静岡(浜松)出身、京都市在住。京都市立芸術大学日本画専攻を修了後、京都西陣の京繡(きょうぬい)工房で職人としての経験を積み、伝統的な文様や刺繍技術に触れたことが現在の表現に影響を与えている。動植物や民俗的なモチーフを題材に、東洋絵画にある装飾性や寓意性、吉祥のモチーフを現代的に咀嚼して作品化する。国内外の公募展や展覧会での受賞歴もあり、花鳥画的なモチーフを軸に独自の装飾表現を展開している。
●作風と代表作
中村は京繡で培った「図案性」と日本画的な筆致を融合させ、植物や鳥獣をモチーフにした装飾的な画面を作る。図像には吉祥性や寓意が織り込まれ、観者に民俗的・歴史的な文脈を想起させることを狙っている。近年は松坂屋や地方の展示での個展、コンペティションでの入賞を通じて幅を広げており、《#plants》シリーズや張子(民芸)をモチーフにした作品などが代表的である。