年
・Gallery Art Space(嶋本昭三ギャラリー)「AU2020小品展」
2021年
・#1010「intersection12」
2022年
・M.A.D.S. Art Gallery(ミラノ・スペイン・メタバース)「NFT. NEW FREEDOM THINK」