外田千賀

外田千賀

Tica Sotoda

外田千賀

Tica Sotoda

専門分野
油彩画

神奈川県在住の画家・外田千賀氏が描くのは、「子どもの愛らしさと大人の女性の雅量を持つ少女」をモチーフにした、温かさや優しさ、懐かしさを感じる幻想的な絵画である。 子どもの頃から絵本が好きで、10代の頃は幻想画家である七戸優氏や、アンドリュー・ワイエス氏などの画家に影響を受けた。特に七戸優氏が描く暗鬱で謎めいた世界観には心酔し、当時の自身の作風にも影響を与えたという。 幼いころから抱いていた、漫画家やイラストレーターになりたいという夢はやがて、美大受験を決心するほどに膨らみ、日本における美術系大学の最高峰である東京藝術大学に入学。学部時代は油絵と版画を、大学院時代では美術解剖学を専攻した。その過程で観音菩薩やミュシャの優美な女性像に惹かれたこともあり、“少女”をテーマに描くようになったという。在学生時代から積極的に個展の開催を行ったことで自作に共感してくれる人の存在も実感し、いつしか画家として絵を描くことがライフワークへとなっていった。 外田氏が制作の際に大切にしていることは、“見る人がホッと安らげる、柔らかい色彩と淡い光” であるという。彼女が描く、儚さやあどけなさを感じる少女たちは、自身のお気に入りのドールの造形や、好きな女優・モデルを参考にしながら、気分や作品の雰囲気に合わせて想像で描いている。しかし、想像で生み出しているとはいえ、現実離れした作品にするのではなく、慈しみと悲しみを湛えた人間味のある表情を出すことも目指している。また、背景にもこだわりを持っており、「作品の背景は、少女のいる世界を演出する役割」と外田氏は語り、細部より光と影で雰囲気を表現することに注力しているという。その他、絵具をアルキド樹脂絵具に変えてから発色が鮮やかになったとのことで、描く作品の表現が、より明るく穏やかになったそう。 外田氏は現在、海の近くのアトリエで創作活動を行っている。絶景を眺めながらの朝夕の散歩のほか、海が見えるアトリエで描くことは、心身のリフレッシュになるだけでなく、重要なインスピレーション源ともなっているとのこと。すでに2026年夏の個展も決まっており、さらに注目度が高まる外田氏の活動に目が離せない。

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