Interview注目の作家

デジタルアート
Chifumi
兵庫県神戸市出身の画家 chifumi 氏。日本神話や和の要素を取り入れ、見る人を物語の世界へと誘うような、ファンタジックで温かい作品を制作している。「負の感情を感じさせない」ことを大切にし、作品を通して空間を明るくし、見る人に前向きな気持ちを届けることを目指す彼女は、自身の作品「七福神」が特に「自分らしい」と感じる作品だと言う。偶然踏み出した画家活動の第一歩で「世界が一気に広がった」と感じ、これ以降web個展や海外グループ展へと活動を拡大。今後は「誰が見ても私の作品だとわかる」個性の確立と、「自分が楽しんで描く」ことを軸に、幅広い作品に挑戦していく意気込みを語った。
「ツノのある娘」 作:Chifumi
簡単に自己紹介をお願いいたします。

兵庫県神戸市出身のchifumiです。私の作品は、和の要素や日本神話などを取り入れた、ファンタジックな作品を制作しています。日本の伝統的なモチーフに現代的な感覚を織り交ぜながら、見る人を物語の中へと誘うような作品づくりを心がけています。アーティスト活動を始めたのは初めてグループ展を開いた2022年からです。それ以降は色々なグループ展に参加したり、日本橋アートさんでweb個展の開催など、活動の幅を少しずつ広げてきました。

画家活動を始めたきっかけは何ですか?

きっかけは、友人達にグループ展開催への誘いをもらったからです。それまでずっと絵を描くことは趣味として描いていたのですが、友人が、誰かに見せないと勿体ない!と励まして背中を押してくれたのです。その言葉がとても心に響きました。そして勇気を出して参加を決めました。
迷いや不安もありましたが、勇気を出して参加を決めたことで、世界が一気に広がった感覚がありました。展示を通して、自分の作品が誰かの目に触れる瞬間の楽しさや、人に見てもらえる喜びを初めて実感できたのです。観に来てくれた友人たちの笑顔や驚きの表情、感想の一つひとつが、私にとって大きな励みになりました。

一度動き出すと勢いがつくもので、グループ展での経験を通じて、作品を発表する楽しさや人に見てもらえる喜びを実感できたことで、その後は単独でも活動するようになりました。友人たちの一言がなければ、今も趣味として描くだけの日々を続けていたかもしれません。本当に大切な出会いとタイミングだったと思っています。

「迦陵頻伽」 作:Chifumi
作品にはどのような想いを込めていますか?

私が最も大切にしているのは、負の感情をなるべく感じさせないということです。絵を見た瞬間に、空間がぱっと明るくなったように感じてもらえること、前向きで温かい気持ちが伝わることを意識して制作しています。
ボーっと作品を眺めている時に、見ている人の頭の中に御伽草子のような物語が浮かび、少しの間でも日常から離れられるようなそんな作品を目指しています。

「七福神」 作:Chifumi
今までの作品で最も「自分らしい!」と思う作品があれば教えてください。

「七福神」という作品が、今のところ一番自分らしいと感じています。この作品には、画面全体の賑やかさ、和風のモチーフ、そしてお面をつけた神様達。その全体から醸し出されるなんか楽しそうな雰囲気が、私なりの自由な表現で画面を賑やかに彩ることができたのが、自分らしいと感じる理由です。制作中も、描いている自分自身がワクワクと楽しめる作品になったことが、この作品を特別なものにしてくれています。

「福禄寿・寿老人」 作:Chifumi
印象に残っている展覧会や出来事はありますか?

初めてのグループ展が印象深い出来事です。まさに大人の文化祭というイメージで、友人3人でワイワイと楽しみながらスタートさせました。ただ、私たち全員が展覧会の開催は初めてだったので、会場選びから宣伝方法、さらには来場者へのノベルティ作りに至るまで、すべてが手探り状態で準備しました。何度も話し合いを重ね、試行錯誤しながら一つひとつ形にしていくプロセスは、決して簡単ではありませんでしたが、その時間も含めて、とても貴重で学びの多い経験だったと思います。

開催当日、地元の新聞に取り上げていただいたことはもちろん嬉しかったのですが、それ以上に心に残ったのは、足を運んでくれた昔からの友人達の反応でした。私が絵を描き続けていることを喜んでくれ、声をかけてもらえて、その言葉で凄く創作へのモチベーションが上がりました。

それまで個展を一人で開く勇気がありませんでした。だからこそ、友人たちの誘いはまさにラッキーな出来事でした。この経験をきっかけに、海外のグループ展にも挑戦したり、日本橋アートさんでweb個展を開催したりと、活動を少しずつ広げられるようになりました。振り返ると、反省点もたくさんありましたが、それ以上に挑戦して良かった、あの時踏み出して良かったという達成感と感謝の気持ちが残る、私にとって特別な展覧会でした。

今後の作品制作に向けての想いをお聞かせいただけますか?

今後は、私が描くから意味のある作品というのを、より深く考えていきたいと思っています。個性の確立、誰が見ても私の作品だ!とわかるような画面作りを追求していきたいです。そして何より大切にしたいのは、楽しくあること。自分が楽しんで描いている作品だからこそ、見る人にもその楽しさやワクワク感が自然と伝わると信じています。

また、フットワーク軽く、手に取りやすい小さな作品から大きな作品まで、様々なサイズや形式にチャレンジしていきたいとも考えています。より多くの方に作品を身近に感じていただけるよう、制作の幅を広げていくつもりです。まだまだ知名度はほぼゼロに近い状態なので、まずは活動を広げ、色々な方に作品を見ていただければとと思います。

chifumi氏が追求するのは、「自分らしさ」が溢れる個性の確立と、描く楽しさそのもの。和のファンタジーと現代的な感性が融合した作品は、見る人の心を明るくし、日常を離れた物語へと誘ってくれる。フットワーク軽く、大小様々な作品に挑戦し続けるその活動は、より多くの人にその温かい世界観を届けてくれるだろう。今後の活躍にますます期待が高まる。

インタビュー: 2025/10/14