子どもの頃に感じた畏怖
「子ども頃に怖かったもの」って誰でもありますよね。私は暗い場所や影がそれでした。
夜ひとりで眠りにつこうとしているとき、暗い部屋の中にいると、まるで闇の中に自分が包まれてしまったような、親や友だちから隔絶されてしまったような不安が押し寄せてきて。
夕方に自分の手をかざすと下についてくる影を見て「何でついてくるんだろう」「誰だろう」と、影も怖かったですね。
大人になってから、ふと夕方の歩道に伸びている自分の影を見たときに、そんな子どもの頃に感じた畏怖を思い出しました。
暗い場所や影は黒色でできていますよね。でも、黒色じゃなくて白色だったらどうでしょうか。「もしかしたらお友達になれたかもしれない」と私は思うんです。
そうして黒色のキャンバスに白色の少女を描いた『星廻り』という作品ができました。
私は基本的に顔を描きません。以前、顔を描きたいと思ったときに、絵の技術が足りなくて描けなかったんですよね。
思い切って「やめちゃえ!」と白く塗り潰してみたら「あれ?これ素敵かも?」と思える表現に出会えました。
以前はリアリズムやシュールレアリズムなどの画風に憧れていたのですが「こういう絵が描きたい」という構想があっても、どうしても自分の技術が追いつかなくて。
理想の絵を描けずに悩む日々でしたが、ある日「ま、いっか。自分らしい絵を描こう」と思えるようになったんです。