佐竹龍蔵

他者との間には、たとえ親しい間柄であっても必ず何らかの隔たりがあり、近づけば離れていく逃げ水のように決して触れる事のできない精神的な距離があると感じています。
この他者との距離感から生まれる人間の様々な関係性を、作品に対峙した際の視覚的な効果によって表現しようと、高知麻紙に岩絵具で点描するという方法で人物画の制作を続けてきました。
最近では、単に距離という言葉では収まらないような対立や分断によって、他者との間にさらに溝が深まっていくのを感じています。他者との関わり方についてあらゆる可能性を想像する必要があると考え、いろんな姿の人物を描いています。
 今回の展覧会では友情をテーマに「会えなくなってしまった人」と「まだ出会っていない人」の姿を描きました。
 昨年から、会いたい人たちに会えない日々が続く中で考えていたのは、同じように会いたくても会うことのできない亡くなってしまった友人たちについてでした。いまを生きている友人たちと大きく異なるのは「今後会える可能性があるかどうか」という点ですが、その一点の違いがさまざまな感情を引き起こします。
 死んだ人が近くにいるのか、遠くにいるのか、それともいないのか、わかりません。ただ、死者に対する友情というものに関して言えば、小学生の頃に友人から言われた「死んでも友達やけんにゃ(死んでも友達だからな)」という言葉が一つの希望になっています。

 そもそも友情というものに対する僕自身の考え方のもとになっているのが、小学生の頃に見ていた教育番組で毎回流れる「いちどあったら ともだちで まいにちあったら きょうだいだ(※)」という歌詞で、いまでもメロディーと共に頭にこびりついています。現実に実行するには狂気じみた考え方ですが、まだ出会っていない人でも会えば友だちになれる、という可能性があるのはいいことだなと思っています。
(※)作詞/井出隆夫『ドレミファ・どーなっつ!』

 友情というものの全てを肯定的に捉えているわけではありませんが、他者との関係性の一つとして、大人になったいま改めて「ともだち」とは何かと考えてみました。

木製パネル、高知麻紙、 岩絵具、顔料、膠

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作品情報

作品タイトル
作家名
画廊
制作年
-
技法
点描画
号数
F120号
サイズ
130.3×192 cm
価格
726,000円
鑑定書あり 買戻し保証

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