浜松繫雄
「はじまりのカタチ」をいつから始めたのか?たぶん10年は過ぎた。常にフレッシュな仕事をしたいと願いつつ、実は制作することが一番気分をフレッシュにするし、高揚する。何が必要なのか、あるいは足りないのか、解決すべきはどこからか等々、はじまりに終わりがない。
制作には出発点がある。「オランピア」らしいポーズを求めるマネ、「リンゴ」をテーブルに並べるセザンヌ、「星月夜」をサン・レミの病院の窓から見るゴッホ。しかしそれはあくまで出発点である。そこから、それまでの女性像とは全く異なる「オランピア」へ、緊張ある構成物としての「リンゴ」へ、霊性を帯びたうねる「星月夜」へと、画家たちは自らのイメージに昇華させた。抽象といえども出発点はある。私の作品の出発点は、花や葉や種子や虫や鳥や木や根や風や雲や水や岩や人や言葉や物語や事故や事件や戦争やコロナやマスクや、オランピアやリンゴや星月夜である。それらの「はじまりのカタチ」から、どうか思いもしないところまで行けますように!
※武蔵野美術大学卒業・独立美術協会会員