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Interview: ハナイ・チエ

自分らしく生きるためのエネルギーを届ける為に描き続ける

光、パワー、渦。一枚の絵から溢れるさまざまな感覚。
綺麗なのに、どこか「見た目だけ美しい絵」とは一線を画すハナイ・チエさんの絵。
ハナイ・チエさんの作品の魅力はどこからきているのだろうか。
 
 
「小さい頃は、絵を描くのはあまり好きではなかったんです。幼稚園でも描いているところを見られたくなくて画用紙を隠して描くような子でした(笑)。
でもアートを観たり創り出したりすることはとても好きで、美術の成績は良かったんです。アート的な感覚は優れているといわれましたね」

 
 
生まれつきの共感性体質で、色々な情報を同時に汲み取ってしまうのだという。そのせいで色々と生きづらいこともあったが、やがてその才能を活かせるようになった。
 
 
「その感覚を活かして、シルバーアクセサリー作りを通じたアートセラピーのセッションを始めました。
自由にものを造っていく過程で、自覚していない自分の内面や本来の姿に気づくことがあります。アクセサリーづくりを通してそのお手伝いをしていたんです」

 
 
なぜ絵を描こうと?
 
 
「アートセラピーセッションを通して本来の自分を見出してもらおうとしたのですが、人は既成概念で「自分らしく生きる」ことをブロックしてしまうんですね。
そこで「人に教えて手助けする」ということの壁にぶつかってしまいました。「人のために」と思っていたのに、やればやるほど自分を無くしてしまって。
そんなとき、20年来の恩師から「ハナイさんが求めていることを実現するには、人に教えるより自分自身の世界を確立した方がいい」と言われたんです。
それまでは自分が得たものを「教えよう」としていましたが、「自分で表現しよう」と方向転換したわけです。それが「絵」だったということ」

 
 

「花ひらく – Bloom -」 2019年制作


 
 
誰かに絵を習ったわけではないという。
 
 
「全く独学。というよりも、何かを描こうとして描いているわけではないんです。絵を描き始めたのが2019年。まだ最近なんですよ。
自分で表現しようと決めた時に閃いたのが絵だったのですが、描いた瞬間にすべてが一体になった今までに体感したことがないような細胞一つ一つから沸き立つ感覚になって。『これだ!』と確信しました」

 
 
絵を描き始めてからわずか5か月後という短期間で個展を開くことに。
 
 
「あとからあとから湧き出すように描いていました。
感じたものをキャンバスの上にのせていく。頭で考えて描いているわけではない。絵を描くというより、自分の中にそれまでに押さえ込んでいたものを描く、描き出さずにはいられなかったという感じです。
個展を開いたのは「後戻りをしない」という決意でもありました。」

 
 

「宇宙の扉をひらく – Open the door of the universe -」 2020年制作


 
 
自分を画家だとは思っていないというハナイ・チエさん。
 
 
「うーん、いわゆる『画家』ではないですね。
今は無理やりあてはめて『アーティスト』と言っていますが、そういう既成の言葉はあてはまらないと思っています。
私の絵は、見た目がきれいだったり、技巧が素晴らしかったりする絵とは根本的に違っているから。
一般的に画家、アーティストの人たちの作品は「自己表現」の世界だと思うんですが、私は自分の表現のために絵を描いているわけではないんです。
言葉で表現するのは難しいのですが、自分の生まれ持ったシナスタジアという共感覚体質で、見えない万物のエネルギーや情報を感じ取って皆さんに見える形に落としこむみ、それぞれの人や空間に伝える方法。その結果が私の絵なんです」

 
 
作品を通してどんなことを伝えたい?
 
 
「人は生きていく過程で、しきたりや教育によって身に付けられた固定概念によって本来の自分を無意識に押し込めてしまっているように感じます。
その抑圧された感情が、他人を妬んだり恨んだりという悪い流れを作ってしまう。余計なものを身に付けていないピュアな心であれば、世界は良い循環になるはず。
自分の身についてしまっている要らないものをひとつひとつ剥がし、頭で考えたことや教えられたことをすべて壊して、本当に自由な自分、本来の自分を見つけてほしい。
そのためのエネルギーをお届けできる絵でありたいと思っています」

 
 

「歓び舞いあふれる天使と未来の子たち - Dancing joy angels and future children -」 2020制作


 
 
ハナイさんの提唱する「ソウル・デザイン・アート」とは?
 
 
「魂、その人の本来の姿、生まれた時の人生の目的 『ソウル』。
『デザイン』は日本語でイメージする狭義のデザインだけでなく、問題を解き明かすために思考を組み立てるという意味もあります。
「ソウル・デザイン・アート」は「人を本来の姿に導くためのアート」という意図で私が作った造語です。
既成概念という余計なものを取り払って、人が本当の意味で自分らしく生きられるようになれば、愛にあふれた世界になる。そういう思いで絵を描いています。
ここでいう『愛』は、男女の愛や人類愛ではありません。
愛は人間だけのものではありませんから。もっと大きな根底のものなんです」

 
 
絵を描くとき、何を思って描いているのだろうか。
 
 
「 何も思わない。そういう状態にして、そのような時だけ描きます。
自我、自己満足で描いているのではなく、誰かが必要としているので描いている感覚なんです。
私の絵に目を留めてくれた人は、きっとその絵に描かれているエネルギーを必要としている人なのだと思います。
私の絵を見て癒されたり勇気が出たりすることで、本来の自分に戻るお手伝いができればと願っています」

 
 


 
 
ハナイ・チエにとって“アート”とは?



 
「「アートは、知識ではなく、心のなかから繋がりあう自然、万物の営みの現れである。
私自身の一部。 私の毎瞬、毎瞬、万物とのいとなみと共に生き、共創している生き様の中で、私が感じとった必要な万物のエネルギーを、「アート」という媒体を通して皆さんに見える形でお届けしているのだと考えています。
私のアートは、絵だけではありません。
「空間・環境、時間、出逢い、おもてなし、アートや香りによる心身の癒し」などの
全ての必然な瞬間の場、共創していること全てがアートであると思っています。」

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